今回取り上げた論文は“プラセボ”についてです。

次回も同様のテーマで別の論文について取り扱っています。

 

掘り下げると奥深いお話で興味深かったです。

 

Placebo effects on human mu-opioid activity during pain.

-疼痛時のヒトμ-オピオイド活性に対するプラセボ効果-

について話し合いました。

 

 

内容は

温熱刺激を与えられた時に

プラセボの治療を受けている群と

何もしていない群では

脳の機能にどのような違いがおきているのか?

について調べた研究です

 

 

結果は

プラセボ群では何もしていない群に比べて

“情動”に関連する脳領域が

活性化しやすくなっていることが

観察されました。

この領域では内因性オピオイド受容体という

体内で作られる痛みを和らげる物質を受け取る器官が

多く存在しているため

プラセボによる鎮痛には

オピオイド受容体の活性化が

重要な要素であるとした内容です。

 

また、

「オピオイドプラセボ反応者」という

プラセボ刺激に反応しやすい人がいると指摘しており

プラセボへの反応には個人差があることも述べられていました。

 

どういう人がプラセボに

反応しやすいか・しにくいか、といった事は

書かれていませんでしたが

とあるプラセボ研究の先生が

“ヒトからプラセボを完全に取り除くことは難しいので

あることを前提として付き合っていくことが望ましい”との

趣旨の講義をされていらっしゃいました。

 

 

鍼灸をおこなう上でプラセボは付き物だと理解して

活用しながら役立てていくことが重要と感じました。

 

 

少々読みにくいですが

以下が今回取り上げた文献です。

 

Wager TD, Scott DJ, Zubieta JK. Placebo effects on human mu-opioid activity during pain. Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 Jun 26;104(26):11056-61. doi: 10.1073/pnas.0702413104. Epub 2007 Jun 19. PMID: 17578917; PMCID: PMC1894566.