大門句会勉強会その456 | sanshiroのブログ

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今回の兼題は遊介さん出題の「蟇・蟾蜍」です。

◇野里子
放課後の部活終はるや蟾蜍
いづこから蟾のつそりと目を閉じて
⇒部活は夕ぐれせまるころまでやっているのだろう。帰り道の草むらに蟾蜍が鳴く。
のっそりとということは動いているのですね。目を閉じるのは止まってからでしょう。また「閉じる」は旧仮名では「閉ぢる」。

◇蒼月
蟇まぶた重たし雨の中
大連の桜桃売りの声高し
⇒雨くらいでは動じないヒキガエルですね。眠いのでしょうか。
桜桃は大連の名物。日本のさくらんぼとは種類が違うらしいですが美味しいのでしょう。売り子の声も風物詩です。

◇馬空
蟇庭の主の面構へ
のしのしと歩く番長蟇
⇒大きなヒキガエルはどっしりとしていかにも主ですね。
この番長は小さな手下を引き連れているのか。

◇遊介
築山をゆるり巡りぬ蟇蛙
畦道の小石の如き蟇蛙
⇒築山は庭に作られた小山ですね。この庭に住み着いているのでしょう。今日は巡回視察。
大きいのなら体長17cmといいますから小石どころではないですね。

◇光
悪餓鬼と蟇と向き合う校舎隅
良く見ればわしに似ている蟇の顔
⇒悪ガキだけどヒキガエルはちょっと苦手。睨んでいるがヒキガエルのほうは我関せず。
ヒキガエルに似ているとはどんな顔? かなりぎょっとする顔ですよ。目つきが似ているのかな。

◇さら
新宅地先住民は蟾蜍
亡き友の愛せしミモザ花盛り
⇒開発される前はいろんな動植物の棲家だったのでしょう。蟾蜍もそのひとり。今はどこに行ったのか。
ミモザが咲く季節になると友のことを思い出す。

◇あかね
村里の道路拡張蟇
蟇秘密の話し盗み聞き
⇒人は蟇の棲家をどんどん奪っていく。
蟇が聞いているような場所での内緒話とはどんな話だろう。よからぬ話のような匂いがする。

◇夢路
だるまさんころんだ蟇が動いたよ
坪庭も四里五里となる蟇
⇒蟇も一緒にだるまさんがころんだで遊んでいる。案外蟇はピタッと止まるのが上手いかも知れない。
蟇にとっては狭い坪庭もはるかに広いということか。しかし蟇の移動距離は100mから200mらしい。意外と長距離を動く。

◇はな
蟇鳴くや乗り継ぐ駅の時刻表
止め石の露地苔生して蟇の声
⇒蟇が鳴いているような駅だから小さな田舎の駅でしょう。次の列車まで1時間待ちか。
止め石がおかれてここからは立ち入り禁止。蟇にとっては邪魔されないで生活できる場所だ。

◇勝山
庭に住む蟾と暮らして老後かな
仙人の使ひのごとく蝦蟇歩む
⇒庭に蟾蜍がいるということは緑に覆われた閑静な家ですね。老後には居心地がいいでしょう。
ガマガエルを見ていると自然と自分の内面を見つめる気持ちになる。仙人はなにも言わない。

◇三四郎
住職は蟾一匹や無住寺
永田町あたりの夜の蟾蜍