エッセイ、あの日、あの時: ドメインの引っ越し | 普通に生きる難しさ (アメブロ鑑定実績、比類無き 2,000件!令和の世を観る開花心易)

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 あれは何年前だっけ…。ある朝、私の勤務先でトップから届いた全社メール。ウチが、同業某社に吸収されたって? なんという悲報! 皆、打ちひしがれたものです。厄介な事は、それから数カ月して社員の身に降りかかってきました。

 

 基幹システムの入替えをせよと。私よりITに無知なトップは、テレビの買い換えのように言うけれど。それは全社員のアカウントの「引っ越し」を伴う一大プロジェクト。IT用語で「マイグレーション」といいます。人手が要る。ITが苦手な私まで駆り出された。英語が判るという理由だけで。 問い: いつするの? 答: 週末に集中ワークで。

 これはカルガモ一家の引っ越しどころではない…。気が重くなった私。アメリカの本社からも助っ人が来ると聞きました。チーム内のコミュニケーションを進めてほしいと。

 

 さて、迎えた作業初日。IT担当のアメリカスタッフが仕事に取りかかった。数十台あるパソコンの前に座り、次から次へと。さすが、キーボードを走る指の動きが速い! しかし…、私は疑問。どのPCもOSはウインドウズの日本語版ですよ。彼らはスシ、アリガト、コンニチハしか判らない人たち。いったいどうやって…。

 

 謎が解けた。彼らは画面を指さして何か数えている。ウインドウズであれば、コマンドの位置は英日で同じ。彼らは「保存は上から〇番目のコマンド」と覚えていたのです。なんやかやで怒涛のごとく終えたマイグレーション。一つの社員アカウントの漏れもなく。それだけが幸い。以来、私はカルガモ一家の引っ越しを見るたび思うのです。

 

「母カモさん、子ガモは何羽いるか知ってますか。時々、数えてくださいね…」

 

人生劇場ディレクター 高野 晴夫