二次性頭痛(その他) 24  低血糖による頭痛 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

『国際頭痛分類第3版 β版』の二次性頭痛のグループ10に分類された“ホメオスターシスの障害による頭痛”は,従来“代謝性または全身性疾患に伴う頭痛”とよばれていた頭痛で,低酸素血症あるいは高炭酸ガス血症による頭痛,透析頭痛,高血圧性頭痛,甲状腺機能低下症による頭痛,絶食による頭痛および心臓性頭痛を包括する概念です.
 ホメオスターシスとは恒常性,生体恒常状態のことです.生体は血圧,酸素濃度,血糖値などを一定に保つ機能があります.これが乱されて起こる頭痛を「ホメオスターシスの障害による頭痛」といいます。初発あるいは既存の一次性頭痛が著しく増悪し,新規の頭痛の発症あるいは増悪時期がホメオスターシスの障害と一致している場合,その頭痛は“ホメオスターシスの障害による二次性頭痛”とコード化します.確定診断には,「ホメオスターシスの障害が軽快した後,その頭痛が消失あるいは著明に改善することが必要である」と定義されています.

 今回は「絶食(低血糖)による頭痛」についてです。


インスリン過剰分泌は「酸化ストレス・炎症体質」を悪化させる


 まず、血糖値を急上昇させると太りやすくなり、片頭痛にもよくありません、ということを説明しましょう。
 血糖値というのは血液中のブドウ糖の濃度のことです。ブドウ糖というのは、ご飯や麺類などの主食に多く含まれる「糖質」が分解されたもので人間が活動するための主なエネルギーになります。食事をすると糖質が消化吸収されブドウ糖になり吸収され、血液によって体のあちこちに運ばれます。
 血液の中のブドウ糖はそのままではエネルギーとして使えません。血管からエネルギーを使う器官の細胞に取り込まれないといけないのですが、その取り込む役割をするのが「インスリン」です。
 インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、食事をして血糖値が上昇すると分泌量が増え、血中に増えたブドウ糖を細胞に取り込みます。
 その取り込まれたブドウ糖がエネルギーになって、人間は活動することができるのですが、余分にとってしまったエネルギー(ブドウ糖)は脂肪として蓄えられてしまいます。ですから必要以上に血糖値を上げない方が良いのです。
 急激に血糖値が上がりすぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにインスリンが過剰に分泌されることになります。過剰に分泌されたインスリンは血糖を下げすぎることになります。血糖値が下がりすぎると、血糖を適正なレベルに戻そうとするからだの仕組みが働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー源として放出されるようになります。
体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費がバランスしていれば問題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバランスが崩れてしまうと血液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。

 お菓子などの甘いものを食べると太りやすいといいますが、それは甘いものには非常に消化吸収の早い糖質である「砂糖」が多く含まれていますから血糖値が急激に上昇してしまいます。その急上昇に対応するため多くのインスリンが分泌され、すぐに使い切れないほどのブドウ糖が肝臓に運ばれ脂肪になってしまうのです。
 そのように、食べる糖質の種類によって、あるいは食事の仕方によって、血糖値の上がり方に違いが起こります。
 緩やかな血糖値の上がり方なら良いのですが、急上昇と急降下を繰り返すような食事をしていると太りやすいのです。上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンが頑張って中性脂肪をたくさん作ってしまうということなのです・・・
 また、急上昇急降下の食べ方はすぐにお腹が空くので、食べる量が多くなってしまいますし、いつも大量のインスリンを出していると膵臓が疲れてしまい糖尿病になりやすくなってしまいます。
 では、どういう食事をすると、血糖値の上がり方になってしまうのかというと、お菓子を食べる、ソフトドリンクを飲む、などの糖分摂取だけでなく・・
「いただきます」と言ってすぐにご飯を食べる。
 朝食を抜くなど食事と食事の時間を長くあげてしまう。
そういった食べ方は血糖値が急激に上がってしまうのです。最近よく、食べる順番を工夫することが片頭痛治療・ダイエットに役立つといわれますが、食事の最初に食物繊維をとることが血糖値の急上昇を抑える効果があるからなのです。

 さらに活性酸素は細胞にインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)を高めて、それにより糖尿病や動脈硬化を引き起こしやすい状態をつくるという悪循環になります。
 インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)は、それ自体で「酸化ストレス」を促進すると言われています。
 これらによって引き起こされる炎症反応は活性酸素の増加や細胞の酸化を促進する要因になります。
 血液中に溢れる遊離脂肪酸も直接的に酸化ストレスを増加させる要因になっています。
 血液中に大量の遊離脂肪酸があると、血液の酸化が亢進します。
 また、脂質が酸化されると細胞が障害されてしまいます。
 細胞を包む膜の活性酸素産生、細胞内のミトコンドリアでの活性酸素産生も促進します。
 また、肥満化した脂肪細胞からは様々な生理活性物質(アディポカイン)や炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が分泌されます。
これらの生理活性物質や遊離脂肪酸などが合わさって、身体の「酸化ストレス」を促進する要因となり、全身の障害を招くことになるのです。


低血糖にも注意が必要


 ところで、皆さんは甘い清涼飲料水やお菓子をよく召し上がりますか? これらに含まれる糖質は、私たちの体が短時間に分解・処理可能なレベルを超える量が含まれているものが数多く見受けられます。
 体内でどのような変化が起きるかを見てみると、清涼飲料水やお菓子を過剰に摂取すると急激に血糖が上がり、その上昇を抑制するために、膵臓からインスリンが分泌されます。 インスリンには血中のブドウ糖濃度を調整してくれる働きがあることはご存知のとおりです。清涼飲料水などの消化吸収のよい糖質を短時間でとると、体はたくさんの糖質が摂取されたと認識してインスリンを過剰に分泌します。その結果、血糖値が必要以上に下がり過ぎるという現象が起きます。これが低血糖です。
 急激な血糖値の低下も、体がストレスを感じている状態です。そうなると、今度はそれを適正なレベルにまで戻そうと体が働き、アドレナリンなどのホルモンが分泌されます。 すると、体脂肪が分解されて遊離脂肪酸が血液中に放出されて濃度が高まり、これが活性酸素を発生させて片頭痛の原因となるわけです。
 スポーツドリンクや清涼飲料水などを大量に飲み続けることにより引き起こされる「ペットボトル症候群」という現代病もこのようにして発症します。体がだるい、のどか渇く、トイレに行く回数が増えるなどの急性糖尿病的な症状や、ひどい場合には血液が酸性になり昏睡状態に陥ることもあります。
 清涼飲料水やお菓子のとり過ぎ以外にも、過激な運動や無理な絶食なども血液中の遊離脂肪酸の濃度を高めることにつながります。ご注意ください。


頭痛が甘いものを食べると治るのは低血糖!?改善のための4つのポイント


頭痛が起きている時に甘いものを食べると治ったり、甘いものを食べると頭痛がするという人は、血糖値が不安定になっていることに気づく必要があります。甘いものによって急激な血糖値の乱高下が起こり、大きな影響を与えます。そのままにしておくと、糖尿病のリスクがかなり高い状態となり、脳卒中などの原因にもなってしまいます。頭痛がするとなぜか甘いものが食べたくなるという人は、病的リスクを回避し、食事を見直すことをお勧めします。


頭痛と甘いもの関係は…


お菓子


 甘いものを食べると頭痛がする人もいれば、頭痛がしたときに甘いものが食べたくなり、食べると治るという人がいます。この甘いものと頭痛には2つの関係があります。一つはセロトニンの問題、もう一つが血糖値です。

 頭痛の原因は様々ですが、その一つがセロトニンが分泌しすぎて血管が拡張してしまうためではないか、と言われています。甘いものを食べると、一時的にセロトニンが増えるため、甘いものを食べると頭痛がするという仕組みが考えられるのです。しかし、このセロトニンによる影響よりも怖いのは、血糖値が不安定になって起こる頭痛です。

 糖質を食べると、誰でも一時的に血糖値が上がります。特に砂糖を多く含む甘いものは急激な血糖値の上昇を起こします。急激な血糖値の上昇は身体にとって大きな負担となるため、急いで血糖値を下げる必要があります。そのため、急激に上がった血糖値は急激に下げることでバランスを取っているのです。脳は、血液中の糖をエネルギーとして使っていますが、その量が安定している時が一番活動がしやすい状態です。甘いものを食べると、脳内のエネルギー量は上がったり下がったりとジェットコースターのように不安定な状態です。特に、血糖値が下がると、脳はエネルギー不足を感じ活動が低下します。脳血流の低下など様々な影響を起こすため頭痛が起きてしまうというわけです。

 頭痛の時に甘いものを食べて治るのは、下がりすぎた血糖値を上げることで脳のエネルギー供給ができて、痛みが軽くなるというわけです。

 じゃあ、頭痛の時に甘いものが食べたくなるのは当たり前で、それが治療法になるんだ!と思うのは大間違い。頭痛を治すために食べた甘いもので、また次の血糖値不安定を作り出してしまうのです。


眠気の原因は糖分にあった!低血糖を防ぐ3つの対策


頭痛が甘いもので治る人の病的リスク


 頭痛と同時に、無性に甘いものが食べたくなる、我慢できないくらい食べたいと感じるようであれば、かなりの血糖値不安定が起こっていることでしょう。甘いものに関係して頭痛などの症状をおこす人は「機能性低血糖症(以降、低血糖症と略)」という状態の可能性があります。

 低血糖症は、血糖値を下げるインスリンというホルモンが必要以上に出てしまい、血糖値を下げ過ぎてしまいます。自然に安定した状態であれば、食後の血糖値が食前の血糖値を下回ることはありません。しかし、低血糖症の場合は、血糖値が食前を下回ることが起こってしまうのです。つまり、食べる前よりも血糖値が下がるというおかしな状況です。 エネルギーを確保するために食事をするのに、これで脳へ届けるエネルギーが供給できなくなります。これでは生命維持として困るので、筋肉を壊したりしながらエネルギーとなる糖質を作ります。この時に分泌されるホルモンの一つがアドレナリンです。
 血糖値が下がると、特に興奮しているわけでもないのに大量のアドレナリンなどが分泌されます。アドレナリンは血管を収縮させるので、頭痛の原因となり、同時にイライラの原因になります。普段からイライラした時に甘いものを食べると治る人は、低血糖症の可能性がかなり高いでしょう。
 この低血糖症に気が付かず頭痛のたびに甘いものを食べ続けると、やがて糖尿病へと進行します。低血糖症の場合は、高血糖と低血糖を繰り返してしますが、糖尿病は血糖値を下げる機能が破たんし高血糖状態が続きます。

 糖尿病になると血管障害による脳卒中や心臓病などの合併症がおこりやすくなります。 血管障害が起こるのは脳の血管も同じです。糖尿病になると脳卒中や脳梗塞のリスクが高くなるのは周知の事実ですし、そうなれば頭痛どころではありません。実際に、脳卒中を起こした人の多くが、糖尿病などの高血糖に気が付いていなかったということもわかっています。脳梗塞の発作が起これば、麻痺や言語障害などが起こり、ひどい場合は死に至るのです。


甘いものをやめれば頭痛も治る。4つの改善方法とは


 頭痛が低血糖で引きおこされ甘いもので治るのであれば、血糖値が安定すれば頭痛もなくなるということになります。普段から頭痛に悩まされている人は、血糖値を安定させる工夫をしてみましょう。血糖値を安定させるためには食事改善が一番です。


•食事バランスをタンパク質重視にする
•食べる順番を汁物→野菜→肉や魚→ご飯に変える
•砂糖を含まない間食をする
•長時間の空腹時間を作らない


 この4つのポイントを押さえて食事を見直してみましょう。低血糖が起こりやすい人は、大抵炭水化物重視の食事になりがちです。ご飯や麺類、パンなどが多いのではないでしょうか?甘いものに限らず、炭水化物でも血糖値は動きます。普段の食事をタンパク質重視にすることで、血糖値を安定させましょう。間食にはゆで卵やスルメイカなどのタンパク質類がお勧めです。大切なのが、長時間の空腹な状態を作らない事です。食事はしっかりタンパク質重視であっても、長い時間何も食べなければ結局低血糖を起こしてしまいます。 空腹に気づく前に何かを食べるという習慣をつけましょう。


まとめ


 頭痛の原因が甘いものだと分かっていれば、頭痛に対する改善方法があります。甘いものをやめることができれば頭痛もなくなることでしょう。甘いものの影響で頭痛が起こっているのですから、元を断ち切れば快適な生活になるのです。低血糖症がひどい人ほど、甘いものを断ち切ることができないといわれています。自分自身の甘いものへの依存に気づき、頭痛のない快適な生活を送られることを祈っています。

もっと詳しいことは以前にも記事にしました。以下をご覧下さい。


特殊な原因の片頭痛 (8)ホメオスタシースの乱れ


   http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11959163978.html


当医院のインフォームド・コンセント (10)食事はゆっくり、よく噛んで


   http://ameblo.jp/yoyamono/entry-11964000277.html