院長の高見です。
先日、クリニックでアレルギー勉強会をしました。大学病院勤務の時から定期的に大学関連の先生たちと情報交換をしています。私が開業してからは代々木上原のクリニックでやるようになり、今回で3回目になりました。
今回参加してくれたのは、いわつき小児科クリニック院長の戸塚先生、東京医大関連病院勤務で3児の母 長谷川先生、東京医大八王子医療センター診療科長の牛尾先生、瀬戸病院小児科の長井先生で、皆さんアレルギー疾患のスペシャリストです。
今回のメインテーマはアレルゲンコンポーネントと皮膚の減感作療法に関してでした。この話はちょっと難しいので、ここでは最近気になった「食物アレルギーに対する食事制限」に関してお話させていただきます。
10ヶ月検診の時、「アレルギーが心配なので、まだ卵は食べさせていません」というお母さんがいらっしゃいました。「以前に卵を含む食品を口にして何か症状が出たことがありますか?」と聞くと、「特にはないけれど、なんとなく心配だから1歳までは食べさせないようにしようと思っています。」とのことでした。また、3ヶ月で予防接種にこられたお母さんから「子どもの湿疹が気になるので、私が卵を食べるのを制限しています。」というようなお話を耳にすることがあります。
確かに鶏卵、牛乳、小麦など、アレルギーの原因食品となりやすいものは離乳食として遅く開始する、もしくは一度アレルギーの原因となった食品は除去してよくなるのを待とうということが推奨されていたときもありました。しかし、最近では比較的食べていって皮膚症状などを外用剤でコントロールしていくという方向に変わってきています。目的は皮膚をツルツルに管理することではなく、バランスの良い食品を摂取し、お子さんにとって総合的に正常な発達を得ることだからです。
この話題の時にいつも引用されるのがピーナッツアレルギーの研究報告です。ピーナッツの摂取量が多い国と少ない国で比べてみると、小さい時からピーナッツを食べている国の方がピーナッツアレルギーにならず、食べない国の方がかえってピーナッツアレルギーの割合が多いという結果だったという話です。このブログの「カクレクマノミ」のところでお話しましたが、カクレクマノミが幼魚の時から少しずつイソギンチャクの毒に慣れていくということにも似ていますね。
また、授乳中のお母さんの食事制限についてです。お母さんが口にしたものは当然母乳から排泄されますが、そのアレルギーを引き起こす物質(抗原)量は10万~100万分の1に過ぎないことが分かっています。実際にお母さんに食事制限が必要となるのは、本当に重症なごく限られた方のみですので、ご自分の判断で制限することはせず栄養に偏りのない食事を摂ることを心がけてください。
いわつき小児科クリニック http://www.iwatsuki-syounika.jp/
東京医大八王子医療センター http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/
瀬戸病院 http://www.seto-hospital.or.jp/index.html
