【オリジナルホラー】屋根裏の神様 | yt08150815のブログ

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おばあちゃんはよく娘達に

「屋根裏には神様がいるよ、悪いことしてたら連れていかれちゃうからね」と話してた

 

主人と結婚してから移り住んだこの土地

古き良き文化なのかどの家も三世帯同居で慎ましく暮らしてる

 

ただ子供の数は減少し続けているため

娘達は街の小学校に車で通っている

行きは仕事に行く主人が送り帰りは私が迎えに行く

 

幼稚園も小学校も中学校も病院も商店もないまさに村といったところだ

駐在所と神社は人がおり管理されているが

小中学校跡地、病院跡地はその件ではちょっとした心霊スポットになっいた

 

私の家族は主人、主人のお母さん(以降姑)、娘2人の5人家族

この地域にしては少ない人数の家族なので近所の人は事あるごとに気にかけてくれる

田舎特有の勝手に玄関に野菜が置いてある事以外は距離感も普通だ

 

ただコンビニまでは車で山を越えないといけないし

救急車の到着はめちゃくちゃ遅い

大雨の日は警報の時点で公民館に避難するほどだ

 

娘達が小学生に上がった頃に気がついたのがだ、娘達が夕方に走り回ってると

「屋根裏には神様がいるよ、悪いことしてたら連れていかれちゃうからね」姑がそう話しているのだ

娘達にいつから言われてるのか聞くと気がついた時にはもう言われてたという

 

「おばあちゃんは私たちが騒いだり片付けなかったりするとよく言うの」

そういった話を今まで私自身にされたことがなかった為帰宅した主人にも聞いてみた

すると「あ~それね、俺も小さい頃、おばあちゃん(姑の義母)にも同じ事言われてたな」

そういう習わしか何かなのかと聞くと

「詳しくはわかんないけど屋根裏に神棚があるらしくて世代交代すると入っていいらしい」

「だからいまだに屋根裏には入った事ないけど父から母に引き継がれたからかな」

そんな話を聞いたが子供に言ううこと聞かすための物と

少しお供え物する風習があるくらいにしか思わなかった

 

夏休みに入り親戚の男の子が2週間泊まりにきた

男の子名前はけいくん14歳の中学生だ

地元でいじめにあってしまったらしく

気分転換にこっちにいかせて欲しいとのことだった

かわいそうにと思い了承したがけいくんがきてすぐに後悔した

 

ご飯にはしょぼい、まずいとケチをつけるし

近所の畑を荒らし作物がダメになってしまった

冷蔵庫に入ってるジュースやお菓子は1日なくなってしまい娘達は泣いた

何より腹が立ったのは娘達と私がお風呂には言いていると無理やり入ってくることだ

主人にけいくんの両親と話させてとお願いしたら本当のことを話した

 

けいくんはいじめにあったのではなくいじめをした加害者だった

被害者がその地域の地主の子だったらしく、ことは大事になり追放されたとのことだった

ただけいくん両親の仕事の都合上すぐに引越しができないため

周りに人のいない私たち家族に白羽の矢が立ったとのことだった

話を聞いた私は頭に血がのぼり冷静ではいれなかった

 

二日目の朝には荷物をまとめ娘達は私の実家に行かせた

小学4年生と2年生の女の子何かされでもしたらと考えるだけで震えが止まらなかった

娘がいない状況に姑から事情を聞かれたので、私は昨晩聞いた話と娘達にされたことを話した

 

すると姑は「そうか、わかった。あとは私がなんとかするでね、任せておきなさい」

静かにそうおっしゃられた

 

姑は孫娘達をものすごく可愛がっていた、まるで宝物のようにだ

だから先日の屋根裏の話はびっくりしたのだけども

任せなさいと言った時の姑の顔を静かだが怖いものを感じた気がした

 

けいくん滞在2日目

娘の避難の準備のため早朝には家を出ていたのでけいくんと姑と会ったのはお昼だった

しかしけいくんはお昼のそうめんをぶちまけると「クソだなw w w」と大笑いしそのまま外に出ていった

あっけに取られていると姑は「そのうちだから」と言う

意味はわからなかったがそのうちお説教するとかかな?と解釈して「そうなんですね」と答えてた

 

主人が夕方に帰ってくる頃には家中散らかりまくり壁の何箇所は穴が空いてた

それを見た主人は「まるで猿だな」と引き攣りながら笑ってた

お風呂は昨日件があったため主人と一緒に入ることにした

主人は若いときみたいだと喜んでいたがすりガラス越しに人影があるのを見た

私の着替えはビニール袋に入れ浴室に持ってきてたので主人の下着しかない

明らかに姑とは違う服の色にけいくんだと確信し恐怖した

 

けいくん滞在3日目

朝食、昼食をぶちまけ残ってた数少ないお菓子をたべてたがさすがお腹が空いたのだろう

夕食は文句言いながら犬のような食べ方で完食してた

食べ終わりと自分の部屋でゲームをしたいのか風呂にも入らず部屋に戻った

私が食べ終わる頃に姑が

「明日からは私がけいくんの食事を用意するから私さんは少し先に簡単に食べてくれるかね」

と提案してきた

 

この地域は冒頭でも話したがお菓子やジュースが欲しい時は車が必要だ

そして子供が幼くお菓子を常備している家は私たちの家くらいだ

その家のジュースやお菓子がやっとなくなってきたのだ

私は「なるほど食べ物で躾けるつもりなんだ」と納得し、承諾しました

 

主人と私のご飯は基本街で摂るように言われた

全部が全部外食と言うわけにも行かないので早めに起き朝食、昼食用におにぎりを作る

夕食は主人と街で食べて帰る

 

帰宅すると荒れ果てた台所、居間にびっくりした

姑に聞くと「お菓子とかを探したみたいなんだ、まぁないのだけど」

姑はたくあんと白ごはんと具なしのお味噌汁だけ準備し器によそわずけいくんをほっといたそうだ

姑さんは準備する時つまんでいるためご飯の時間になっても何も用意されないことに

棚や物置や居間を大暴れし回ったとのことだった

 

そして疲れたのか部屋でぐったりして寝ているとこと

「ご飯よそって食べなと言ったがよそうって意味がわからないらしい、全くどう育ててきたのかね」

と呆れ顔した姑の頬は何かで擦れたのか赤くなっていた

消毒し絆創膏を貼って「一日ありがとうございます」と伝えると

「あんなんでも孫だからね、もう少しだけ待っとくれ」と申し訳なさそうに言った

さすがの主人もマズイと思ったらしく期間を1週間にすると連絡してた

 

けいくん滞在4日目

お腹が空いて力が入らないのだろう、だいぶおとなしい

けいくんと姑を残し仕事に出かける主人と私

帰宅するとけいくんの姿が見えない、家の中は朝と同じで綺麗だ

姑に「今日はどうでしたか?」と聞くと

「おとなしいものよ、お茶碗にご飯よそって見せてこれがよそうってことだと教えたら山盛りに持って押し込んで腹一杯食べて、お昼も同じお味噌汁もしっかり飲んでまた寝ての繰り返しだ夕飯も同じ」

すごいなっと感心してると明日からはご飯しか用意しないから家に食べ物を持ち込まないでおくれ

と忠告れた、ここまでけいくんがおとなしくなったのだから疑問を持たず従う

 

けいくん滞在5日目

出かける時に見たけいくんは別人のように静かだった

夕飯時に主人から「ちょっといいかな」と言われ「何?」と聞き返すと神妙な面持ちで話し始めた

主人「けいくんさおとなしくなったよね」

私 「そうね、よかったわよね」

主人「・・・本当に良かったのかな」

私 「・・?どう言うこと?」

主人「なんかさ気のせいかもしれないんだけど、母さんなんかやってるんじゃないんかな」

私 「何かって食べ物で躾けているんでしょ?」

主人「そりゃそうなんだけど、そうじゃなくて・・・」

私 「??」

主人「屋根裏の神様の話覚えてる?」

私 「そりゃね、それがどうしたの?」

主人「屋根裏の神様のお供え物って見たことある?」

私 「ないけど、お姑さんが早朝にやってるよね?」

主人「そうなんだけど一応ルールがあって、甘いものと肉類のおかずもお供えするんだ」

私 「へー知らなかった」

主人「でも今、自宅にはあってもご飯とたくあんくらいだろ?どーしてんのかなって」

私 「確かにその話聞くとそう思うけどお姑さんの部屋に隠しててお供えだけはちゃんとやってるんじゃない?」

主人「あとさお供え物に”肉”ってあんまり聞かないよね」

私 「・・・そうね、油揚げとかは聞くけど」

主人「なんか結構俺の地元って独特だなって思ってきちゃったんだよね」

私 「まぁそうだけど私たちにはなんの害もないし」

主人「まぁそうなんだけど母さんのことちょっと怖いなって」

私 「もう少し様子見てみよう、気を張ってるだけかもしれないし」

主人「・・うん」

私 「・・・」

 

私たちが帰宅した頃にはけいくんは寝てた

姑だけは静かに起きており「ただいま戻りました」と伝える私たちに

「おかえり、疲れたでしょう。お風呂あったかいわよ」と優しくしてくれる姑

どこが怖いのか全然わからなかった

風呂上がりに姑に「買い足すものとかありますか?」と聞くと

「そうねそろそろいいかね、砂糖とあずきと鶏もも肉お願いしようかね」と言われ

久々に頼ってもらったのが嬉しかったのか「はい!わかりました!」と勢いよく返事してしまった

 

けいくん滞在6日目

明日にはけいくんは帰ると言うことを朝食をとってるけいくんに説明する

けいくんは力無く「はい」と答える、荷物を今日中にまとめてねと伝え仕事に向かう

今日は土曜日の為私の仕事は午前中で終わるので

頼まれたものと姑の好きなシュークリームも人数分(4人分)買う

 

自宅の玄関に立った時家の中から何か声が聞こえる

耳を澄ませると「・・・めて・・・・めてくださ・・い」と家の奥からなのかよく聞こえないが

叫んでる感じにも聞こえる、家に入ることを躊躇ってると

隣の家のおばあちゃん(姑とほぼ同い年)が話しかけてきた

隣「仕事は終わったんかい?お疲れ様あ~」

私「あ、お疲れ様です~(家に来るの珍しいな)」

隣「今ね、入んない方がいいよ」

私「え?」

隣「あんたさんが帰ってきたら止めてって言われててね」

私「お姑さんにですか?」

隣「そうだよ、買ったものもあるだろうからこっちのお家においで」

私「・・・はい」

そう言われ隣のおばあちゃんちにお邪魔した

なんとなく詳しく聞いちゃいけないようなそんな雰囲気だった

おばあちゃんは時計を見て

隣「あと3時間は行かないほうがいいから一緒にお昼食べようか」

とまるで近所の子供と話すように優しく接してくれる

 

お昼をいただき、お茶を啜ってる時におばあちゃんが話し始めた

隣「ここに嫁いでまだ10年ちょっとだね」

私「そうですね」

隣「あんまり詳しくは言えないんだけどね、ちょっと話そうかね」

私「はい」

隣「今ね、あんたさんの家でやってることは昔からやってることなんだ」

私「・・・はい」

隣「これは当主とか世帯主とかいわば家の主人が引き継いで行うことなんだ

  何もなければお姑さんがなくなって息子くんがついで息子くんが先に死んだらあんたが継ぐ

  妻が先に死ねば子供にって感じだね」

隣「そんでなこの地域では屋根裏に飼ってる物がいるんだ、

  普段は”神様”なんて言ってるがそんな大層な物でなんかないんだ」

隣「それはこの村ができて間もない頃からおって主人以外は関わってはいけないんだ」

私「ちょっちょっと待ってください!なんですかその話!屋根裏に飼ってるって!

  動物か何かですか?え!?全然追いつけないんですけど!!」

隣「黙って最後まで聞きなさい。生き物ではない実態を見ることはない。

  朝のお供え物を欠かさず静かに過ごせば問題はない、ただ・・・」

私「・・・ただ?」

隣「うるさくしたり家を勝手に破壊すると怒ってしまうそうだ。私の家はそういう事にもそういう子も

  いたことがないから実際に見たのはあんたさん家にきてる男の子で初めて見るよ」

確かにこの地域はそもそも子供も少ないし現在いる村の子供たちはとてもおとなしい

この話を聞くまでただただ遊ぶものがなくつまらないからかと思ってた

 

隣「お姑さんは屋根裏のと一緒になって男の子を躾けてる最中なんだ

  だから今家に入ってはいけないよ」

おばあちゃんはそう話終えるとお茶を啜った

ふと自分の携帯電話を見るとメールが1件来てた

確認してみると主人から「仕事が早めに終わったから帰るね」との連絡

隣のおばあちゃんに「主人も帰ってくるみたいだから玄関前で待ってるね」と伝え自宅へ

 

玄関前に立つと何か物がぶつかる音はするが声は聞こえない

15分くらい立つと主人が帰宅したので隣のおばあちゃん家に一緒に向かった

おばあちゃんに着くとお茶を出してくれて私にした話と同じ話を主人にもしてくれた

話を聞き終わった主人は顔を真っ青にしガタガタと震えていた

私が大丈夫か尋ねると「あ・・・俺・・思い出したかも・・・」と小さい声で話始めた

 

主人が14歳の時に反抗期を迎えた

その時は主人の祖父がまだ健在で祖父が家の主人だったそうだ

ある日反抗期のせいでイライラしてた主人は勢いに任せて壁を蹴ったそうだ

その瞬間何をしても怒らない祖父が般若のような顔になり手を掴み屋根裏に連れて行かれたそうだ

そこからの記憶は曖昧だがすごく怖かった気がするそうで

なんで今まで覚えてなかったのだろうと不思議そうにしてた

 

おばあちゃんが時計を見て

「もう終わっただろうから、おかえりなさいね」と教えてくれた

一応玄関のチャイムを鳴らす、少し後にはーいとお姑さんの声が聞こえる

「ただいま戻りましたー」と大き声で答えるとお姑さんが扉を開けて

「おかえり~」と優しい笑顔で出迎えてくれた

 

姑の後ろには少し痩せたけいくんが玄関に正座で座っており

三つ指ついて「お帰りなさいませ」と出迎えてくれた

その後はお夕飯の準備片付け、お風呂の準備、お布団の準備全てを黙々とこなし

就寝時には「今日までの1週間ありがとうございました、この御恩忘れません」と

深々とお玉を下げて自室に戻って行った

 

翌日けいくん両親が迎えに来たのだがけいくんの変わりようにものすごく驚いていた

姑は「甘やかしてばかりが愛情ではないよ、次はないからね」と真顔で話してた

けいくんたちも帰り、3時のおやつの時間にお姑さんに

「色々とありがとうございました、明日には娘たちも戻ってきますし今後ともよろしくお願いします」

と話すと「孫娘に何もなくて本当に良かったよ~」と笑顔で言ってくれた

 

姑が実際に何をしたのかはいまだにわからない

”屋根裏の神様”に本当に実態がないのかあるのかもわからない

私が知るときは主人が私より先に死んだ時だけだ

去年姑が亡くなりました、その次の日から主人は朝4時には起きてお供え物をしています

主人は何かを語ることはありませんがついこないだ

「俺が死んだ時に引き継いでほしいものを纏めて弁護士さんに渡してあるからね、

 すぐ連絡するんだよ」

とだけ言われこの話を思い出しました

 

ぬん