毎日の日課でトレーニングを行なっている選手は、移動時間にもストレッチングと柔軟体操を欠かしません。
飛行機の搭乗待ちの待合室でも、個室ラウンジでも
長時間の搭乗であればあるほど下半身のストレッチ、椅子に座っている姿勢でもできるストレッチを聞いてきます。
股関節のストレッチや上半身ひねりアキレス腱伸ばし、つま先引き上げなどをご指導しています。
ホテルを出発した後に飛行機が遅延したときには、他のお客様の邪魔にならないように個室を確保して行います。
アクティブレストという考え方がしっかり身についているためで、
休んでいる間に筋肉に十分なエネルギー補給を行い疲労物質の排出を進める方法を行っています。
この方法がL.Aストレッチの根幹になっていて、心拍数を高めず柔軟性を確保する方法です。
一般に疲れていると休養を取り入れることは重要な体調管理の一つですが、筋肉疲労やスポーツの後のダメージには
積極的な休養といって、軽い運動やストレッチを行なうことが疲労物質の解消と細胞再生力を上げてゆきます。
特にプロ野球選手や半年以上のシーズンが連続するスポーツに帯同すると、移動が長時間になることがたくさんあります。
F-1に携わる選手たちは、積極的な休養をしっかり取り入れています。
シーズン前半のアジアラウンド・ヨーロッパラウンドを過ごし7月8月とブラジル・アメリカのラウンドに移動します。
その移動距離は地球の反対側まで一ヶ月の間に4往復することになります。
特に毎週開催されるヨーロッパラウンドと違って2週間があいてしまうブラジルラウンドは選手にとってつらい時期の突入となります。
というのもその間隙を縫って、次年度の新型車種のシェイクダウン試し走行がスケジュールに入ってくるからです。
操縦性能のテストをヨーロッパのテストコースで繰り返しおこない、
その後すぐに南アメリカのレース週間に合わせて移動することになるからです。
長時間の移動でも選手が意気高揚をできるには常に自分の状況を見つめ、一定時間の間に自分を褒めていることがあります。
今回はこれが計画とおりにできた。ここが悪かったが改善できた。こんな状況でも走ることができた。
特にマシンの性能が低く思い通りのタイムが出せなかったときには絶対にいらいらしているはずですが、
そんなときにも自分を具体的に評価していることに気がつきます。
エンジンやシャーシに重大な欠陥があり1日の中で15分しか走らせることができなかったときでも
とにかく自分の行動を具体的に褒めていることに気がつきます。
たとえ飛行機に乗っているときだろうが、サーキットに来ているときだろうが具体的に自分を見つめ褒めているのです。
けっして自分のことを大好きな自惚れではありません。
守らなければならない約束や出来事を重視し失敗したときには自分に腹を立てることもあります。
しかし、怪我をするような八つ当たりは絶対ありません。
危険と隣り合わせのスポーツだからこそ自分の成果をまっとうに評価することができることが重要です。
この自分を褒める訓練も見習いたいです。
ちなみに彼らはファーストクラスでのびのび眠れる環境ですが私はエコノミーですし、トランジットの間もロビーで待機です。
呼ばれればすぐに個室ラウンジでストレッチを行わなければなりません。
どんなに疲れていても笑顔でストレッチを始めます。