節約アドバイザー ヨースケ城山ブログ

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転職により、大幅な年収ダウン しかし節約の本も出している著者は違った!!いかに生活費を押さえ、楽しく生活していくのかを実践してきた節約アドバイザーの著者が今度は節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのこと語ります。



第6話 未払賃金立替制度


 

★プロローグ 

 

 「もう限界だ」とつぶやいて

 

 あるコンビニのオーナーが失踪してしまった。

 

 

 

 コンビニの本部からも借金をしながらなんとかやってきたが、24時間のお店を回すのはとにかく大変であった。


 雇っている店長にはなんとかうまく言いくるめて、長時間労働、少ない休日で働いて来てもらったが、それでも限界である。


 そもそもフランチャイズの経営は基本は夫婦である。または兄弟、親族。いずれにしても2人で経営するというのが条件なのである。

 

 

 

 雇っている店長は経営者ではない。


 オーナーにはかつて奥さんがいたが、コンビニの経営に嫌気が差して離婚して辞めてしまった。


 本部は代わりの経営者を立てろと言って来てはいたが、いないものはしょうがない。


 オーナー、店長、アルバイト少数の人数でなんとか回してきたというのが現実である。

 

 

 

 それほど人件費を抑えていても利益は出ていなかった。


 目の前には他のチェーンのコンビニがあり、なおかつ、同じチェーンの店が100メートルだけ離れたところにある。


 平均日販も40万円という苦しい立地である。

 

 

 

 オーナーが初出店した時はこうではなかった。


 店の前はただの駐車場で何もなかった。


 同じチェーンの店も初出店時は他のチェーンの看板を出していて、差別化はされていた。


 初出店時の平均日販は65万円である。同じチェーンに裏切られたのと一緒だった。

 


 

 要は経営が苦しくなってとんずらしてしまったのだ、従業員の給料の未払い分を残したまま・・・



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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★村上さんからの支払い
 
「今回は本当にお世話になりました。結局会社都合になり、退職金も3割増になりました。ありがとうございます。でもこれは先生も想定していなかったお金なので私が全部いただきます」と秀子節が全開だ。

「そうですね。私も想定外でしたよ。それには・・・ ところで新居はいかがですか?」


「そうですね。もっと良いところに住みたいというのが本音ですけど。団地でしょうがないですね」と秀子


「それで、先生はいつうちにいらっしゃいますー」としつこい


「まあ、そのうちに・・・」と言葉を濁した。
 
「ところで支払いの方法ですが、Jコインで大丈夫ですね?」


「もちろん大丈夫ですけど、使い方がわからないんで教えてくれますか?」と言って瀬奈の隣の席にスマホを持って移動してきた。


「どうやるんですか?」と言ってにじり寄ってくる。

 いや、近すぎるだろうと瀬奈は思ったが、我慢我慢と自分に言い聞かせて、秀子にピッタリとついて教えてあげる。


「まずはJコインのアプリをダウンロードしましょう」


「えーわかんないー どれを押せばいいの?」


「こちらです」と瀬奈がスマホの画面を指す。


「これですか?」と秀子が言って、アプリをダウンロードする。

 そのダウンロードの待っている間に秀子がとんでもない事を言いだした。


「先生は独身ですか?」


「一応そうですね。バツイチで娘が一人います」


「あら、良いですね。私も娘が欲しかったんですー 娘なら老後も話し相手になるじゃないですか?」


「そうですね。でも妻のほうが引き取っていますのでほとんど会話はないです」


「先生が引き取ったらいかがですか?なんなら私と一緒になって・・・」
 
「あ!ダウンロードが終わりました。これでようちょ銀行の口座を入力してください」


「瀬奈 秀子って名前も良いわね・・・」


「早く、入力しないと時間切れになりますよ」と瀬奈


「あ、そうなの」とあわてて銀行口座を入力した秀子
 
「はい、これで完了しました。私の方から初回の請求書を村上さんのスマホに送りますね」と瀬奈


「今、送りました。これは電話番号だけでお金のやり取りができるすぐれものです。どうですか請求書が届きましたか?」と瀬奈が聞く。
 
「はい、届きました。でも先生のLINEは聞いてないですよ。ID教えてもらえますか?」と秀子


「いや、LINEはやっていません。メッセージだけで十分です。必要な事はメッセージで送って下さい。では届いた請求書を開いていただいて、この金額で合っていれば、送信ボタンを押して下さい」と瀬奈


「金額も大丈夫です。送信っと」秀子
 
「はい送金完了です。私のスマホに入金されました。これからは支払いのたびにこの要領で請求書を送りますので、送金をお願いいたします」と事務的に瀬奈
 
「先生、ありがとうございます。でもまだ使い方が不安だわ、先生良かったら、一緒に住みませんか?」


「いや、覚えれば簡単ですよ。わからないことは都度教えますから」と瀬奈は頑張る。


「私、先生を好きになってしまいました。これからも相談に乗ってもらえますか?」と秀子も頑張る。


「相談は仕事ですから構いません。ただ先程、私は嘘を付きました。バツイチと言いましたが、実は妻は病気で亡くなったのです。ですから今でも妻の事を愛しています。ですから私は他の女性とはお付き合いできないのです。嘘をついたのは病気で死んだことを話すのが辛いからです。察していただけるとありがたいです」と苦渋の顔で話す瀬奈。


 
「そうだったんですね・・・」とハンカチで涙を抑える秀子


「では友達からという事で・・・」と秀子は言った。


「そうですね。友達からで・・・」と瀬奈が言った。

 秀子は落胆しながらも帰っていった。


 私は驚いていた。陽菜と瀬奈の会話は始終聞いているが、元奥さんの話はほとんど出た事がない。


 もしかして本当に病死で2人は心の奥底に思い出をしまって触れないようにしているのだろうか?私はその健気さにスマホながらに涙マークが出てきた。





「ちょっとーなに勝手にお母さんを殺さないでよ!」と陽菜が奥から出てきた。


「うるせーなー、なに盗み聞きしてんだよ!どんな人なのか見てみたいというから、隙間から見ていろと言ったが、大人の話に口を挟むな!」


「まあ、いいけどさ、でもこれお母さんに言っちゃうよー、依頼人のおばさんに言い寄られて、お母さんが死んだことになっているって」と陽菜が笑いながら言う。


「いや、まてあんなおばさんに俺がどうにかなるわけ無いだろう」と瀬奈


「どうかな?奥から見てたら、まるで夫婦みたいだったよ」と笑う陽菜


「あいつにはこの事を言うなよ!」


「いや、絶対言う!最高に面白かったもん!」

 私は涙マークをデリートした。


 やっぱり瀬奈は私の知っている瀬奈だ。


 適当な瀬奈だ。


 でも良かった。もしあの女と瀬奈が付き合ったりしたらと思うとゾッとした。それは私に送金してきた女のスマホからも私に好意のオーラが出ていた。


 でもあの女のスマホはあの女同様、他人への憎悪で溢れていた、これからもあのスマホから好意と憎悪の送信が来ると思ったら恐ろしい。

 第5話 完



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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★大屋敷の作戦
 
 大屋敷とは事務所で会うことになった。


 ちょうど娘の陽菜も来ていた時だったので、今回のあらましを簡単に説明しておいた。


 まず、ビックリしていたのが、東京オリンピックの開会式のペアチケットだった。


「大屋敷さんてお願いすれば、何でも手に入るんだね・・・ドラえもんみたい」と陽菜が笑って言った。


「いや、今回はさすがに苦労したみたいだな、結構お金も使っているみたいだし・・・」と瀬奈も苦笑いする。
 
「しかし最後のあのウルトラCはどうやったんだろうな?」と瀬奈がつぶやく。


「ねえ、パパ?ウルトラCって何?リポビタンDみたいなもの?」と陽菜が聞く。


「死語だよ。昔の体操の難易度で超高難度の技のことをこう言ったんだよ・・・今ではウルトラCは聞かないけど今はI難度まであるらしいぞー」瀬奈はふと思いついた。


 そういえば昔は女の子の胸もCカップって言ったら巨乳だった。今ではIカップもいると聞く。体操の技の難易度と女の子の胸の成長は比例するのか?と馬鹿な事を・・・      
 
「何ボーッとしてんのよ、それよりも1200万円が相場の物件をどうやって620万円のを見つけたんだろう」と陽菜が率直に聞く。


「そうなんだよなー 案外単純に差額を大屋敷さんが出してるのかもしれないぜ」と瀬奈


「でも自分の物件の店子に500万円以上も払ってでも出ていってもらいたいレベルの人っているのかしら?相当な人なの、その村上さんって・・・」
 
「相当な人なんじゃー あいつはー」と大屋敷が入ってきて言った。


 瀬奈は「大屋敷さん!勝手に入ってこられたら困りますよ!」


 大屋敷は悪びれずに「いやーすまん、すまん何度か呼んだけど、いないみたいだったので、入ってもうた。堪忍なー」瀬奈は大屋敷を一瞥して考えた。


 これはわざとだなと。最初から会話を聞いていたに違いない。


 実際、どこで聞いてくるのか?というような情報も大屋敷は持っている。


 つまり、盗聴、いや盗み聞き位はなんとも思っていないだろう。
 
 陽菜はそんな事はおくびにも出さずに
「大屋敷さん、こんにちは!ちょうど今、大屋敷さんの話ししていたんですよ。ドラえもんみたいだって」


「体が?」ととぼける大屋敷


「違いますよー」と笑いながら陽菜は「なんでも可能にしちゃうっていう意味です」


「無理、無理、そんなんやったら、いつも先生に相談なんかしまへんがな・・・ それはそうとやっと村上さんが退去することになったんや、わしは嬉しくってもう・・・先生のおかげです。団地リノベーション物件なんてアイデアはわしにはなかった。ましてや退職金で団地を一括で買わせてしまうなんて、まさにレボリューション!」と満足そうに大屋敷は叫んだ。
 
「ごほん!」と瀬奈が咳払いをして言った。


「で?どうやってあの物件を用意したんですか?」


 大屋敷はしれっとした顔で言った。


「あの不動屋さんでマンションを一棟、買うことにしたんや、もちろん収益物件としてやけどな~ そしたら、あの物件をおまけとして、安うしてくれるちゅうんで、あそこで決めたんや」


「マンション一棟っていくら位の物件なんですか?」と瀬奈


「そんな大規模じゃないで5億円位なもんやで・・・」と大屋敷


「それは大きな買い物ですね。でもこれで村上さんが退去してくれるんだったら安いもんですね」と冗談で瀬奈が笑いながら言った。


「ほんまに、あいつが出ていくことを考えたら安いもんや」と大屋敷は真顔で答えた。




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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★ハローワークにて
 
 各書類を手に取り、秀子とともに瀬奈はハローワークに向かった。


 瀬奈は秀子とともに受付で雇用保険被保険者証、離職票、離職証明書を提出して、離職票記載事項の補正手続きをお願いした。
 
 窓口の係の方は「補正の理由を証明できる書類は本日はお持ちですか」と聞いて来た。


 労働者が離職の本当の理由を証拠立てる資料とともに離職票を提出出来れば、そのハローワークの所長の判断で離職理由補正手続きがされ会社都合として、その場で受給資格が決定されるという制度がある。それを瀬奈は利用したのだ。
 
「はい、本日は離職前6ヶ月分の賃金台帳、タイムカード、給与明細を持ってきています。それと当人が内容証明郵便で提出した退職届の控えも持ってきています」と瀬奈は提出する。

 しばらくその書類を見ていた係員も納得した表情で「ではこちらをお預かりして、複写させてもらっても宜しいですか?」


「はい、構いません」と瀬奈


係員は「それと少々お待たせするかもしれませんが、お時間は大丈夫でしょうか?」


「はい、大丈夫です」と瀬奈

 何度もこの離職理由補正手続きをしているので、瀬奈には余裕があった。


一方、秀子は心配で瀬奈に尋ねる。


「こういうのって、会社に事実確認の電話とかしないのかしら?」

 瀬奈は笑いながら「今、それをしているところだと思いますよ」と答えた。


「本人の主張と離職証明書に齟齬があるので、その確認は必要ですから」


「絶対に会社は嘘をつくに違いないわ、あの退職者は被害妄想的な所があり、全部作り話ですよ!とにかく一方的に辞めたんですよっていう感じかしら?」


「さあ、どうでしょうね?」とはぐらかしているところに係員がやってきた。
 
「確認が取れました。会社の主張としては村上さんから退職の意思表示はもらったが、その話し合いの最中に急にこなくなったので、自己都合で辞めたと判断したとの事。11月末を最後にその後は出社していないそうです。この内容で合っていますか?」
 
「いや、合っておりません。まず退職届は内容証明郵便で送っています。また11月末を最終出勤日にする事は上司に前もって伝えておりました。また彼女は離職日に返却物を返しに行っています。これらは全て記録として残しております。スマホの音声データですが、必要ですか?」と瀬奈が話した。
 
 瀬奈はこういう事も想像して、秀子にはボイスメモを頼んでおいたのだった。


 ただその内容は聞いていない。


 離職日のデータも3時間超えの大録音だ。


 内容によっては秀子が訴えられてもおかしくない暴言を吐いている可能性が高い。


 もちろん会社側も録音はしているだろうから、五分五分だ。なるべくならこのデータは渡したくない。
 
「いや、音声データは結構です、今、所長と相談しますので、そちらの受付でお待ち下さい」と行って係員は後方ヘと入って言った。


 あー危なかった。瀬奈は会社への罵詈雑言のデータなんて証拠になるわけがないと思っていた。
 
 秀子と2人で待合室で待つことの長いこと、長いこと。


「こうして先生が係員と話していると年下の旦那さんだと思ってるのかしら?」


「周りからしたら、夫婦に見えるのかしら?」なんて生き生きとしている。


 本当に面倒くさい。

「お待たせしました」と言って係員は書類を持ってきた。


 ハローワークの所長の判断で離職理由補正手続きが出来るという。


 秀子が突然、瀬奈に抱きついた。


「やったね、あなたー、これで新しい愛の巣で一緒に住めるねー」顔を瀬奈の胸に埋める。


 瀬奈は耐えた。拒否するのは簡単だが、こんな大勢が見ている前では出来ない。まだ秀子は敵に回してはいけない。


 かろうじて出た言葉が、
「そうですね」と真面目に答えた瀬奈であった。

 結果こうして会社都合での退職を勝ち取ったのだった。

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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★離職票
 
 4月1日になった。秀子の離職日だ。特に何があるわけではないが、瀬奈は昔の事を思い出した。


 俺も若い頃、お世話になった会社の退職に当たり、有給休暇を取得して、離職日に本社へ行って社員証や健康保険証、社用携帯などを返却しに行ったものだが・・・秀子はどうしているのかな?と思っていた。

 あとで聞いたところによると秀子も離職日に本社の人事部に行ったらしい。私と同じように返却物を返しに行っただけだったが、本人曰く、ひと悶着あったらしい。


 最後だから人事部で散々会社の悪口を言って帰ってきたらしい。本人の話だから、誇張もあるとは思うが、人事部からも
 

「それ以上、悪く言うと名誉毀損で訴えますよ」とか「離職日以降に弊社の敷地に出入りした不法侵入で警察を呼びます」などと言われたらしい。
 
 いったいどんな悪口をいったら、そんな事になるのか・・・


 立つ鳥跡を濁さずのことわざは何処へ?

 そして1週間が過ぎた頃、秀子から、連絡が入った。離職票と離職証明書が届いたらしい。


 やはり、退職理由は自己都合だった。やはりそう簡単には会社都合にはさせないらしい。


 秀子はというと、もう完全に怒髪天を突くモードに突入している。

 「あんだけ、何回も主張したのに、ふざけているわ!絶対に負けない」と繰り返している。


 瀬奈は「タイムカードと給与明細は6ヶ月分揃えていますよね。あとは賃金台帳があれば会社都合としてひっくり返します。離職票にも6ヶ月分の賃金が記載されてますが、これを裏付ける帳票が絶対必用です。すぐに手に入れてもらえますか?」


「わかりました」と言ってから、数分後、連絡が入る「今日、発送してもらえるそうです」と息を切らしながら秀子が言った。
 
「よくそんなに簡単に手に入りましたね。賃金台帳は入手が難しいんですよ」と瀬奈が言った。


「でも、先生、最初に言ったじゃないですか?労働基準監督署に言いますよって言えば大丈夫と・・・」


瀬奈は驚いた。

 そうは言ったが、会社側も会社都合にされては困るので、普通はのらりくらりとかわすものなのだが・・・秀子の労働基準監督署へのちくりが会社にはそんなに恐ろしいのかと身震いがした。


 確かに秀子が労働基準監督署に行ったら、あることないことしゃべるだろう。


 それを会社は恐れたのだ仮にも10年以上も在籍していた社員である。会社の悪いところもいっぱい知っているだろう。


 また離職日に人事部を怒らせた言葉は会社の核心をついたものだったのかもしれないなと瀬奈は思った。



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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★団地フルノーベーション

 なんかおかしな事になってきた。と瀬奈は思った。


 秀子と団地巡りをしていると、夫婦と見られることが多くなってきたのだ、瀬奈の気のせいか、秀子もそう言われるのが本当に楽しそうだ。


 この間なんかも「2人で住むには2LDKは必要よね」なんて突然言い出したから、瀬奈はビックリした。

「まあ、村上さんも独身ですし、今後の結婚も視野に入れて、購入した方が賢いですねー」なんて適当に答えていたが、瀬奈の内心はヒヤッとした。

 そうかと思うと、ここでも相当なクレーマーぶりを発揮していた。


 一例をあげよう。全部あげるときりがないので・・・瀬奈の心の声も拾って・・・

 「なんで何処の団地も駅から徒歩40分以上なのよー?私を殺すつもり?」


 →どこも遠いのは当たり前です。駅前の団地はありません。

 「こんな老朽化した建物じゃ、みっともなくて友達も呼べない」


 →そもそも友達なんていましたか?
 
 「今どき五階まで階段なんて、私を殺すつもりー?」


 →そうなると良いですね。

 「近くに住んでいるのが、お年寄りばかりで、付き合うのが大変そうだわー」


 →大丈夫です、誰にも相手にされませんから。

 とまあ、当然と言えば当然の団地あるあるを並び立てる秀子


 瀬奈も想像はしていたが、悪口と愚痴が趣味の秀子には辟易としていた。
 10団地を周り、まだ物件が決まらず。
 
  もう駄目かと瀬奈も諦めかけたとき、心強い援軍が現れた。


 大屋敷征夷大将軍である。自身の人脈、知恵、資金を使い、様々な情報を仕入れてきた。


 その中に秀子の気にいる物件があったのだ

  【西巣鴨団地 2LDKで620万円】


○管理費月5000円、修繕積立金5000円
○4階建ての3階部分 
○バス・トイレ シャワー付き洗面化粧台、オートバス。温水洗浄便座、節水型トイレ
○キッチン システムキッチン、浄水器
○部屋の特徴 南向き、陽当り良好、ワイドバルコニー
○駐車・駐輪 平面駐車場、駐輪場、バイク置き場
 


 最寄りの駅まで徒歩10分。築30年と奇跡の物件である。

 普通はこの立地ならもっと高くなるものだが、この値段で良いという。


 事故物件かと思って、不動産屋さんにも確認したが、事故物件ではないという。


 どうしても納得行かなかった瀬奈はこっそり不動産屋さんに尋ねてみた。


「大屋敷さんから特別なリベートってありますか?」と瀬奈が聞いた。


「う、それは・・・お答えできません・・・」

 やはり裏取引があったのだ、本来なら1,200万円が相場なはずと検討をつけた瀬奈は


「500万の値引き分はどうやって回収するんですか?」


「あのー、それは私の口からはちょっと・・・」と言葉を濁されてしまった。
 
 あとでからくりを大屋敷から聞くかと思いながら、秀子の契約にも付き合って上げた瀬奈


もちろん、物件価格は一括で支払うということで契約が決まった。

 ここまででもう3月になっている。在職中に物件が決まって、ほっと胸を撫で下ろす瀬奈であった。



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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★退職届を提出
 
 秀子は会社に10月末に11月30日を最終出勤日で4月1日で辞めることを伝えたらしい、そして会社指定の退職届の欄に会社都合と堂々と書いた。


 予想していたとおりだが、会社は自分の意志でやめるのだから、自己都合だと主張してきたらしい、それでも秀子は粘ったが、会社は退職届を受理してくれなかったそうだ。やはり瀬奈の想像通りだった。
 
「先生、この場合はどうしたら良いでしょうか?」と秀子が聞いてきた。


「まあ、慌てないで下さい。就業規則では退職の1ヶ月前に指定の様式で意思表明することとなっていますから、11月30日までの最終出勤日までは何を言われても、頑張って月80時間以上残業してください。もし何か言われたら、やめる意思表示は示して、引き継ぎはどうするか確認してください」
 
「またその受け取って貰えなかった退職届は内容証明郵便で人事部に送りましょう。これで退職の意思表示は出来ます。あとで勝手に辞めたと言われるのは面倒くさいですからね」と瀬奈


「異動とか言われたらどうすれば良いですか?」と秀子は訪ねた。


「退職の意思表示をしているのに異動はあまり考えにくいですが、嫌がらせはあるかもしれませんね。その場合は私に相談してください」


「わかりました」と言って、その日の連絡は終わった。

 後日、秀子には人事部から呼び出しがあったそうだ、自己都合退職で辞めるようにの勧告だったそうだ。秀子は断ったらしい。


 すると割増の退職金の打診があったそうだ、しかも11月は有給消化で11月30日付けでの退職なら割増の退職金をつけるというものだった。


 割増分は給与3ヶ月分である。話を聞いていると会社も秀子には手を焼いていると思った。普通はここまで厚遇はしない。
 
「それで大丈夫です。もっと貰えるものを妥協する必要はないです」と瀬奈


「その調子で辞める意志を示しながら、11月末まで戦い続けましょう!!」


「そのつもりです。もう本当に頭にきますわ、絶対に好条件で退職してやるわ!!」と秀子が気炎を上げる。
 
「ところで資料を渡した物件はいかがでしょうか?」と瀬奈


「今、検討しているところですが、12月になってからでは遅いでしょうか?」


「いや、大丈夫ですよ。新しい物件もまた出てくるでしょうし」と今度は余裕を持たせた。


「今は仕事に集中してください。その後で時間が出来たら、一緒に物件巡りをしましょう」と瀬奈は味方を演じている。
 
「先生、ありがとうございます。今じゃ先生だけが頼りです」と秀子が殊勝な事を言う。


「いや、いや、今が一番苦しい時期ですから、無理をなさらずに対応していきましょう」とその日は話が終わった。



 結局、その後人事部からは何も言われることもなく、上司からはさんざん嫌味を言われたくらいで最終出勤日を迎えた。


 秀子にとっては上司の嫌味にも全て食って掛かったらしい。


 瀬奈は苦笑いをしながらそれを聞いて、その方が良いと思った。


 上司の人も大変だなと変な同情さえした。


 有給休暇の申請もしっかり出して来たということだった。


 4月1日までの有給申請をする度胸も凄いものがあるなと妙に感心したが、さすが秀子である。


 自分の主張は頑として負けなかった。更に仕事も最後まで頑張ったらしい。
 
 引き継ぎはなかったらしい。12月1日からは新しい所長が来るというのを最終出勤日に聞いたという事だった。


 新しい所長には会えなかったということだった。多分会社が合わせなかったのだろう。


 これであとは有給消化で4月1日を待つだけとなった。




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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★大屋敷からの連絡

 瀬奈に大屋敷から連絡が入った。


 村上さんが来年の4月頃に大屋敷のマンションを出ていくという話だった。


 まだ退職金も入っていないし、物件すらも決まっていない。


 そんな状態で現オーナーにそんな事話して大丈夫なのかと思いながらも大屋敷に


「それは良かったですね。でもまだ相手が相手なのでわかりませんよー」と脅しておいた。


「そやけど、先生?どういう方法を使ったんでっか?」


「まあ、こんな感じですかね?」と秀子との会話をかいつまんで話した。


「ほんまにそんなうまい話があるんですか?」と大屋敷も半信半疑だった。


「退職日をうまく考えるだけで、そんな何十万も変わってくるなんて、アンビリーバボー 次に起こるのはあなたの番かも知れない」とふざける大屋敷


「なんですかそれは?」とつれない瀬奈
 
「で、いっちゃん肝心な転居先は見つかるんやろうか?」と大屋敷も心配そうである。


「大丈夫ですよ。私も物件見学までつき会いますので、必ず大屋敷さんに誠意をお見せしますよ」


「ならいいんだが・・・あの村上さんだぞ・・・」と大屋敷は意味深な言葉を言って電話を切った。



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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★話し合い

 村上さんが就業規則と退職金規定をもって現れた。


 瀬奈はまず就業規則に目を通す。そして退職金規程に目を通す。


「なるほどー、就業規則上では村上さんがいうほど、ブラックな会社ではなさそうですね・・・」


「こういう書類だけは揃えるのが得意なのよ、この会社は!」


「退職金もそれなりに出ますしね。計算方法や条件まで書いてある。この退職金規定も皆さんに配られるものなんですか?」


「そうよ、うちはこんな立派な会社なんですよと言うのをアピールしているのよ、たかが書類位で!」


「いや、しかし、なかなかここまでしっかりした会社はないですよ。就業規則を読むと、労働基準法以上の条件ですよ。有給休暇も3年間持ち越しできますしね。普通は2年間です。これだけでも素晴らしい」と瀬奈は会社を褒めちぎる。
 
 しかし秀子は「何が、いい会社よ、2時間もかけて通勤させて、残業だって過労死ラインを超えているじゃないの」と秀子は納得が行かない。

 瀬奈は「それでは報酬の話をしても良いでしょうか?」まだブツブツ言っている秀子に説明する。


「まず1つ、私は報酬はステーブルコインでしか受け取りません。2つ目は報酬は村上さんが受ける利益の10%になります。これでいかがでしょうか?」


「ああ!?ステーブルコイン?なんですかそれは?そんなの聞いたことが無い。私は現金がいいんだけど!」


「村上さん、スマホはお持ちですよね?」穏やかに話しける瀬奈


「一応、持ってはいるけど使いこなせてはいないよ、電話とメールくらい」


「なら大丈夫ですよ。私の方で設定をしますので、ようちょ銀行の口座は持っていますか?」


「ようちょなら持ってるけど・・・」口を尖らせながら言う秀子


「簡単に説明するとスマホで送金出来る電子マネーです。スイカと同じですよ」とにこやかに話しかける瀬奈

「その支払い方を全部、先生がやってくれるのはいいんだけど、私がどの位、得をするのかをまだ聞いてなかったですわ、教えてくれる?」


「私の試算ではおよそ240万円は得します」

 思いもかけなかった金額にびっくりする秀子


「自己都合と会社都合でそんなに違うものなの?」


「ええ、もちろんそうですよ。会社都合による退職の場合、村上さんは10年以上の被保険者期間があり、年齢的にも270日間分が受け取れます。村上さんの給料から計算すると一日8,000円もらえますので都合、216万円もらえる事となります。


 一方自己都合だと120日間となります。この場合は96万円となり、その差額は120万円程になります、これだけでも十分魅力的ですよね」と瀬奈
 
「あとの120万円は何?」と秀子が聞く。


「簡単に言うと、有給と賞与と退職金です」


「それが増えるの?」


「はい増えます。辞める時期さえ間違わなければ・・・」就業規則に目を通しながら瀬奈が呟いた。

「就業規則と退職金規定を読んでわかりました。11月30日を最終出勤日にしましょう。今は8月なので、10月末に退職届を出してください。そして最終出勤日までの2ヶ月間はがむしゃらに働いてください。


 いくらでも残業してくださってもいいですよ。絶対に80時間超えることが条件です。退職理由は2時間超える通勤時間と80時間を超える時間外労働の為と書いて下さい。ポイントは一身上の都合などとは書かないことです」
 
「わかったわ」と真剣にノートを取る秀子


「でもなんで11月30日が最終出勤日になるの?」と当然の疑問をぶつける秀子


「そうすると退職日を4月1日に出来るからです」と自信たっぷりに話す瀬奈


 秀子は困った顔で「わからないわ?どうして退職日がそんなに遅くなるの?」

「それは有給休暇が使えるからです、村上さんの会社の就業規則を読んだら、有給休暇の付与日は1月1日、今、現在村上さんには60日分の有給休暇があります。12月は20日間有給消化して、40日になります。


 しかしまだ在職中なので1月1日にはまた20日間の有給休暇がつきます。2月は稼働日数が少ないので1月1日時点での60日の有給休暇は4月1日までとなります。有給だけでも20日分得をする計算になります」


「そう言われるとそうね。有給休暇の付与日なんて考えたこともなかったわ」と満足そうにうなづく秀子

「そして来年の夏の賞与の支給条件が3月31日に在籍していることになっています。これで来年の夏の賞与まで受け取れますよ」


「そんな先の賞与までもらえるの!」


「そうです。しかもそれだけじゃないんです、退職金規定では毎年4月1日を起算日として在籍者にポイントが加算されると書いています。つまり1年分の退職金を追加でゲットできるという訳です。そうして積み上げていけば有給20日分で25万円、来年の夏の賞与で50万円、追加の退職金で50万円増えるという訳です」

「すごいですねー」と秀子は一回手を休めていた手を再びノートに向かって書き始めた。


 瀬奈の話したことをノートに書き留め、見直した後に「約245万円も得しますね」と秀子は言った。
 
「この国は制度をうまく利用した人が得をする仕組みになっています。無知なら食い物にされるだけです。しかし逆を言えば制度を知っていれば国を食い物に出来る」といつもの決め台詞を言った。


「全くですね。私も同感です」と秀子も答えた。
 
「そうですね。せっかくですから、これを機会に引っ越しも考えませんか?」


「引っ越し?引っ越しは考えていなんですけど・・・」と怪訝な表情を見せる秀子


「いや、実は私、こう見えて住宅ローンアドバイザーの資格も持っているんですよ」


「はあ」と気のない返事をする秀子
 
「単刀直入に言います。退職金で中古のマンションを買いましょう。しかも一括で」と瀬奈


「いや、退職金も600万円程ですので、とてもマンションなんて買えません」と秀子


「団地フルリノベーションというのをご存知ですか?」


「いや、知りません」


「簡単に言うと築30年〜50年経った団地の内装を最新式にリフォームしたものを指します」


「団地というと古い感じがするわね」と秀子



 こちらを御覧くださいとフルリノベーションした何枚かの写真を取り出した。


 どの写真にも最新式の内装が施されている。


「これがフルリノベーションです」と瀬奈が言った。

 
「おしゃれとだとは思いますわ、住んでみたいと思いますが、お高いのではないのですか?」


「退職金でマンションを一括購入出来ます」


こちらの資料を御覧ください。
 
 【東東京団地 2LDKで540万円】
○管理費月5000円、修繕積立金6500円
○5階建ての5階部分 
○バス・トイレ シャワー付き洗面化粧台、オートバス。温水洗浄便座、節水型トイレ
○キッチン システムキッチン、浄水器
○セキュリティ TVモニタ付インターホン
○室内設備 全居室収納、高速ネット対応、全居室フローリング、ウオークインクローゼット、BS・CS・CATV
○部屋の特徴 南向き、陽当り良好、最上階、ワイドバルコニー
○駐車・駐輪 平面駐車場、駐輪場、バイク置き場

 と書いてある。本当に秀子の退職金でも買えるマンションである。


これを見てポカンとしている秀子に瀬奈は


「村上さん、失礼ながら、あなたの年齢だとこれが住宅購入の最後のチャンスだと思います。このまま賃貸マンションに住み続けたら、一生働き続けなければならなくなる。


 70,80歳でも同じように働けますか?もしここで退職金で一括購入したら、あとは月々の管理費と修繕積立金だけです。どうですか?そんな暮らしに憧れませんか?もう無理して働く必要はないんです」


「少し、考えてみます・・・」


「そうですね。まあ住宅ローンは借りないですが、一括購入でも会社員のうちに契約はしておいた方が良いですよ、信用が違いますから、まあ不動産会社の人には貯金で一括で支払うという話をすれば問題はないはずです」
 
「そうですね。それも含めて検討します。ところで他の物件はどんなのがあるんですか?」


「そうですね。こんなのもありますよ」と言って揃えておいた10件ほどの資料を見せた。





 瀬奈の作戦勝ちだった。あらかじめ、おおよその退職金の額を調べておいて、その範囲内の物件を見繕っておいたのだった。


そしてあたかも不動産会社の社員のように


「この物件はいずれも人気物件なのですぐに埋まってしまうんですよ、実際に毎日、多くの人が内覧に来ています」というのを付け加えるのを忘れない瀬奈であった。



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第5話 賞与・有給・退職金 夢見る就業規則


★約束の日
 
 私に着信があった。大屋敷からだ。瀬奈は私を軽く握ると、待ち構えていた様に素早く対応した。


「瀬奈です」


「大屋敷です。チケットは用意した、だから早く村上さんを追い払ってくれ!」


「さすが、すごいですね!どうやって用意したんですか?」


「スポンサー契約している会社から直接購入出来たんや、しかもホスピタリティチケットやいうて、飲食込みの値段で65万円もするんやでー、2枚分だから130万円やな」


「ほう、それは豪勢ですね」と電話口で瀬奈もニンマリした。


「紙チケットですか?」と瀬奈が尋ねる。


「当たり前やがな、わしにスマホのチケットなんか無理やがな」と大屋敷は言う。


「ありがとうございます。では大屋敷さんのその言葉を信じますよ。この電話で大屋敷さんは誠意を見せてくれたので後は私が誠意を見せる番です」と言って電話を切った。

 瀬奈は一人思考を巡らせた。「よし、ああして、こうして、最後にはこうして・・・」と独り言をつぶやいた。



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