歯科衛生士の中村です。Webセミナーに参加いたしました。
筒井照子先生ご講演:
・「咬合異常」への対応は、崩壊した原因を個体差の中で探し、
患者と共に取り除き、元に戻すことで治癒能を引き出し、
最小の侵襲で回復すれば、補綴修復しなくても「咬合再構成」であると考えている
=矯正治療や侵襲の大きい補綴治療をしなくても、
スプリント療法のみでも改善回復でき対応できる
・包括歯科臨床とは、
炎症と力の要素について包括的な視点から診断し
「最小の侵襲で最大の治療効果を上げること」
···形が変えられる侵襲の少ないところから行うこと、
一気にやらない、初めから削らない、患者さんの身体の反応を見ながら行う、
身体の反応は一律ではない、
筋肉、骨、靭帯、歯、歯根膜は力に対しての反応の仕方が違うので、
治癒に向かうスピードには差がある。
そのため、リモデリングへの対応はむずかしい。
そのため、場合によっては患者さんに、
安定するには長期かかることがあることも説明しておく。
・「頬舌的な歯の移動」:
下顎の頬側はち密骨で海綿骨が少ない。頬筋の力も加わりやすい
補綴矯正で咬合高径を上げるときは、気を付けないと歯冠対歯根比が悪くなり、
歯は力を受け動揺したりする、原則は筋肉に硬組織を合わせるべきで、
矯正・スプリント治療の垂直的移動は骨の中を歯が動くので、
歯冠歯根比長のバランスは変わらない。
・舌痛症は形態不良が原因であることが多く、その場合、歯科心身症ではない
・「人間の顔は左右対称」:
崩壊のサイン→全身、顔面、咬合…咬合高径の低下、非対称、偏位
治癒のサイン→全身、顔面、咬合…咬合高径が元に戻る、対称になる、偏位戻る
(咬合高径が低くなっている方に下顎は偏位する)
・咬合高径が低いとは、関節円板のずれ、顆頭が短い、
関節が変形している、下顎枝短い、歯が埋まりこんでいる、
歯が削れていることのいずれかである
・「力のコーディネーター」:
患者さんに口腔にかかわる「力」を理解していただき、
良くない力の中で取り除けるものは取り除き、
口腔が永く健康でいられるように、ドクターと患者をつなぐ仕事
筒井武男先生ご講演:
スプリントの選択:
・診断用スプリント=スタビリ
・治療用スプリント=多種
個体差の違い、個体差崩壊の過程にあった選択をする
個体差、崩壊の過程:
「骨格系」=Ⅰ・Ⅱ級、Ⅲ級
「崩壊の過程による咬合高径の変化」=深い、浅い
「筋肉系」=長顔、短顔
によって、スプリントを選択する
ケース1:17歳男
バイト深い、顎関節の痛み、左顎関節開口時クリック、最大開口23㎜
上顎空隙歯列、下顎後退、上顎臼歯部舌側傾斜
診断:ClassⅠ・div1、ブレーキ―、グラインディングタイプ
両側顎関節非復位性の可能性あり
態癖:横向き寝、下口唇巻き込み
治療方針:(保険内希望)生活習慣指導、スプリント治療
スプリント:アムステルダム型
(理由:上顎前歯の唇側傾斜を認めるし、ブレーキーでスピー湾曲強く、
上顎臼歯の垂直的固定が必要だから。
アムステルダムミニだと、上顎前歯がフレアアウトする可能性がある。)
選択のポイントは、「どこを止めてどこを伸びださせるか」で選択する
セット4週間後、バイトが上がり、MO45mmになった、
下顎が前方へきて後退がよくなった、症状も取れてメンテナンスへ
ケース2:34歳男 右顎の痛み
右上歯列が大きく内側に入って変形、OJ大きく、下顎後退
FMA34、MRI(右)復位性関節円板先方転位(左)非復位性関節円板前方転位
RP右前で右クリック消失
態癖(右下寝、爪咬み、ショルダーバッグ)指導し、生活習慣を改善するとクリックも消失
診断:ClassⅡdiv1、ドリコ、グラインディングタイプ、生活習慣の影響が大きい
治療方針:(保険内希望)生活習慣指導、スプリント治療
スプリント:アムステルダムミニタイプ
(理由:上顎前歯唇側傾斜していない、ドリコ、
スピー湾曲少ないので上顎臼歯部の垂直的固定の必要がないから)
セット1か月後、ASBPに変更
(下顎が下がりやすいから前方で維持しておくと治りやすい)、
日中ミニ、夜間ASBPという方法もあるが、保険内治療なので、ミニから変更した
ASBPセット後、クリックと痛み消失、下顎前方に出て、症状消失
ケース3:30歳女 右顎音が鳴る
下顎が左ずれていて、アーチが狭窄、下顎前歯クラウド、
上顎前歯前に伸びだしている過蓋咬合
RP前方右前
診断:classⅡ、ブレーキー、右復位性関節円板前方転位
治療:片側ミニスプリント
(左右のずれがあるので右にガイドをつけ、安定性を増すため)
セット後1か月でクリックなくなり、咬合安定した。その後矯正治療を希望された
ケース4:26歳女 上前歯しみる、右下腫れる、右顎痛い
右口角上がり、上下前歯舌側傾斜、口唇タイト、口唇巻き込み、低位舌、舌前方突出
BOX型歯列、左上7番欠損、右下6番遠心根欠損
態癖;右下寝
診断:classⅢ、ドリコ、グラインディングタイプ
上顎前歯がしみるのは、前歯が伸びだし、
口唇巻き込みと舌突出でジグリングが起こってるから。
右下腫れるのは、8番ぺリコか、力の負担か
右顎痛みは、クリック無し、Ⅱ型の可能性あり。茎突下顎靭帯の痛み原因
治療方針:態癖指導、スプリント
スプリント:Ⅲ級で浅い咬合なので、スタビリか側方ガイドスプリント
側方ガイドスプリントセット後、右のカクカクしていたのはなくなり、
痛みなくなった。夜間くいしばりも減った。
使用中、右のレジンがすり減ってくるので、そこは足しながら使用。
リラックスして、顎位が安定し、顔の左右差もなくなってきたので、メンテナンスへ。
感想:
「悪くなって悪くなった原因を探さないまま、
(補綴など)上に何を取り繕っても、また悪くなる」
というお話がとても印象的でした。
歯に何か起こるときは、原因があり、その原因を考えることが大切で、
原因を取り除かないと、また悪くなり、崩壊が続くと思いました。
国賀先生のアドバイスでは、
歯科衛生士がメンテナンスで咬合チェックをする場合は、
犬歯誘導やフレミタスと合わせて、
咬耗や、歯の位置異常、歯列の変化、
歯軸の傾斜などの形態を診て異常がない診ること、
異常はドクターへ報告するとよいとおっしゃっていたので、
注意していこうと思います。
筒井歯科の初診の患者さんの対応がシステム化されています。
歯科衛生士は、患者さんの主訴を聴いて、顔貌全身口腔内の所見を読み取り、
今までの主訴の経緯、全身的特記事項を聞き取りし、
簡潔にドクターに報告するというシステム化がされてありました。
ドクターが患者さんを診査した後、衛生士はドクターの指示を受け、
患者さんに主訴の原因や検査の必要性、治療法、
今後の予後を資料を使い説明するという流れになっていました。
歯科衛生士が機能障害について説明するのに、
顎関節の本や顔からだバランスケアの本を使い説明されていたので、
参考にしたいと思いました。
歯科衛生士 中村由希子