絵麻に圧倒されながら琴巳は頷いた。絵麻はトイ・プードルを抱き上げた。
「この子、バンビっていうの
可愛いでしょう
」
絵麻の声に琴巳は再び頷いた。絵麻がちぃを指差した。
「この子は・・・?琴巳ちゃんに似て可愛い
」
琴巳ちゃんに似て可愛いって言われて琴巳は真っ赤になりながら、ちぃを抱き上げた。少し重かったけど琴巳は気にしなかった。
「これはちぃ。えっと~、お姉ちゃんの愛犬で・・・」
琴巳の声に絵麻は声をあげた。
「その子、♂?♂だといいけどなぁ~
」
琴巳はちょっと戸惑った。そういえばちぃってどっちだったっけな・・・と。思い出した琴巳は慌てて言った。
「あ、♂!」
絵麻はニッコリした。
「ねえ、バンビ、見たら分かると思うけどぉ、♀なの
バンビのカレシに凄くふさわしそうだしぃ、カレシにしたいなぁ~とか思っちゃってぇ」
琴巳は慌てた。
「あ・・・でも・・・お姉ちゃんとか・・・聞いてみないと・・・」
琴巳に絵麻は手を顔の前で振った。
「返事はいつでもいいよぉ
じゃあねぇ
」
絵麻の去り行く姿に琴巳はふぅと息をついた。そして、絵麻の金茶髪がゆらゆらとゆれるのを見て再びため息をついた。