前回は「限度設定のプロセスとタイミング」について記事を書いたが、今回はより具体的に「どんな申請書にしたらいいのか?」、「与信管理部署の審査にはどんな資料が必要なのか?」について述べる。

まず限度設定申請書に記載すべき項目は以下のようなものになる。
<必須項目>
・商号
・本店所在地
・代表者
・設立年月日
・社内で使用している客先コードや口座番号(システムに計上する際に必要)
・申請営業部課名(捺印欄含む)
・申請限度種類(限度の種類参考)
申請限度額
取引経路・商流(仕入先や最終ユーザーなど)
・取扱い商品
・決済条件、月間取引数量、商品価格
採算
・保全措置(担保、保険の有無など)
与信管理部署意見記入欄
・決裁欄(捺印欄含む)

<補足項目>
・過去の取引実績(新規の場合、取組に至った経緯など)
・客先の誰と会ったかや、その人柄など
・過去の支払振り
・業界の動向
・決算概要
今後の取り組み方針
・資本系列、主要販売先・仕入先、メインバンクなど
・従業員数
・営業部所見欄

客先の基本情報はもちろん、その取引の一連の流れを把握し、商流自体にリスクはないかを審査しなければならない。
また、審査の観点から採算は必ずチェックしてほしい。取引先の信用力が低いと判断するのであれば、それなりのリターンをその商売に求めるべきで、必ずリスクリターンの観点は持ってほしい。

次に必要となる資料であるが、
・登記簿のコピー(先方から取得もしくは登記情報提供サービスから取得することもできる)
・決算書(新規の場合は3期分)
・信用調査書(上場企業の場合は有報)
・他必要資料
などになってくる。

上記申請書及び資料から与信管理担当部署で決済条件や採算の適正性、申請限度額に対し客先の信用力は問題ないか、担保を取得できる余地はあるかなどに対し意見を述べる。
端的にいうと賛成 or 反対を述べる。
その後、営業部署の取り組み方針と与信管理部署の審査意見を以て決裁者は可否を判断する。という流れである。
例えば、営業部署が与信リスクに対しての認識が甘く、決裁回付の前に止める必要があるのであれば、与信管理部署が反対したら取引ができない、とするのも一つの方法である。

但し、(やや抽象的な視点になるが)客先に信用力がないから与信に賛成できない。と営業部から具体的な話を聞く前に与信管理部署がきっぱりと言ってしまうと、会社内部で与信管理をする意味が全くなくなってしまい、与信管理部署の機能が発揮できなくなる(例えば帝国データバンクの評点が何点以上だったらいくらまで与信を行ってよいという基準があればよくなってしまう)。
与信管理部署は営業部署、会社の将来的な戦略や方針を推し量って審査すべきであり、それでもリスクが高いと判断した場合は「どうすればその取引ができるか?」を会社に提案することが出来て初めて審査マンと言える。
少なくとも私自身はそう考え、日々業務に励んでいる。

次は実際に「では審査をどうやって行うか」について述べたいと思う。


以上