今回のLink MEは、先週の円ドルレート[127]~[131]に基づき、月末と週末の日次データを用いて2024年4月の円ドルレートの変動と原因について検討し、月次月末値の変化を日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
グラフには2024年3月29日(金)から2024年4月30日(火)までの月末と週末の日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024年3月29日(金)の円ドルレートは1ドル=151.33円、4月30日(火) 156.85円なので、月末値の変化で見ると、2024年4月1ヶ月間の円ドルレートの変動は5.52円の円安・ドル高であったことが、グラフから読み取れます。
2024年4月5日(金)・12日(金)・19日(金)・26日(金)・30日(火)が前月末比並びに前週末比各0.00、1.91、1.23、2.23、0.15円の円安・ドル高となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年3月末終値3月29日(金) 151.33円と比べると、2024年4月第最終取引日4月30日(火)は5.52円の円安・ドル高となりました。
途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻ったものを除外し、2024年3月29日(金)151.33円からスタートして4月30日(火) 156.85円に5.52円の円安・ドル高を推し進めた週末日を取り出した、薄茶色の傾向線もグラフに描かれています。2024年3月29日(金)151.33円から4月30日(火) 156.85円までの変動範囲の中で、横ばい並びに一貫した円安・ドル高が進行したので全ての取引週が該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2024年3月29日(金)151.33円、4月5日(金)151.33円、12日(金) 153.24円、19日(金)154.47円、26日(金)156.70円と2024年4月取引最終日である4月30日(火)156.85円を結ぶグラフが傾向線となります。現実の円ドルレートのグラフと傾向線のグラフは一致します。
2024年3月第5週最終取引日3月29日(金)151.33円から、いわば一直線で2024年4月30日(火)156.85円に5.52円の円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。2024年3月第5週最終取引日3月29日(金)から4月第5週最終取引日4月30日(火)の円ドルレートは、横ばい並びに一貫した円安・ドル高が持続したので、現実の円ドルレートのグラフと傾向線のグラフは一致します。
2024年4月の円ドルレートは、第1週は3月第5週最終取引日円ドルレートと横ばいでスタートし、第2週から第4週は 3週連続で円安・ドル高の展開、最終第5週も引き続き円安・ドル高となり、最終的には2024年3月第5週3月29日(金) 151.33円を5.52円下回る、円安・ドル高の勢いが第2週以後一貫して支配した単調的変動となりました。このような傾向線の背後にある5.52円の円安・ドル高の原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、根強い米インフレ圧力を背景とした米長期金利の上昇に伴う日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いです。米長期金利の上昇を引き起こした原因は、3月米雇用統計における非農業部門雇用者数増加、市場予想を上回った3月米消費者物価指数(CPI)上昇率、市場予想を下回った週間新規失業保険申請件数、イランとイスラエル間の中東情勢緊張の高まり、市場予想を大幅に上回った3月米小売売上高増加率、米実質国内総生産(GDP)や米個人消費支出(PCE)物価指数発表を控えた米国債持ち高調整の売りなどです。
第2は、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が強まったのを受け、ユーロが対ドルで下落すると、対ドル円相場への下落圧力が高まった面もあったことです。
第3は、国内輸入企業による円売り・ドル買い観測も円相場を下押ししたことです。
第4は、日本株買いによるリスクオンの円売り・ドル買いが出たことです。日本株買いをもたらした原因は、急落した日本株の反発、米株式市場のハイテク株上げを受けた東京市場での半導体関連株買い、日銀金融政策決定会合で決めた緩和的な金融政策のもとで円の先安観が根強いとの見方です。
第5は、日本の通貨当局者は円安けん制の姿勢を特段強めず、円売りの勢いが増したことです。
第6は、日銀が緩和姿勢を続けるとの見方による円売り・ドル買いが優勢だったことです。日銀による緩和姿勢継続の見方は、日銀金融政策決定会合で決定された政策金利の維持、現行の国債買い入れ方針の維持、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」での「緩和的な金融環境が当面は継続する」との説明、植田和男日銀総裁による「基調的な物価上昇率への大きな影響はない」との発言に基づいています。