ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー / ブレイディみかこ | 働く主婦 男子高校生弁当をつくる

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2007, 2011年生まれの兄弟を育てる働く主婦。日々のごはん記録とか、その他雑記。なんかお弁当記録ばかりになってきた。子どもたち、大きくなりました。





ブレイディみかこさんと、息子さんのやりとりを通し、イギリスの社会問題を知る一冊。

ずっと読みたかったけど、図書館でも人気作品でなかなか借りれず。先日、文庫化されているのを見つけて買いました。



私は子どもの頃から「おちゃめなふたご」とか「くまのパディントン」とか最近では「ハリー・ポッター」の影響で、イギリスにとても憧れています。けど、うむ、あれはミドルクラスとかそういう一定以上のご家庭の物語だったのかなと理解。

イギリスの社会問題と言いつつ、これは世界中、日本も例外ではなく目を反らせない問題なんだろうなと思いました。





いきなり話逸れますけど、今年日本でオリンピックを開催するに辺り、それはもうありとあらゆる問題が取り沙汰されました。

10年前、20年前の日本では当たり前、何をそんなことで騒いでるんだと鼻であしらわれたようなことが、物凄く大きく問題視されました。
当然でしょ!!と思えるものもあれば、国内よりも海外からの反応に驚くことも多くありました。


池上彰先生の番組で、前回の東京オリンピック前、いかに日本人のモラルが低かったかということを知って驚きましたが、
今回の東京オリンピックも、日本人の意識が変わるきっかけになったのではないかと思います。



この本を読んで思ったのは、よくも悪くも日本は極東の小さな島国で、閉じた世界なんだなということ。
同じ背景を持つ集団の中では、差別だとか格差だとかはなかなか見えづらく、普段あまり意識することはないように思います。

しかし日本は超高齢社会を迎え、移民を受け入れるかどうかの選択を迫られています。受け入れる方向に向かうのでしょうし、それは日本人もまた出ていかねばならないということ。
居心地のよい閉じた世界でぬくぬくと暮らす訳にはいかない。多様性という未知の世界に踏み出さねばならない。

世界を見渡せば、あらゆる地域であらゆる格差と差別があり、見える形見えない形で人を傷付け苦しめています。
一歩異国に踏み出せば、日本人も蔑視される側になる存在。テレビでは盛んに「ここがすごいよ」ってやってるけど、それも一面だけど、あくまで一面。

共通の敵を置き、順列をつけ自分達より下の存在を置くと、人は団結します。
そして、集団に属することで安心します。
これって、日本人だけじゃないんだなあって思いました。
ヒトという動物の習性なんだと思います。



しかし、それはよくないこと、恥ずべきことだ、と人々は認識し声を上げている。
それが、今の世界。



でも、そんな中でも常々矛盾を感じていることがあります。
それは、共通の敵は、結構頻繁に代わること。
つまり、昨日のスターが今日の極悪人だったりする。そして、極悪人認定されれば、その人相手には何を言ってもやってもいいってことになっている。
さっきまで糾弾していた、それと同じことをしていないだろうか…?という、矛盾。

これもまた、日本だけではない、今の世界のよう。



なんだったかな。こんな感じの現象を、ブレイディみかこさんの息子さんは「人は皆、誰かを罰したがっているんだよ」と言っていたか。

どうだろう。
人は皆、肯定されたいんじゃないだろうか。
そんで、集団でいたいんじゃないだろうか。

悪の反対は、正義だから。
絶対正しいから、誰からも否定されないから。
それで、共通の敵がいれば団結するから。
集団、しかもマジョリティーに属していれば安心するから。



この本の中で一番しっくりきたのは
「人を傷つけることはどんなことでもよくない」
という、シンプルな一言。

ごちゃごちゃ言葉を連ねる必要はない、つまりそういうことだよねと思いました。



あとね、
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
で始まって、

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとグリーン」
で終わる、このセンス!

お洒落だわーと感心しました。


偶然、姪っ子達が同じ本を読んでいるようで、とても感銘を受けているそう。瑞々しい感性ってこういうことかと思いました。
たろすけにもおすすめしてるけど、おすすめ図書が多すぎてまだ手にとって貰えません(  ̄▽ ̄)



続編が出るそうで。
ぜひそちらも読んでみたいです。