「あ!歌南子!」

危なかった・・・。全力疾走する歌南子に危うくぶつかりかけた・・・f

「・・・e ああ・・・美亜ァ・・・」

歌南子がホッと胸をなでおろした。

「ど、っどっしたのH

あたしが聞くと、歌南子がニヤッと笑った。

「万引きしてきたの。」

あたしが、目を剥いた。

「ウソウソf

歌南子が悪戯っぽく笑った。今度は、あたしが胸をなでおろす番だ。その時、ふと思い出した。そういえば、歌南子に訊かなくちゃいけないことが・・・。

「・・・ねぇ、歌南子・・・

歌南子が急に改まった口調になったあたしに驚いたのか、首を傾けた。

「あのさ・・・あたし、人を探してるのクルりんパ(笑)

歌南子の目が真剣になる。歌南子がマジになった時なんて滅多に無い。

「知らなかったらゴメンだけど・・・2日向 育美って子、知らないe

歌南子の顔が蒼白になった。知っているのかもしれない。あたしは、必死になってまくしたてた。

「あたしが幼児のとき、ピアノに行ってたんだけど、その時、通る道に大きな家があってね、そこにその子が住んでたの。それで仲良くなって・・・っ。その子、凄く変わってて、自分の事、”育男”って呼んでたの。」

歌南子が一息ついて言った。

「・・・いくおさぁ・・・」

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無意識に大通りに出てみたら、さっきの女の子とアイが居た。アイが目をまん丸にしている。女の子が恥ずかしそうに俯いている。

あい!」

アイと女の子が振り返った。女の子がおびえた顔になる。

「ベン!」

アイが驚いた顔のまま、ボクを見た。アイは女の子がおびえた顔になっているのを見て、何か女の子に聞いている。アイは、笑って何か、女の子に話した。女の子が目を瞬かせた。そして、女の子がニッコリした。アイとは一風違うチョイワルって感じの女の子だったけど、感じが凄くよかった。

「OH MY GOD!ベン!」

振り向くと、マリアとママだった。マリアがボクを睨みつけ、ママが青ざめている。ボクは、慌ててアイと女の子に手を振ると、走り出した。

「走っちゃダメ!」

ママが悲痛な声で叫んだ。振り向きざまにマリアが苦々しい視線でアイと女の子を見ているのが分かった。