タイトル 夢のチョコレート工場

公開年

1971年

監督

メル・スチュアート

脚本

ロアルド・ダール デヴィッド・セルツァー

主演

ジーン・ワイルダー

制作国

アメリカ

 

本作はイギリスの作家、ロアルド・ダールの児童小説「チョコレート工場の秘密」を原作としたファンタジー映画。脚本は原作者のダールが草稿を書いたものの、その大半は映画スタッフによって改変された結果、映画はミュージカル仕立てになり、チャーリーの学校の担任の先生を始めとする映画オリジナルキャラクターも出演している。また、原作にあったチャーリーの父親はカットされている。また工場内部の様子も一部変更された。

公開当初は興行的には失敗だったものの、一部に熱狂的なファンがつきカルト的な人気を得るようになる。

アメリカでの成績が芳しくなかったため、日本では劇場未公開だったが、ワーナー・ホーム・ビデオによって1986年7月25日にVHSが発売されようやく知られるようになり、その後ティム・バートンによるリメイクで再評価されるようになる。

映画の冒頭で、お菓子屋に立ち寄ったことも達に、店主がウォンカのチョコレートに纏わる歌を歌う、ミュージカルシーンから始まる本作。それを眺める主人公のチャーリー。彼は貧しくて誕生日ぐらいしかチョコレートを買うことは出来ない。それでも健気に新聞配達をしながら家計を支えていた。本作では母子家庭(それなのに祖父母は4人もいる)となっているが、原作だとちゃんと両親がいる。チャーリーが住んでいるのはウォンカのチョコレート工場がある町だが、かつて従業員がチョコレートのレシピを盗み出して以来、ウォンカは工場に引きこもり従業員の姿すら誰も見た事が無いのだ。

冒頭のお菓子屋のシーンで店員の背後に日本語が書かれたポスターが?

調べたらこの映画のポスター。しかしなぜ?

 

そんなある日、ウォンカのチョコレートに5枚の金のチケットが入っていて、それを引き当てた子供と1名の保護者を工場に招待。更に1年分のチョコレートをお土産とすることが発表され、全世界は騒然となる。まあ、なんやかんやあってチャーリーも金のチケットをゲットして、祖父のジョーと当日工場へ向かうが、その前にウォンカのライバル、スラグワースから「溶けないキャンディの秘密を盗んだら大金を渡す」という話を持ちかけられる。

集まった群衆の前に、久方ぶりにウィリー・ウォンカが姿を現す。一見気難しそうに見えたが、突然態度を豹変。大げさなジェスチャーで5人の子供と保護者を歓迎して工場に姿を消すのだった。

主演のジーン・ワイルダーはアメリカ生まれのロシア系ユダヤ移民の子弟として生まれた。「プロデューサーズ」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ注目を集める。同作の監督、メル・ブルックストは馬が合ったらしく、その後も常連俳優として活躍。一癖ある人物を得意とした。ウィリー・ウォンカはまさに適役で、本作を見るとティム・バートンはかなり本作での彼の演技を参考にしている事が分かる。

ジョニー・ディップ版よりも大人として描写されているのが最大の違い

 

工場はウンパ・ルンパと呼ばれる小人達が働いていて、他には動物がいるだけ。すべてがお菓子で作られた庭園やフルコースのディナーの味がするガム。絶対に溶けないキャンディ。金の卵を産むガチョウなどの部屋をめぐるが、そこで必ず言うことを聞かない子供がひどい目にあい姿を消していく。チャーリーは飲むと空を飛べるジュースの部屋で、こっそりジョーとともにジュースを飲み空中浮遊したが、何とかばれずに済んだ。その後、チョコをテレビに転送できる装置に入り込んだマイクが小さくなって姿を消したことから、チャーリーだけが残されることに。果たしてウォンカが約束した特別な商品とは何か?そしてチャーリーはスラグワースの誘いに乗るのだろうか?というのが大まかな粗筋。

リメイク版と比べてしまい、その分予算や特殊効果の技術などで、どうしても見劣りしてしまうのは仕方のないこと。それでも当時としてはなかなか攻めた内容だったと思う。それにCGのなかった時代にあの不思議な世界観を、限られた予算の中でうまく表現できていた。クルミを割るリスなど、当時の技術ではどうしても表現できない部分は無理をせずに、金の卵を産むがチョウに置き換えているのも、チープさを出さずに済んでいると思った。

そしてウンパ・ルンパだが、小人の俳優を使いメイクで同じ顔に見えるようにしているが、カメラワークのうまさもあって全員同じ顔に見えるようになっていて、ここもリメイク版のアイデアの許だと思われる。

前半登場した怪しい男はすべての当選者の近くにいたから、ネタはバレバレだし、ラストも如何にもあっさりしすぎていたけど、それでも今見ての十分に面白く感じる。そして、見終わった後は「ウンパ・ルンパの歌」が脳内でリピート再生されることになるだろう。