CNET Japan
au、3.1Mbpsの通信サービスを開始へ--2010年には100Mbps超
永井美智子(編集部)
2005/06/15 22:35  

 KDDIは6月15日、au携帯電話において、データ通信速度が下り最大3.1Mbps、上り最大1.8Mbpsの新サービスを2006年中に展開すると発表した。

 これは現在の通信方式であるCDMA2000 1x EV-DO方式を機能拡張した「EV-DO Rev.A」と呼ばれる方式を使ったもの。サービスの種類に応じて送受信するパケットの優先制御ができるため、品質保証(QoS)が可能になるという。既存の通信方式との下位互換性を備えており、EV-DO Rev.Aのエリア外でもcdmaOneやCDMA 1Xのネットワークに接続して通信ができる。


上り回線の高速化と品質保証によって、「例えばテレビ電話のようなことも可能になる」とKDDI代表取締役社長の小野寺正氏は話す。ただし、具体的なサービス内容については未定としている。EV-DO Rev.Aを利用した場合でもパケット定額制が適用される予定で、「EV-DO Rev.Aを利用したからといって通信料金が上がることはないだろう」(小野寺氏)としている。


KDDIのプレスリリース


現在メーカーやチップベンダーの戦略により携帯の3Gは世界的にW-CDMA方式 vs. CDMA2000方式の争いになっている。これはビデオのベータvsVHS戦争や現在始まっているSONYのブルーレイvs東芝のHD-DVD論争と全く同じ構図である。

要は世界のイニシアチブをとりたいベンダー(Nokia, Ericsson, Siemens, Alcatel, Lucent, Nortel, Motorolaのメジャーでレガシー欧米通信専業ベンダー)、チップベンダー(Qualcomm社)のエンドユーザの意向を全く無視した主導権争いである。


この戦争は次第にポスト3GでHSDPA vs. cdma2000 1x EV-DOの争いに発展しつつあり、実行上どちらの方式が優れているかというよりは、帯域(伝送スピード)争いになっている。これにWiMAX(802.16e)が入ってきた構図になり、個人的にはこちらの方がIp/Ethernetに親和性が高いので、WiMAXの方が開発スピードも速いので勝つと見ている。

キャリア・古典的ベンダーが主導する3GPPや3GPP2の世界はそれぞれの意図が働き、政治的玉虫色の決着がつきやすいので、固定系でIEEE/IETF vs. ITUで、ITUが敗れ去ったように、この戦争も動きが早く、マーケットを掴んだ陣営が勝つだろうという経験に基づく。


で、そのさらに先を見据えた今回のプレスであるが、これは株主総会を前にして、新規参入するソフトバンク、イーアクセスあるいはNTTドコモの4G、ボーダフォンに対するポーズであろう。


ユーザの観点からすると、こんなつまらない争いをするよりは3Gで完全ディジタル化したので、 つなぎを良くするとか、音質を良くするとかの努力をするべきだ。(未だ水の中にこもってごぼごぼ喋っているような感じや)、トラフィックの多いエリアで突然切れたりする事象、通話料金を改善すべきである。


パソコンがあの大きさである限り誰も移動しながら100Mは求めない(新幹線で座って異動しない限り)し、携帯があのサイズであの程度の画質、音質であれば256kで十分だ。むしろ従量課金性をとっているのなら100Mであろうと、64kbpsであろうとダウンロードの時間が早いか遅いかの違いだけで、何の意味もない。

むしろ、技術的には地震・災害発生時の異常トラフィックの発生時(このとき一番通話したい)、あるいは花火大会やイベントでのトラフィックの集中あるいは輻輳時に「つながる」工夫や、需要に応じてダイナミックに帯域幅や電波のカバレッジを変えられる工夫を開発すべきだろう。


せっかくKDDIがEnhanced CDMA2000によって100M超を話をしても、何のためにという議論が欠けていて、それよりはもっと面白いアプリケーションやコンテンツを開拓していき、収入を増やす努力をした方が株主対策としては魅力的だろう。