「琴巳!何処に居たの!心配してたのよ
」
オロオロした露子の声に帰宅早々出迎えられて、琴巳は戸惑った。奥から奈美が出てきた。
「全く!何やってんだか!お母さん、警察に連絡しようか、とか考えてたのよ。」
琴巳は閉口した。なんと言えばいいのか、分からなかった。
「ねえ、何をしてたの?」
宥めるような母親の声に琴巳は、空のことを話してもいいのか迷った。その気配を悟ったのか奈美が言った。
「お母さん、いいじゃん。無事に琴巳が帰って来たんだしさ
」
露子は、途端に不安げな顔をした。
「琴巳が何、やってたのか知りたい、じゃない・・・
」
琴巳は、奈美に救われたと思いながら、言った。
「ん・・・私、宿題しなくちゃ。お母さん、心配かけてゴメン。でも何にもないから
」
奈美は琴巳にウインクを送った。琴巳も送り返した。