和歌山漁業プロジェクト「鱧と鰆」 | 世界一の醤油をつくりたい 湯浅醤油有限会社 社長 新古敏朗のブログ

世界一の醤油をつくりたい 湯浅醤油有限会社 社長 新古敏朗のブログ

湯浅醤油の社長、新古敏朗が想いを綴ります。
和歌山県の情報の発信、イベント情報などの掲載

湯浅醤油有限会社、丸新本家の新古です。

 

ORA 2019年5月号 外食コラムに掲載されました。

 

 

 

 

獲れすぎて困る魚をどう処理すべきか?!

和歌山漁業プロジェクトに見る漁業の方向性

 

 タコが獲れない、穴子の水揚げが少ない、あげくの果ては海苔まで不漁と来た。乱獲と地球温暖化が影響し合っているようで、まさに漁業は問題山積状態だ。旬になっても毎年秋刀魚の値が下がらないように海の資源はないないづくしかと思いきや、時季によっては獲れすぎて余るものもあるようだ。その代表例が鰆と鱧で、この二種は旬が明確すぎる故にその他の季節に揚ったものはあまり見向きもされないことがしばしば。本来、鰆も鱧も晩秋が旨い。なのにこの季節は門外漢のような扱いで、どうしても鰆は春の魚で、鱧は夏の魚と考えられがちだ。料理人ですらそうなのだから消費者はよりその印象が強くなってししまう。

 水揚げして余る鰆や鱧をいかに使ったらいいのか?そのテーマを掘り下げたのは和歌山漁業プロジェクトだ。和歌山北漁業組合で聞くと、大型魚にあたる鰆や鱧が獲れすぎてその処理に困る時季が年に何回かあるらしい。そこで湯浅醤油の新古敏朗さんやカネナカ水産の中井一統さんらが知恵を出し合い、和歌山漁業プロジェクトを進めることになった。彼らが目をつけたのは、首都圏での消費。特にこのニ種については東西の食文化の違いで、使用状況に差がある。例えば、鰆は春になると瀬戸内に卵を産むために入って来ることから関西では春の魚の印象が強い。ところが関東の人は、脂の乗る秋のものを好む傾向がある。つまり地域によって旬が異なるわけだ。なので関西での消費傾向が鈍い時季に東へ回せばいいとなる。一方、鱧は骨切りという難しい処理が因して東の職人はそれを使いたがらない。鱧が夏の魚となったのは京の職人の影響で、交通が発展していない昔には、暑い季節に人力で魚を運ぶと腐っていた。けれど鱧なら水から揚げても24時間その生命を保つため、少々の暑さではへたらなかった。そんな特徴に目をつけた京の料理人達が、いつしか鱧が夏に旬を迎える魚だと伝播させてしまった。鱧には肉間にいくつもの骨があり、体側筋内部へ放射線状に伸びている。この小骨をうまく切らないと食せないわけだが、この骨切り技術を編み出したのも関西の職人達。だから大半の職人が鱧切り包丁を持ち、骨切り技術を有している。鱧の消費量が少ない首都圏では、高級割烹を除くと、あまり経験がないためにどうしても鱧を出す店が少なくなってしまう。あらかじめ骨切りしたものを流通させればその使用頻度も増えるかもしれないと、新古さんや中井さんは考えた。そこで加工品を開発して流通させることを提案したのである。和歌山漁業プロジェクトから生まれた「紀州の地魚はもフライ」は、骨切り処理した鱧に衣をつけ、冷凍品にしたもの。獲れすぎて困る時季に骨切りして冷凍保存しておき、それにパン粉などをつけて加工品として売り出せば、居酒屋でも使えるし、家庭の主婦だって使いやすい。そんな発想から商品化されたのである。

「紀州の地魚さわらの金山寺味噌漬け」も和歌山漁業プロジェクト関連品。鰆というと、西京焼きのイメージが強いが、和歌山だけに特産の金山寺味噌に白味噌を加えた床にそれを漬けて作っている。金山寺味噌のおかず味噌的風味がうまくマッチし、西京漬けとは一線を画した加工商品に仕上がっているのだ。

 この二品に関しては、先日東京でマスコミ発表会をしたばかりなので、まだまだ流通経路の整備も必要だそう。でも販売が決まれば、獲れすぎて困るという問題に一石を投じることは間違いないだろう。単に獲れたものを流通するだけでなく、今後はそんな動向も見ながら我々は消費せねばならない時代に入っている。

 

 

湯浅醤油(有) www.yuasasyouyu.co.jp

丸新本家   www.marushinhonke.com

フェイスブック www.facebook.com/yuasasoysauce