風早くん天に舞い上がりたかったのだろうか。苦しみから解放されたかったのだろうか。怒りの果ての結末だったのだろうか。何年か前に私達夫婦が仲良くしていた夫婦の旦那さんが自ら命を絶った時、私は夫に「死を選んだ彼の気持ちがパパには分かるんだよね?」と聞いたら、彼はコクリと頷いた。映画『君に届け』を観た時、彼が風早君を演じてくれて良かったと思った。彼は、素敵な、本当に素敵な、本物の風早君だった。嫌だったら辞めれば良かったのに。諦めれば良かったのに。逃げれば良かったのだ。風早君は風になった…