今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た2024年4月第5週最終取引日4月26日(金)から5月第1週最終取引日5月2日(木)の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
日次とは、1日ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場の日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45円のように幅で表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値、円高・ドル安の数値が使用されます。
グラフには2024年4月26日(金)~5月2日(木)までの日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024年4月26日(金)の円ドルレートは1ドル=156.70円、5月2日(木)155.48円なので、2024年4月26日(金)~5月2日(木)1週間の円ドルレートの変動は1.22円の円高・ドル安であったことが、グラフから読み取れます。
2024年4月30日(火)・5月1日(水)が2日間連続で前週末比並びに前日比各0.15、1.03円の円安・ドル高となった一方で、2日(木)は前日比2.40円の円高・ドル安となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末4月30日(火)終値156.85円と比べると、2024年5月第1週最終取引日5月2日(木)は1.37円の円高・ドル安となりました。なお、4月29日(月)昭和の日、5月3日(金)憲法記念日は、それぞれ祝日に伴う取引休業日でした。
途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2024年4月26日(金)156.70円から5月2日(木)155.48円までの変動範囲の中で、2024年4月26日(金)156.70円より円高・ドル安となる最初の取引日、次にその日より円高・ドル安となる日、5月2日(木)155.28円までそのような手順を繰り返すと、該当する取引日がないことを、グラフより読み取れます。したがって、2024年4月26日(金)156.70円と2024年5月第1週最終取引日である2日(木)155.48円を結ぶ薄茶色のグラフが傾向線となります。
2024年4月第5週最終取引日4月26日(金)156.70円から、いわば一直線で5月第1週最終取引日である5月2日(木)に1.22円の円高・ドル安となったと想定したのが、傾向線です。
2024年4月第5週・5月第1週の円ドルレートは、週明け祝日後2日間連続の円安・ドル高でスタートしますが、取引最終日には大幅な円高・ドル安の揺り戻しが到来、政府・日銀による円買い介入の可能性が強く意識され、最終的にはスタート時点の円ドルレートを1.22円上回る円高・ドル安で終わる、乱高下の激しい循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある1.22円の円高・ドル安の原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、5月1日のニューヨーク市場で157円台半ばから153円ちょうどまで急速に円高・ドル安が進む場面があったが、財務省の神田真人財務官が「為替介入の実施の有無については何も申し上げることはない」と述べたと伝わったものの、市場では政府・日銀による円買い介入の可能性が強く意識され、円買い・ドル売りが優勢となったことです。
第2は、米連邦準備理事会(FRB)が開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)では量的引き締め(QT)の減速方針を決め、パウエル議長は今後の利上げの可能性に否定的な姿勢を示したのを受け、米長期金利が低下したのも円相場の支えとなったことです。