7月7日に決行されるんですか?」

津嶋 杏奈(つしまあん「な」)は、木村(きむら)に訊いた。木村は、強く頷いた。杏奈は、小さく舌打ちした。七夕のその日といえば、娘の加奈子(かなこ)の記念すべき7歳の誕生日なのだ。その日は、加奈子と天体観測をしにいくことを約束している。

「その日は、私は都合が悪いので亜矢他(あやた)に任せさせて頂きます。」

木村が素直にウンと頷かないのは、杏奈も承知していたので杏奈は、去ろうとした。

「なぜだ。」

木村の冷たく乾いた声が言った。杏奈は、グィッと首を振り返らせて、木村を正視した。不服そうに杏奈を見る目、形の良い鼻や分厚い唇。大きな体。一見、怖そうな木村が幼く見えた。

「娘の誕生日なんです。その日くらい一緒に居てやらないと。」

木村の分厚い唇が開いた。

「フンッ。アイツの子供か。アイツの子供の為にそこまでしてやる事は無いだろう。それも、俺の大切な日を犠牲にして怒り

木村の声に杏奈は反撃した。

「北河(き「た」かてんてんわ)の子供なのは確かですが、同時に私の子供でもありますから。それに何をムキになってらっしゃるんですか。亜矢他の何処にご不満がビックリはてな

木村がグッと言葉につまった。だが、高らかと言い放った。
「強制にでも御前を行かせる。もし、来なければ・・・森崎 木実(もりさきこのみ)に起きた事と同じことを御前の家族にしてやろう。」

杏奈は、唇を噛み締めた。

「私は、今の正規の仕事だけでもやっていけます。今此処で、仕事から足を洗ってもいいんですよはてな

杏奈の必死の反撃を木村は受けて強く揺さぶられたようだ。

「ま、待ってくれ!もし、御前がデジタル SEVEN日に起こした実績を俺が大きく評価したならば、引退も認める。どうだ汗

木村の声に杏奈は、冷たいトーンで

[考えておきます。」

と、言い部屋を出て行った。木村は、静かに握りこぶしを作り、悔しそうな顔で宙を見上げた。何せ、杏奈の実績というのは今までも凄いもので杏奈がやる気になれば木村は感嘆するしかないだろう・・・。