中国の軍事力の膨張と海洋進出は、直接間接に周辺諸
国に様々なインパクトと対応の変化を引き起こしつつあ
る。
南シナ海水域の島しょをめぐる中国とASEAN関係諸国の
緊張関係は、周知の通りであるが、米国、日本、豪州、
インドも安全保障上の相互対話を緊密化し、さらに共同
軍事演習の実施にまで連携を拡大し、強めてきていること
が注目される。
日本と豪州は、永らくそれぞれ米国と2国間同盟関係に
あるが、近年これら3国間の安全保障対話をも緊密化し
てきており、日米豪閣僚級戦略対話の第4回目を2009年
9月実施した。
また、日米両国は、インドとも高級実務者間協議の第1回
会合を2011年12月にワシントンで、第2回目を本年4月
東京で開催し、さらに3回会合をインドで開催する予定とさ
れる。
パネッタ国防長官は、本年6月6日インドを訪問し、アント
ニー国防相との会談後、ニューデリーでの講演の中で米
国が打ち出したアジア太平洋地域を重視する
新しい国防
戦略を説明し、「東アジアから南アジアにかけての弧を描く
地
域に軍事協力やプレゼンスを広げていく方針であり、
インドとの防衛協力はこの戦略の要の1つだ」とし、インド
との防衛関係を強化していく考えを明らかに
し、インドとし
ても、米国との関係強化をてこに軍備の近代化を一段と
進めたい考えであるという。
さらに、6月5日の発表によれば、海上自衛隊はインド海
軍との初の共同訓練を6月9日に相模湾で実施し、これ
にはインド海軍の駆逐艦などの艦艇4隻と海自の護衛艦
2隻やヘリが参加し、陣形訓練や捜索・救難訓練をする。
これは、日本とインドが2008年に発表した「安全保障協
力に関する共同宣言」に沿って、2011年11月の両国
防衛相会談でなされた共同訓練の実施に関する合意に
基づくものであるという。杉本正彦海上幕僚長は6月5日
の記者会見で「戦術技量の向上と友好関係の促進が
目的であり、アジア太平洋地域の安定した条件につなが
る」と述べ、アジット・クマールイン
ド東部方面艦隊司令
官は、別途取材の記者に「海自との訓練を通じた連携
は、海上輸送路の防衛や海賊行為への対応で意義の
あるものだ」と述べたとされる。
(Y. I. )
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2012年版中国の軍事力に関するペンタゴン報告書が
5月18日米議会に提出され、公表されました。
(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2012_CMPR_Final.pdf
)
推薦図書・資料
1.国際情報センター所長の茂田 宏氏監訳による【インテ
リジェンス―機密から政策へ】
マーク・M・ローエンタール 著
(慶應義塾大学出版会
http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418262/
)
2.「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力―2009
年版」(全和訳完全版)
( http://www.amazon.co.jp/
ペンタゴン報告書-中華人民
共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104)
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