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2010-02-28 18:16:59

ルーブルの秘密扉 (La poterne de Louvre)

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
これから第四部「年代記」に入ります。今日は二つめの「ルーブルの秘密扉」を訳します。
ちなみに「年代記」の一つめには、フランス王シャルル6世が出てきました。

(お母さん、お雛様と春のカードをありがとう。春ですね。)
土曜は完全に光が変ったと感じるほど明るくて、リュクサンブール公園は、ジョギング、散歩、合気道?、椅子に座っておしゃべり、日光浴、読書、の人でいっぱいだったけれど(わたしもそのどれかの一人)、今朝は風が唸っていました。夢の中では海の嵐の音がしました。ガラスが割れそうで怖くて、南向きの窓の雨戸を閉めました。今は、穏やかになってきました。

Ⅱ ルーブルの秘密扉 ( La poterne de Louvre )
                    その小人は、怠惰で、気まぐれで、意地悪だった。
                    しかし、彼は忠実で、仕事は主人の意にかなっていた。 Walter Scotte, Le lai du Ménestel


小さな光が、凍ったセーヌ川を渡り、ネールの塔の下を過ぎた。
今やその光は、霧の中を踊り、(この世のものではない!) 嘲笑うような音を立てて、
もう百歩ほどしか離れていなかった。

「そこにいるのは誰だ?」 ルーブルの秘密扉の小窓から、見張りのスイス兵が叫んだ。

小さな光は、歩を速めたが、答えるのを急ぎはしなかった。
しかし、すぐに小人の姿が現れた。金のスパンコールのチュニックを着て、
その手には、ランタンのガラスに覆われた灯りが揺れていた。

「そこにいるのは誰だ?」スイス兵は震える声で繰り返し、小銃を肩に構えた。

小人がランタンのろうそくの芯を切ると、皺だらけで痩せた顔、悪意に輝く目、それから、
霜がついて白くなった顎髭が、射手に見えた。

「おい、おい、友よ。そのらっぱ銃に火をつけるなよ。さあ、さあ。ちくしょう!
 お前さんたちといったら、死体と殺戮しか望まないんだ!」
小人は、山に住む人の声のような、興奮した声で叫んだ。

「友よ、お前さんもな。ふぅ。それでいったい誰なんだ?」
少し安心したスイス兵は、小銃の芯を鉄の蓋に置きながら、尋ねた。

「わが父は、ナクブク王、母は、ナクブッカ女王だ。ユップ ユッ」
小人は、25センチほどもある舌を出し、爪先立ちでピルエットを二回しながら答えた。

傭兵は歯をがちがち鳴らした。幸運にも、彼は、水牛の革でできた剣帯につけた、ロザリオのことを思い出した。

「もし、お前さんの父がナクブク王ならば、― 天にまします― そして母がナクブッカ女王ならば、
― 我らの父よ― お前さんは、悪魔だろう? ― 願わくは御名の ― 」
恐怖で半死になった彼は、もごもごつぶやいた。

ランタンをもった小人が言った。
「なんだって! われは王の小人だ。王は今夜、コンピエーニュ*からお着きになる。
 ルーブルの秘密扉を開けさせるため、われを先に遣わしたのだ。
 合言葉は : アンヌ・ド・ブルターニュ女公とサン-トーバン デュ コルミエ* だ。」

notes ;
コンピエーニュ(Compiegne) ; 1430年ジャンヌ・ダルクがブルターニュ兵に捕えられたところですね。

Saint-Aubin du Cormier 地名; 1483年、フランス王ルイ11世が亡くなり、シャルル8世が即位したとき、
姉のアンヌ・ド・ボジュ (Anne de Beaujeu) が摂政に立ちます。
その後、"Guerre folle (mad war)" と呼ばれる王家とアンヌ・ド・ボジュに対する反乱が起こりました。
王家に対立した人の中に、ブルターニュ公フランソワ二世(アンヌ・ド・ブルターニュ (Anne de Bretagne) の父)と
オルレアン-ルイ二世 (シャルル8世のいとこで、シャルル8世の子供がみんな若くして亡くなってしまったので、
結局フランス王ルイ12世になる) がいます。

1488年 Saint-Aubin du Cormier の戦いで、ブルターニュ公フランソワ二世が、王家に破れて、
この戦争は終わったと言われています。ブルターニュ公フランソワ二世が同年に亡くなったので、
一人娘のアンヌ・ド・ブルターニュがブルターニュ公国の継承者になります。

そこへ、シャルル8世がブルターニュに侵入し、アンヌ・ド・ブルターニュと結婚しに来ます。

Ciao,
yuba

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2010-02-26 18:17:39

サラマンダー La Salamandre

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
サラマンダーです。時間がないのでさらりと。女の子のサラマンダーにしようかな?

Ⅹ サラマンダー (La Salamandre)
              年老いた修道士は暖炉の中に祝福された柊の束を投げた。
                それは、ぱちぱち音を立てて燃えた。 CH. Nodier, Trilby.


「コオロギさん、コオロギさん、
 わたしの口笛も聞かず 炎も見ないけれど、あなたは死んでしまったの?」

コオロギは、サラマンダーの言葉のやさしい調子に、返事をしなかった。
眠りの魔法で眠っていたのかもしれないし、ちょっと拗ねていたのかもしれない。

「ねぇ、三つの百合の紋章のついた鉄板の後ろにある、灰と煤にまみれた小部屋で、
 あなたが毎晩歌っている歌を歌ってよ。」

それでもコオロギは答えなかった。
悲嘆にくれたサラマンダーは、ときどきコオロギの声が聞こえないかと耳を澄まし、
炎は、ピンク、青、赤、黄色、白、紫と目まぐるしく色を変えた。

「コオロギさん、コオロギさん、彼が死んでしまった。彼は死んでしまった。」
溜息とすすり泣きに似た音が聞こえ、悲しげな暖炉の青白い炎は弱くなった。

「彼は死んでしまった。彼が死んでしまったから、わたしも死にたい。」
燃やす枝がなくなったので、炎は、燠(おき)の上を這うように進んで、暖炉の自在鉤(かぎ)に別れを告げた。
そして、サラマンダーは餓死してしまった。

(自分への注、火の娘たちのシルヴィも、「mon ami」って呼びかけてた)
Ciao,
yuba

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2010-02-24 16:45:09

オンディーヌ Ondine

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日はオンディーヌ(水の精)です。ベルトランのオンディーヌ、とっても好きです。
みなさまの描くオンディーヌに近づくように、言葉や雰囲気を読み変えてくださいね。

以前、ウィーン郊外のバーデン(Baden)という温泉地を散歩していたとき、
これはフーケのウンディーネ(オンディーヌのドイツ語)!と思った像を見つけました。
怒ったような若い女性が、足もとに水棲の怪物たちをたくさん従えて立っています。お気に入りです。
(でも、偶然見つけた方が楽しいですね…。こんな情報は忘れてしまいますように。)

Ⅸ オンディーヌ(水の精) (Ondine)
                 かすかな調べが僕の眠りに魔法をかけて、近くで、途切れがちな歌に似た、
                 悲しくやさしい声のささやきが広がっているように思えた。  CH. Brugnot, Les deux Genies


「ねえ! -  聞いて! - 月の悲しい光に照らされた あなたの部屋の窓の
 菱形のクリスタルガラスに 雫で触れているのは わたし オンディーヌよ。
 あなたに話しているのは 玉虫色に光るドレスに身を包んだ 城の貴婦人よ。
 城のバルコニーから 美しい星空と静かな湖を眺めているわ。

 湖の波の一つ一つは 流れを泳いで行くオンダン(男の水の精)よ。
 水の流れはどれも 宮殿へ続く道なの。
 私の水の宮殿は 湖の底 火と土と大気の 三角形の中にあるのよ。

 ねえ! - 聞いてよ! - 私の父は
 ぶつぶつ憎まれ口をたたく水を 榛の木(はんのき)の緑の枝で打つわ。
 妹たちは 草や睡蓮 グラジオラスのそよぐ若々しい島を 泡の腕で撫でたり
 年老いて髭の長い柳が 竿釣りするのをからかうのよ。」

彼女がささやく歌は僕に、指輪を受けとり、オンディーヌと結婚し、
いっしょに宮殿へ行って湖の王になるよう求めていた。

でも僕は、機嫌を損ねたり、恨み事を言ったりする、死をまぬがれない人間の女性を愛している、と答えた。
すると彼女は、数粒涙をこぼし、突然けたたましく笑い、それから、
僕の部屋の青いステンドグラスの上をとめどなく流れる、春の冷たいにわか雨*の中に消えた。

note;
giboulée;春なのに突然霰(あられ)が降ってきたとき、ジブレだと教えてもらいました。

Ciao,
yuba

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2010-02-22 18:42:42

會祖父 ( Mon Bisaïeul )

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
パリに帰ってきました。青空です(でした、もう曇りました)。大家さんに家賃を払わなくちゃなりません。
大家さんのムッシューは、普段はパリ郊外のお家に住んでいます。ゆっくりのフランス語で話してくれます。
先月は、たくさんのランジュ(シーツとかタオルとか)でパンパンになった水色のリュックサックをしょって来てくれました。

(家賃を現金で用意するのはけっこう大変です。ATMは400から500ユーロまでなので何回かおろさないといけません。
昨日、お金を引き出しているときに、手元を新聞で覆われボタンを勝手に押されましたよ!でも、まわりの人たちのおかげで大丈夫だったし、でたらめに押してもしょうがないので、警戒はしても不安にはならないでくださいね。)

Ⅷ 會祖父 ( Mon Bisaïeul )
                      この部屋にあるものはすべてまだ同じ状態だった。
                        タピストリが切れ切れになって、
                        蜘蛛がそこで埃にまみれて布を織っている以外は。 Walter Scott, Woodstock


ゴシック風のタピストリが風に揺れて、そこに描かれた古い人物たちが挨拶を交わし、
僕の會祖父が寝室に入って来た。死んでから、もう80年も経つというのに。

祈祷台の前に、参事官だった會祖父はひざまずき、
リボンをはさんだところで開いた黄ばんだ祈祷書を顎鬚で愛撫していた。

彼は、夜の間中祈りを唱え、紫色の絹織りマントから出た腕を動かすことも、
ベッドに横になっていた彼の子孫へ、僕の埃っぽい天蓋つきのベッドの方へ、視線をそらすこともなかった。

それから、祈祷書を読んでいるように見えるのに、會祖父の目が空洞で、
祈りを唱える声は聞こえるのに、その口は動いておらず、
指は宝石のように輝いて、肉がまったくないことに気がつき、ぞっとした。

僕は、自分が目覚めているのか、眠っているのか、
この青白い光が、月のせいなのか太陽*のせいなのか、
今、夜中なのか、夜明けなのかを自問していた。

note ;
"Lucifer" です。堕天使のルシフェルの名前ですが、「光をもたらすもの」 le Porte-Lumière という意味があります。
Le livre de Poche の注は "Lucifer, autrement dit le Soleil (le Porte-Lumière)"。

Ciao,
yuba

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2010-02-20 18:56:01

小人 Le nain

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
明日はパリに帰ります。

Ⅳ 小人 ( Le Nain )
                     《Toi, à cheval ? 》
                     《 Eh ! Pourquoi pas ? j'ai si souvent galopé sur un levier du laird de Linlithgrow ! 》  Ballades écossaise


天蓋に覆われたベッドの暗がりに、ふと現れた蛾、月光あるいは露の子供を、座ったまま捕まえた。

ぴくぴく動く尺蛾は、指に捕らわれた羽を自由にするために、香りの身代金を支払った。

そしてすぐに放浪の虫は飛び立った。
そのとき僕の膝の上に、(あぁ恐ろしい)、人の顔をした奇形の幼虫を捨てて行った。
                
                      *

「君の魂は?僕の馬はどこ?」 - 「僕の魂、一日の疲れのために足を引きずっていた雌馬は、
 今は夢想という黄金の寝藁の中で休んでいるよ。」 

やがて魂は、蜘蛛の糸で織られた、暮れ方の鉛色の布を横切り、
ゴシック様式の黒い鐘楼のためにぎざぎざになった暗い水平線を超えて、不安な場所を逃れた。

それなのに小人が、いななきながら逃走する僕の魂に付きまとい、
そのたてがみを紡ぐ錘(つむ)のようにぐるぐる回っていた。

Bon weekend !
yuba
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2010-02-18 18:25:22

スカルボ Scarbo

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日は、「スカルボ」です。「スカルボ」というタイトルの詩は詩集の中にもう一つあります。

Ⅱ スカルボ (Scarbo)
           神様、どうか死ぬ時には、神父さまのお祈りと、布の帷子、
           もみの木の棺、それから乾いた場所を与えてください。Les Patenôtes de M.Maréchal


今夜はスカルボが、僕の耳元でつぶやいた。
「君が死ぬとき、罪を許されようと地獄へ落ちることになろうと、
 君は蜘蛛の糸で織られた屍衣を着るんだ。君と蜘蛛をいっしょに埋葬してあげよう。」

僕は泣きはらした赤い目で答えた。
「あぁ、せめてポプラの葉の帷子ならいいのに。湖をわたる風が葉の中の僕を揺らすだろう。」

「いいや。」からかうのが好きな小人はせせら笑った。
「日が暮れて盲になった小蠅を狩る甲虫の餌になるのがおちだ。」

「だから君は」僕は、相変わらず涙目のまま言い返した。
「だから君は、僕が象みたいな鼻をしたタランチュラに吸われた方がいいと言うんだね。」

「悲しむことはない。」彼はさらに言った。
「金で彩られた蛇の皮の帯で、ミイラみたいに巻いてあげるから。
 そして、聖ベニグヌス教会の、薄暗い地下納骨堂の壁に君を立たせよう。
 君が、心ゆくまで、リンボ*で泣いている子供の泣き声を聞けるように。」

note;
リンボ、古聖所 ; 洗礼を受ける前に死んだ幼児やキリスト降誕以前に死んだ
         善人が死後住むところ。

bisous,
yuba

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2010-02-16 20:20:48

ゴシック風の寝室 La chambre gothique

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日から、第三部「夜とその魅力」に入ります。ラヴェルのピアノ曲で知られているスカルボやオンディーヌが出てきます。そういえば、昨晩、ラヴェルの La Valse を聴きました。すごく魅力的でした。

Ⅰ ゴシック風の寝室 ( La chambre gothique )

                          夜と孤独には悪魔が満ちている  Les peres de l'Eglise
                                   夜、わたしの寝室は悪魔でいっぱいになる

            
夜、僕はささやいた。
「ああ、大地は香気に満ちたゴブレット型の萼であり、月と星々はその雌蕊と雄蕊なのだ。」

そのうちに瞼が重くなり、ステンドグラスの黄色い後光に、ゴルゴダの丘の黒い十字架がはめ込まれた窓を閉めた。

             *

また真夜中、竜と悪魔の紋章がついた時間になった。
現れるのが、僕のランプのオイルで酔っぱらうグノーム(地の精)ぐらいならばいい。

単調な歌を歌いつつ、僕の父の鎧の中で、死産した子供をあやす乳母ならば。

板張りに閉じ込められて、額、肘、膝を打ちつけている歩兵の蓋骨ならば。

古くなった額縁から抜け出して、皮手袋を聖水盤の水に浸している僕の先祖ならば。

けれどもここで、僕の首に噛みつき、それから血だらけの傷口を焼灼(しょうしゃく)するため
焼けた鉄でできた真っ赤な指を突き刺すのは、スカルボ*だ。

notes ;
Scarbo ; escarbot (スカラベあるいはコガネムシ)と
     escarboucle (紅ザクロ石、アルマンディン・ガーネット(grenat)) の言葉が思い出される(らしい)。

bisous,
yuba

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2010-02-14 17:21:04

愛書家 Le Bibliophile

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
今日は「古きパリ」の最後の一つです。土曜の夜にウィーンのホテルの Ballsaal でバル(舞踏会)が開かれ、みなさん素敵なドレスを着ていましたよ。知人がドレスを貸してくれるそうですが、靴も鞄もお化粧道具も持っていません。きれいな女性は一日にして成らず、です。

Ⅹ 愛書家 (Le Bibliophile)
                        エルゼヴィル版*の本に彼に甘い感情を抱いた。
                        けれども彼を恍惚とさせるのは、アンリ・エティエンヌ*だった。 Biographie de Martin Spickler


それは、フランドル派の絵画、ダフィット・テニールス、あるいは地獄のブリューゲル*の、
悪魔を見つけないようすすけた色の絵画ではなかった。

それは、縁をネズミにかじられ、錯綜した文字と赤や青のインクで汚れた草稿だった。

愛書家が言った。
「作者は、ルイ14世、あの民衆の父として記憶に残る王の時代に、生きた人ではないかと思う。」

続けて、「そう、この重厚で瞑想的な、そうだ、シャトーヴィユー卿たちの家にいた聖職者であろう。」と言った。

ここで、彼は 『フランスの貴族名鑑』 という題の分厚い二つ折り本をめくった。
しかし、そこにはシャトーヌフ卿しか見つからなかった。

「まあよい。」彼は少し混乱して言った。「シャトーヌフ(新城)とシャトーヴィユー(古城)はひとつの城(シャトー)なのだ。
ポンヌフ橋の名も、今ではもう変えるべきなのだから。」

notes;
David Teniers(1610-1690) ; フランドルの画家
Elzevir ; 16,17世紀のオランダの有名な印刷屋による本
Henri Estienne ; フランスの人文主義者、Thesaurus Graecae Linguae (1572) の著者
Brugel d'enfer (1564-1638) ; 「百姓のブリューゲル」の兄、
Louis Ⅻ (1462-1515); 1498年からフランスの王

ポンヌフはもちろん今でも Le Pont-Neuf ですね。
そうそう、David Teniers の、アロイジウス(失礼!)が好きそうな錬金術師の絵がウィーンの美術史博物館にありましたよ。

Ciao,
yuba

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2010-02-12 21:07:39

真夜中のミサ La messe de minuit

テーマ:Gaspard de la Nuit訳
パリでは、アペリティフや軽い夕食のあとに、映画館に行くのもかなり好きです。今、いちばん近いところは、毎朝行く
パン屋よりも近いですよ。ひとりで椅子に沈んでいます。ときどきわたしが感動して大泣きしている後ろから、あっはっはと
笑い声が聞こえます。フランスではない国の映画をフランス語の字幕で観る方が意味がわかります…。

そうだ、昔はじめてパリで映画館に行ったとき、観たい映画が夜 9時ぐらいからだったので、カフェのウェイターさんに
「そんな時間にひとりで映画館に行くのは危ないですか?」と尋ねたら、もちろん一言目は「僕がいっしょに行こうか?」
だったけれど、「で、どう思う ?」と重ねて聞いたところ、「そんなことはないよ、映画館にひとりで行く人はたくさんいるよ。
むしろどうして? 君の国ではだめなの? …etc.」とかなんとか答えたので、よし!っと観にいくことができたのでした。

『夜のガスパール』「古きパリ」を続けましょう。

Ⅸ 真夜中のミサ (La Messe de minuit)             A M. Sainte-Beuve*

                            キリストはわたしたちのために生まれた。
                                   いらっしゃい。礼拝しましょう。
                                         主イエス・キリスト降誕祭
                                  
                                   わたしたちは火も場所も持っていない。
                                   神のもとに場所を与えてください。古い歌

  

玄関に木靴の音が聞こえた時、司祭が祝福をさずけているテーブルで、
高貴なシャトーヴィユー卿とその善良な婦人は、夜の食事を分け合っていた。
玄関にいたのは、クリスマスの歌を歌う小さな子供たちだった。

「シャトーヴィユーのやさしい奥さま、急いでください。群衆は教会へ向かっています。
急いでください。天使の礼拝堂の、あなたの祈祷台の上で輝いているろうそくが消えてしまうといけないから。
蠟がしたたりおちて、祈祷書とともに流れる時間やビロードの布片を輝かせています。
ほら、真夜中のミサを告げる最初の鐘が鳴っています。」

「気高いシャトーヴィユー卿、急いでください。あなたのいないうちに、聖アントニウス会員の木椅子の名誉ある場所に、
グリュジェル卿が座ってしまうといけないから。彼はランタンを下げて向こうを通り過ぎてゆきます。」
ほら、真夜中のミサを告げる二番目の鐘が鳴っています。」

「司祭様、急いでください。パイプオルガンが響き、祭式者は詩篇を唱えています。
急いでください。信者はもう集まっています。なのにあなたはまだテーブルについています。
ほら、真夜中のミサを告げる三番目の鐘が鳴っています。」

子供たちは指に息を吹きかけていた。が、長く待つことはなかった。
司祭は子供たちに、家の主からと言って、雪で白いゴシック造り敷居の上で、ワッフルと小銭をひとつずつあげた。

鐘はもう鳴っていなかった。
善良な夫人はマフに肘まで腕を入れ、高貴な卿は縁なし帽で耳を覆った。
つつましい司祭は頭巾をかぶり、ミサ典書をわきに挟んで、彼らの後ろを歩いた。

note;
Sainte Beuve (1804-1869) 文学の評論家としてよく知られていた。 

ciao,
yuba

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2010-02-10 18:13:25

赤い悪魔 Le diable rouge

テーマ:本 livre
なんだか単調になってきましたので、一休みしましょう。
ベルトランの『夜のガスパール』を読んでいると、悪魔ってなんだろう?と思いますね。

そこで、G.ネルヴァルの「赤い悪魔 Le diable rouge 」というタイトルがついた短い記述から、
覚え書き程度にすこしだけ訳出しておきます。(まとまってません、ごめんなさいね。)


赤い悪魔

「闇というよりむしろ赤い、この悪魔におびえないでください。すべての悪魔が黒いわけではありません。
赤い悪魔は本来、地獄というより、地上的なものです。」

「古代の人々は、悪魔をDémonとしか呼びませんでした。… もともとは不幸な人、反乱を起こす人、
しかし根底にはよい性質を持った人を意味しており、悪意のある、有害な、という意味を持っていませんでした。」

「読者に明らかにしておきたいのは、ルシフェル、赤い悪魔は、古代の人々が démogorgon (démonを含む言葉)と
呼んだものと、同一だということです。」

「この記述の冒頭で描いた悪魔のイメージは、むしろ牧神パン、(現代の)汎神論が崇拝と称賛をかたむける、
地の精霊のものです。」

ベルトランの夜も、光に対立する闇とは、まったく異なるものです。
まとまりがなさすぎますが、今日はここまで。あ、雪が降ってます。きれいです。

(来週はウィーンにいます。)

bisous,
yuba

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