今回は令和4年7月の抄読会についてです。

 

 

取り上げた論文は

  Acupuncture points can be identified as cutaneous neurogenic inflammatory spots  

-経穴は皮膚神経原性スポットとして特定される-

という論文です。

 

個人的にとても興味深い論文でした。

 

 

内容ですが

ラットの静脈に青い色素を注射し

拘束ストレスを加えると

血圧が上がるとともに

前足に青い斑点が現れ

この青い斑点に鍼刺激を加えると血圧が下がること。

 

また、ラットの腸にマスタードオイルを注入し

大腸炎をおこした状態になると

今度は後ろ足に青い斑点が現れ

鍼刺激を加えることで

大腸炎の症状が改善される。

という現象が観察されました。

 

では、この青い斑点は何なのか?ということが

説明されています。

 

 

病的な状態になると末梢神経で炎症が起こり、

(炎症部位は血流が多くなるので)

静脈中の青い色素が集まり視認できるようになったのが

この青い斑点である、ようです。

 

また、末梢神経の炎症がおこっている部位(青い斑点)に

鍼刺激を加えることで

神経を介して病的な臓器に対し

正常な状態に戻るよう(恒常性)働きかけ

症状の改善がみられる。

と考えられます。

 

 

今回ラットで観察された青い斑点を

人体に当てはめるよう解析を行った結果

高血圧ラット・腸炎ラットともに

実際の鍼灸治療で循環器や消化器の

症状に対し頻繁に使用されるツボと

同じ位置にあり、鍼灸の作用の一端が

うかがえる研究報告でした。

 

 

 

青い斑点について

さらに調べられており

ツボとは何か?ということについても

理解が深まる記述があります。

 

 

青い斑点では炎症が起こっているので

・部分的にむくんでいること

・他の場所に比べて湿っていること

・押すと痛みを感じること

・電気が流れやすくなっていること

が挙げられています。

 

 

実際に鍼灸治療をしていて

ツボを探す時は

押して痛みがあるか?

湿っている、むくんでいる、張っている、くぼんでいる等の

手触りはどうか?

ということはとても重要なポイントです。

 

 

鍼灸の臨床で実際に感じていることと

研究で分かったことが一致しており

とても興味深い論文と思いました。

 

 

 

 

 

 

引用文献:

Kim DH, Ryu Y, Hahm DH, Sohn BY, Shim I, Kwon OS, Chang S, Gwak YS, Kim MS, Kim JH, Lee BH, Jang EY, Zhao R, Chung JM, Yang CH, Kim HY. Acupuncture points can be identified as cutaneous neurogenic inflammatory spots. Sci Rep. 2017 Nov 9;7(1):15214.