何時間も 夜空を見上げた。

 

飽きる事など無かった。

 

煌めき 瞬き 時に流れて消えて行く星たち。

 

その瞬間の緊張と喜びを共感して

 

心を満たしてくれる夜空の下で

 

願い事は 必ず叶うと教えた。

 

 

 

綺麗な満月を指さし

 

昨日 寝ないで磨いてきたと言うと

 

子供達も 手伝いたいと言った。

 

心がキレイな大人になったら

 

お月様まで ジャンプできるようになるから

 

いい子でいようと 教えた。

 

 

 

空に手を伸ばし 雨が止むように

 

空にお願いをする。

 

空を見上げながら 雲が流れるのを見て

 

落ちて来る雨粒を数えた。

 

少しすると 雲が切れ

 

青空が覗く。

 

ね、お母さんは 空と話せるんだよと笑った。

 

 

 

マンホールの下には

 

地底人が住んでいて

 

マンホールを踏むと

 

地底人が怒って出て来るって教えた。

 

踏んで歩くと 滑ってコケるように 

 

何かを塗ってたのを見たと教えた。

 

 

 

お花の影に 妖精が隠れてると教えた。

 

「綺麗ねって言ってあげると 妖精が喜ぶ。」

 

「綺麗になる魔法をかけてくれる」 と教えた。

 

 

 

雨上がりの夕方 泥んこになって帰った子に

 

水たまりで遊んで 傘を壊したね、と言うと

 

なんで分かるの?見てたの?と聞かれた。

 

どこで何をしていたか 全部分かるのは

 

大地の神様や空の神様

 

水の神様も 風の神様も

 

みんなが教えてくれるからだと言った。 

 

 

 

海の中には 海坊主が居て

 

お母さんの言う事を聞かない子を

 

連れて行くんだと教えた。

 

 

 

 

大きくなるにつれ 子供達は笑いながら

 

私が教えた事を口にして

 

それでも そこには 愛が溢れていて

 

笑顔が溢れていて

 

私は いつも幸せだった。

 

 

 

ガスが止まって 水風呂をプールだと言い

 

子供達と水風呂で遊んでも

 

お金が無くて おかずが買えなくて

 

おにぎりの中身を 小さなおにぎりにしても

 

子供達は 最高の笑顔で喜んでくれた。

 

 

 

その笑顔に救われ

 

その笑顔に励まされて

 

その笑顔が 繋いだ みんなの命。

 

 

 

その笑顔を尽きさせるモノは

 

全てが悪だった。

 

 

 

理屈も何もない。

 

正論も何もない。

 

笑顔を奪うモノは 全て悪だ。

 

それは 今でも変わらない。

 

 

 

もっと 子供達に笑顔をあげたい。

 

でも その術を知っているのに 

 

使えなければ 意味が無い。

 

 

 

枯れて朽ちて行く時

 

心残りがあるとすれば

 

それは 

 

もっと笑顔をあげたかったと

 

いうことだけだろう。

 

 

 

子供達と話す 時間が欲しい。

 

子供達を構う 時間が欲しい。

 

子供達の心が キラキラするような

 

子供達が求める事を させてやりたい。

 

 

 

笑顔が減ったら 幸せが減る。

 

だから どんな時も 私だけは

 

笑顔で居てあげたい。

 

 

親とは そういうモノだと

 

笑顔を貫き 教えたい。