ミャンマー情勢は、1年前からすっかり変貌した。
発端は、2011年3月の民政移管によるテイン・セイン大統領の誕生を契機として同国において進められてきた民主化に向けての諸改革や国民和解のための取り組みが単に見せかけのものではなく、かなり真剣なものと受けとめられはじめたことによる。
当初、それまで厳しい見方をとってきた欧米諸国の間には、これら動きが真の民主化に向けたものかどうか疑問視する向きも少なくなかったが、最近で
は、EUや米国政府も同国においてようやく民主化に向けた本格的ステップがとられ始めたと歓迎し、各国首脳・外相クラスも同国を訪問し、制裁措置の緩和に
踏み切りつつある。
我が国は、ビルマと呼ばれていた時代から同国と伝統的に良好な関係にあり、筆者も2年余居住したことがあるが、すでに同国に対し人道援助を超えた本格的政府開発援助の再開の動きを見せている。
我が国民間企業関係者のミャンマー詣でも始まっており、ヤンゴンのみならず、新首都ネピドーに支店を開設する商社も出てきている。
今後、ミャンマー政府は、4月1日に予定されている議会補欠選挙、明年の東南アジア競技大会(SEA
Games)の開催、2014年のASEAN議長国就任等を控えていることから、民主化に逆行する諸措置は採りにくいものと思われるが、同国は、かつてビ
ルマ式社会主義とも呼ばれた大国への等距離中立主義時代を含め、長期に亘る孤立政策を経験してきており、軍部出身指導層には、依然、急激な民主化、市場経
済への突入には抵抗があるとみられるので、中国等近隣大国の出方を含め、これからの内外状況の展開次第では、同国の政策の揺れ動きや紆余曲折等は大いにあ
り得るであろう。
(Y. I. )
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推薦図書・資料
1.国際情報センター所長の茂田 宏氏監訳による【インテリジェンス―機密から政策へ】
マーク・M・ローエンタール 著
(慶應義塾大学出版会 http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418262/
)
2.「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力―2009年版」(全和訳完全版)
( http://www.amazon.co.jp/ペンタゴン報告書-中華人民共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104
)
8月24日米議会に提出された最新版(2011年版)は、国防省HP(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf
)で御覧になれます。
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