タイトル アイズ

公開年

2008年

監督

ダヴィド・モロー ザヴィエ・パリュ

脚本

セバスチャン・グティエレス

主演

ジェシカ・アルバ

制作国

アメリカ

 

本作は、以前紹介した2002年の香港・シンガポール合作によるホラー映画「the EYE 」のハリウッド・リメイク。舞台を香港からアメリカ・ロサンゼルスに。そして後半の舞台をタイからメキシコに変更している。その他細かい変更はあるものの、ほぼオリジナルを踏襲している。

本作はトム・クルーズがリメイク権を獲得し、彼の映画会社クルーズ/ワグナー・プロダクションズとパラマウント映画により主演はレニー・ゼルウィガー。監督は中田秀夫で製作がスタートしたが、レニー・ゼルウィガーの降板により、ジェシカ・アルバが主演に、ダヴィド・モローとザヴィエ・パリュが監督に起用された。この頃はまだ中田監督は冴えていたので、是非とも見たかった。

ストーリーはほとんどオリジナルと一緒なので、変更点や気になった所だけざっと述べると

 

上記の通り、主な舞台が香港からロサンゼルスに。後半はタイからメキシコに。

ヒロインの住まいが普通の集合住宅から、ドアマンがいる高級マンションに。

ヒロインの所属していたのが盲人のオーケストラから、健常者のそれも割と高ランクのオーケストラに。それによって、オリジナルではヒロインの職業が不明だったが、本作ではヴァイオリニストとなった。この辺りの変更は、角膜手術を受けてその後も心理カウンセラーにかかるためには、ある程度裕福でないと難しいので順当な変更と言える。

オリジナルだとワン・ローは一目ぼれだったが、本作だとフォークナーとは最初患者と医師の関係で、次第と医師としての義務感から恋愛に発展していく。

マンションで通知表を落として、自殺した少年の母親が登場。彼女には息子の霊が見えている様子。ちなみに演じているのは、「ベスト・キッド2」のヒロイン、タムリン・トミタ。

お久しぶりのタムリン・トミタ

 

脳の手術で命を落とす少女は同じだが、ヒロインが彼女の死を予知した事から、ドナーの情報を得る事が出来たが、このエピソードがカットされ、フォークナーが単独で入手したことになっている。なお、リンに相当する役は子役時代のクロエ・グレース・モレッツが演じていた。

いちばんの変更点はラストで、ここで彼女がアナの角膜で、霊が見えるようになった理由が明らかとなり、その役割を果たす事と引き換えに、再び視力を無くすことになる。オリジナルは霊が見えるようになった怪奇現象にフォーカスされているが、本作ではその理由にフォーカスしている点が異なる。その為か、ラストのヒロインの爽やかな笑顔に納得がいく。

変顔もキュート

 

本作のヒロインは、ジェシカ・アルバ。正統派美女のリー・シンジエに比べると、個性派で可愛らしいタイプだけに、前半の鏡の前で変顔をして目が見えるようになった喜びを表現するシーンは映えるが、そこは衝撃の展開の伏線となっている。ここが本作最大の問題点ではないかと思っている。この後でオリジナルでも「鏡に映る自分の顔が違う」という事で、彼女は目の異常をはっきりと悟る重大な場面。オリジナルは、リー・シンジエと明らかに異なる顔が鏡に映し出さされている。本作でも再現されているが、ジェシカ・アルバがヒスパニック系な事もあり、本作でアナを演じるメキシコ人女優のフェルナンダ・ロメロとあまり顔に違いが感じられない。どういうわけか髪色は同じ黒。髪型も長さも同じで、メイクも同じようなのであまり見分けがつかない。素顔を写した写真を見ると二人は全く違うのが分かるが、本作では「違う顔に見せよう」としていない様に感じるので、その分衝撃度も下がってしまう。

違いが分からないのだが、どうだろうか?

 

ただジェシカ・アルバの演技は見事で、誰も分かってくれない孤独の中で、次第と心が蝕まれていくヒロインを熱演している。彼女は、本作でゴールデンラズベリー賞でワースト主演女優賞にノミネートされたが、これはイメージが先行したのではと思う。この頃彼女はゴールデンラズベリー賞の常連だったので、選者たちに標的にされていた可能性があると思う。ただ、ジェシカ・アルバはあまりホラーに向いていないように思うが。

 

原作のいいところを残しつつも、きちんとハリウッド映画に落とし込んでいると思う。変更点は、いずれも納得がいくところで、顔の問題はあるにせよ、綺麗にまとまっていて、最後まで楽しんで見る事が出来たが、これもオリジナルの完成度の高さによるところが大きいと思う。