2011-05-28 17:21:54

自作戯曲 『もやしの髭根』

テーマ:創作戯曲
こんにちは。創作私戯曲(?) 『もやしの髭根』 第五幕です。
嫌いなところもたくさん見つけるでしょうけれど、愛する人々に対して正直でいたいというわがままをお許しください。

もやしの髭根』(第五幕)

五月、おんな草っぱらに茣蓙をしいてごろごろしている。
カサカサカサという音とともにトカゲがすぐ近くに現れる。
      
おんな   あ、トカゲ君だ。
       いいなぁ。草より背が低いのってうらやましい。
       寝転がっていると、世界はほんとに美しいと思う。
       もっと小さくなって、ずっとここにいられたらいいのになぁ。

       トカゲの腹に触れる葉っぱはどんな感触なんだろう。ちょっと温かいのかな。
       音は、あの鎧みたいな体にどんな風に響いているんだろう。
       体温が少しずつ上がり動けるようになるときって、どんな気分?
       小さな音楽が鳴り出すのかもしれないね。   

       はぁ。人の社会の外で生きる生物と話せたらいいのに。
       言葉が人にしか使えないのなら、何か別の方法を探す。
       そのためにわたし、人魚姫みたいに言葉を捨てようかな。
      
       ただし一つ懸念がある。たとえ話せても、次に会ったとき誰か分からなくなりそうなこと。
       だって、生物って地球上にたくさんいるでしょう。
       すべてを個別に認識し愛せるのは、西洋の神様くらいよね・・・。
       わたし、たとえ一匹でも自信がない。そんな風には愛していない、と言おうか。
       失礼・・・かなぁ?
       はぁ、ただ想像してみるだけでも心配って尽きないわね。
      
しばらく間。小さな声。

トカゲ   そんなことないよ。

おんな驚く。が、驚いたことを悟られないようにゆっくり身体を小さくして、小声。少し考えてから、慎重に。

おんな   ねえ、いま何かほしいものある?

トカゲ   何もいらない。(その場を去ろうと、別の方向を向く)

おんな   そう・・・。(ひとりごと)あぁ、一言目を間違えてしまった!

トカゲ、突然体の向きを変え、うろたえている女の目を見るような角度に顔をあげて。

トカゲ   いつか、僕にとって大切なものが君にも分かるときが時が来る。
       
       なぜってそれはいつも僕たちのそばにあるし、君にとっても大切なものだから。
       
       でも今、きっと君は忘れてしまったし、僕にも正確には伝えられない。
       
       ただ知っていることなんだ、と言う以外に、伝えられないのかもしれない。
       
       媒体が何であれ、伝わり得るものは少ない。

トカゲは方向を変えて、去ろうとする。
おんな、先のまずい質問を取りつくろうとして、焦って。

おんな   あのね、わたし次に会ったときに君が分からなくなってしまうの。

トカゲ   その時が来たら迎えに来るよ。

ガサッ。トカゲ去る。
おんな、いつまでもトカゲのいた場所を見ている。

おんな   あ~あ、行ってしまった。
       でも少なくとも、最初の問いは間違った問いだということが分かった。

長く無言。寝ころんであたりの緑を見上げている。ふと思いついたように。

おんな   小学6年生の時、家族と離れて船上で何日か過ごしたことがある。
        たしか、一日目と二日目は海が荒れたの。
        会ったばかりの女の子が酔い止めブレスレッドを貸してくれて、
        それがおまじないのように効いたおかげで、わたしは酔わなかった・・・。

        その旅の途中、星のきれいな夜には、みんなで甲板に出て星を眺めた。
        天上には無数の星がまたたき、小さなランプがあちこちに灯る夜空は明るかった。
        でも船の周りには、真っ暗な海が在った。

        長く続いた揺れが身体のどこかに残っている私にとって、
        見上げた空は平面的で、冷たく、星々は大きな変化とは無縁だと思われた。
        他方、船が身をゆだねている暗い海は、得体のしれないものだということ、
        それはそう思うたびに心音が耳に響くほど知っていた。

        でも、怖かったかと聞かれたら、そうでもない、としか答えようがないの。
        バランスを知った、ということ。人は海に沈めるほど重くない。
        (百人以上乗っている船ですら沈まないんだから、とその時は思っていた。)
        そして船長にできることは、船を浮かせる事でも、水平に保つことでもない。
      
        船を押し上げているのが海だというのは、子供も知っている事実であり、
        むしろその力強さに安心してもいた。

        あぁ、新緑の中にこうしてうずくまっていると、いろんなことを思い出すね。



読んでくださいまして、本当にありがとうございます。
柚 葉
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2011-05-26 19:15:30

平安神宮 薪能

テーマ:能 le theatre du noh
今年も変わらず、平安神宮で行われる薪能を観に行きます。プログラムは こちらです。 華やかそうです。

お能はいつでも観ることができますが、初夏の夕方に、長いような止まっているような時間を過ごすのが、
わたしはとてもとても好きです。これからもずっと毎年行けるといいなぁ。

夏のオクスフォードに二ヵ月くらい滞在した際、シェイクスピアの野外演劇(喜劇ばっかり)を観るのが、
本当に楽しくて、その期間中に演じられたものは一通り観に行きました。
公園のような場所や、大学の中庭などで、紙コップのワインと硬い毛布(夏でも夜は冷える)を持って、
暗くなっていたことにも気がつかないほど夢中でした。世の中にこんなに素敵なことがあるなんて!と。
紙と鉛筆すらいらず、声と身体があればいい、という体験は、実はわたしにとって驚くべき発見だったのです。

ところで、お能。わたしは能を演劇のカテゴリーに入れていなくて、
能は能、独特なもの、ときどき「ねぇ、誰のための舞台なの?」と尋ねたくなります。
でも、好き。その場に立ち会えることが、ただうれしいです。
観たいと思う人が多くはなかっただろうと推測されるような時代にも、
こうやって現在に能を伝える努力をしてくださった人々に心から感謝しています。

どこかで途切れてしまったと感じられる日本的なものの歴史を、切断された布を接ぐことができるように、
現代とつなげようとしている人がいて、その人たちの創るモノが好きです。

たとえば、わたしがほぼ毎日履いているズボン(もんぺ)は、SOU・SOU という会社のものです。 SOU・SOU HP 
江戸時代後期に生まれたと言われている久留米絣の反物から作られており、現代にその技術が伝えられ、
織ってくださる職人さんたちがいるおかげで、絣の着物を日常的に着ていた人々とわたしの間に乗り越えられない
断絶はなくなり、そのことがわたしを幸せにします。

柚 葉
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2011-05-21 16:09:01

白詰草 Trèfle blanc

テーマ:自作短歌 mes tanka
「感傷をペロペロなめて風に置くシロツメクサの匂いがしている」
je me léche la mélancolie sentimentale dans le vent et l'odeur de trèfles blancs m'arrive


よく歩く道のわきにある家に豆がたくさんなっていて、あ~食べごろ、と思っていました。
今日、同じところを通ったら、その場所におじさまがトマトの苗を植えているところで、思わず、
「通った時に豆が美味しそうだなぁと思っていたのですよ、今度はトマトが楽しみですね!」と声をかけたら、
「トマト、できたら採って食べてくださいね~。」って言われました。びっくり。
いやいやさすがにそんなことはしませんが、そのお家の梅の木もよい感じに実がなりはじめたのよね、と
目をやってしまいました。

柚 葉
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2011-05-16 22:06:36

生姜の甘酢漬けと紅ショウガ

テーマ:仕込み conserves
無農薬の新生姜が高知県から届きました。

今年も、甘酢漬け(ガリ)と紅ショウガを作りました。
ガリ用に生姜をうすく切るのがいつも大変ですが、切りにくい端っこと厚くなってしまったところを
紅ショウガ用に千切りにすることを思いついたので、今年は気楽でした。(おかげで紅ショウガが増えた)
祖母の漬けた梅干しも残り一つになって、紅ショウガにはその赤梅酢を使いました。

毎年同じことをくりかえし、できない時には今年はできなかったのよー、と言いながら来年を待つ、
そんな風に年をとりたいです。

柚 葉
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2011-05-12 12:21:32

青豌豆

テーマ:ブログ blog
グリンピースが今年もできました。
$ゆばー*短歌* ≪Ecoute! Ecoute!  C'est Ondine≫
さやはいっぱいできているのですが、中身はちょっと小さめです。
他の植物たちも、わたしの極小畑に戸惑いつつ(?)何とかしてます。

連休中にわたしの体で押しつぶしてしまった草花が、
この雨の中で息を吹き返しています。

しばらくつぶれたままなのを見て、わたしって重いなぁ、と溜息をつきましたが、
彼らの再生力のおかげで、いやいや、そんなに重くないよ、となぐさめられました。

これからは書斎を転々と移すことにしようっと。蚊が現れるまで・・・。

柚 葉

橋本知事、福井の原発のことを考えてくれてありがとう。がんばって!
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2011-05-05 18:40:27

書斎

テーマ:ブログ blog
今だけのわたしの書斎(夏は蚊がすごい!)。連休中はほとんどここで過ごしています。お昼寝も。
$ゆばー*短歌* ≪Ecoute! Ecoute!  C'est Ondine≫
お日様のもとで本を読むときはサングラスをかけますよ。水分補給も忘れてはいけませんね。

お隣さん。
$ゆばー*短歌* ≪Ecoute! Ecoute!  C'est Ondine≫
トカゲ君も遊びに来ました。仲良くなりたいのだけれど初対面だし、apprivoiser (『星の王子様』参照、うろ覚えだけれど単語あってるかな?)するには時間がかかるんだよと思って静かにしていたら、気がついてもらえなかったみたい。

$ゆばー*短歌* ≪Ecoute! Ecoute!  C'est Ondine≫
エリアーデを読み返しました。ずっと前に初めて読んだ時も二回目に読んだ時も5月の連休中だった。
(しかも下巻を持っていないの、読んだことはあるけれど忘れてしまった。売ってないと思う。)
わたし、今年の夏至のころルーマニアに行けるかもしれません。こんなことが実現すると思わなかった。
心からすべてのめぐりあわせに感謝します。みなさまの願いもすべて叶いますように。

柚 葉

浜岡原発の全面停止。よかったぁ。首相ありがと。
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2011-05-01 13:46:13

自作戯曲 『もやしの髭根』

テーマ:創作戯曲
こんにちは。お久しぶりです。私戯曲(?)『もやしの髭根』の第四幕です。

『もやしの髭根』 (第四幕)

台所。蒸し器を使って冷ご飯を温めなおしている。

おんな   わたしは根っからの根なし草ではない。
       あれ?同じことを二回繰り返してるかな。まあいいや。
     
       土の上ではいつだって根付こうとしている。
       でもいかんせん、根っこが弱すぎるのかあるいは土壌がゆるすぎるのか、
       今のところ自分を支えることができない。

       だから旅が好きなのだろう。
     
       風習の異なる場所で、言葉だってあんまり上手でないから、
       ゆっくり、傷つけないように (気付かれないようにかな?よその土地だもの) 髭根を伸ばし、
       他国で何かを知るために、まるで甘噛みをして確かめるような、そしてときどき噛みつかれるような、
       そんな経験を繰り返す。

       頭は、新しい情報でいっぱいになってしまってへとへとになりながら、
       むしろ研ぎ澄まされる感覚も好きだし、未知のものを容易には受け入れられない頑固さも好き。
       そこで何か一つでも親しいものができたら、とたんに解け始める謎が好き。

       もうすぐまた旅に出る。久しぶりだし、楽しみだわ。
                
おとこ   ねぇねぇ、電子レンジを買おうよ。ナウシカさん。

おんな   あはは。風に乗る代わりに瞬間移動しそうね。

おとこ   じゃあ森の人!

おんな   わたしは火を使うよ。
        電子レンジはわが山門に入るを許さず、です。でも家には山門がないね・・・。
        モノの時間を勝手にいじるのは、時差ぼけを繰り返させるようで苦痛なのよ。
        ぐわーんと響くめまいを想像してしまう。
     
しばらく無言。

おんな   わたし、ヒトに備わる知性って「もてる」ことで急速に進化したのだと思うことがある。
        ほら、クジャクの羽根を説明するのに困ったダーウィンが言ったでしょ。
        でもあの羽根を使って、安定したえさ場を作ったり、他の動物との争いを減らすことなどできないよね。
        だって、羽根が効力をもつのは同じ種の間でのことだし、暮らしには他の生物や環境が必要だもの。

        議論も理論も技術も、文学も芸術も、鶴のダンス。人の世界で閉じている。想像すると面白い。
        わたしは、男でも女でもそんなさまざまな姿に魅せられるし、恍惚とするし、幸せだわ。文明が好きよ。
        でもそこまで。暮らしはもっと自然の中にあっていいと思う。
        それに、自然の中にはまた別の歓喜があるわ。ほら五月はうっとりするほど美しい。
  
おとこ    あなたが好きなエコロジストたちは、そんな知性を至上とする人たちじゃない?
        だって人社会のみならず、自然界のことまで全部考えてあげようって人たちでしょ。

おんな    たしかに。
     
おんな黙る。おとこはそのまま別のことをしはじめる。

おんな   たしかに・・・でも・・・。

蒸し器から湯気が上がっている。

幕、というより続く。

読んでくれて、本当にありがとうございます。楽しい休暇をお過ごしください。
柚 葉
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