八木勇征が4年越しのアリーナツアー 「今の時期に開催するのが必然だった」理由とは
FANTASTICSのボーカルとしても役者としても大きな注目を集める八木勇征さん。芝居もアーティスト活動も「両方とも本業」と語った。AERA 2024年4月15日号より。
――自身がボーカルを務めるFANTASTICSのアリーナツアーが2月から開催されている。新型コロナウイルスの影響による中止から4年越し。念願の初のアリーナツアーだ。
八木勇征(以下、八木):中止から4年という時間を経て、自分たちがパワーアップした状態で初のアリーナツアーを開催することができて良かったと思っています。当時は悔しさというより、開催できないことへのショックが大きかった。ただ、4年前に開催していたとしたら、また違う方向に向かっていったんじゃないかと個人的には感じています。今ツアーを回っていて、個人としてもグループとしても、表現力をはじめ様々な部分が成長できていると強く実感しています。「今の時期に開催するのが必然だったんだ」と自然と思うようになりました。当時のすごく落ち込んでいた自分に対して「全然大丈夫だからね」と教えてあげたいくらいです。
濃密な経験が自信に
――中止を経てのアリーナツアーを前向きに捉えられているのは、「自信が持てるようになったのも大きい」と分析する。
八木:ドラマ「美しい彼」(2021年)から個人でお芝居をやらせていただくようになり、そこからまだ3年ほどしか経っていませんが、本当に濃密な経験をさせてもらっていることが確実に自信に繋がっています。
また、多くの人と関わらせていただく中で、向き合う相手によっていろいろな届け方があることを学びました。それはファンの方への思いの届け方と重なります。「どういうアプローチをすれば、気持ちが伝わるんだろう」ということをより考えるようになりました。
例えば、ライブ会場では遠い席だとステージから見えづらいと思っている方がいらっしゃいますが、結構見えるものなんです。だからこそ僕は一人ひとりに思いを届けることを意識して毎回ライブをやっています。
「どっちも死ぬ気で」
以前の僕はどこかファンの方に対して「ついてきてください。お願いします」というスタンスでしたが、今ははっきり「ついてこいよ!」と言えるようになりました。自信がないとなかなか言えない言葉だと思っています。
ドラマ、映画、ミュージックビデオ、レコーディング……様々な表現において自分が思い描いていたアプローチがちゃんとできているかどうかは、僕の場合、完成したものを自分で実際に見聞きしないとわからないんです。しっかりと客観視した上で自分の成長グラフを感じられることで自信がついてきたところもあります。もちろん「もっとこういう風にできたんじゃないか」と思うことはまだまだあります。でも、自分の成長を自分で認められると大きな自信に繋がりますね。
――俳優を始めた頃は自らを「本業はアーティスト」と称していたが、今は「本業はひとつに絞らなくていい」というマインドに変わった。
八木:お芝居も本気でやっているので、「本業はアーティスト」と言うことに違和感を抱くようになり、「両方とも本業」という結論に至りました。「これは本業ではない」と思うことは、言い換えれば逃げ道を作っているということ。自分としては「どっちも死ぬ気でやっています」と言っている方が落ち着く。人からもどちらも本業だと思われたいです。