令和3年10月から有志の先生方と
論文の勉強会(抄読会)を定期的に開いています。
せっかくなので
おおまかな内容をブログに
書いていきたいと思います。
初回は
Dopamine Mediates the Vagal Modulation of the Immune System by Electroacupuncture
-ドーパミンは電気鍼による免疫系の迷走神経調節を媒介する-
という論文です
内容ですが
敗血症のラットの足三里(すねにあるツボ)に
鍼をして、電気をかけると
ラットの生存率が劇的に上がる、ということと
その理由について研究された論文です。
鍼通電で敗血症の生存率が上がることが
すでにすごい思うのですが
その機序が説明されているのも
またすごいと感じました。
では、どのような理由で
効果があらわれたのかについて
書いていきたいと思います。
足三里に鍼通電をすると
坐骨神経を介して脳に刺激がいきます
刺激を受けた脳が
迷走神経(副交感神経)を通じて
副腎髄質に働きかけ
ドーパミンという物質を産生するように促します。
ドーパミンが炎症性サイトカインの産生を抑え、
敗血症による死亡率を低下させる
というものです。
ヒトに対して同様の効果があるかは不明ですが
もし、同じような鍼刺激で迷走神経を刺激して
炎症を抑えることが可能であるならば
近年、炎症との関連を指摘されている
様々な疾患や老化にも
応用できる可能性があるように思います。
今回の論文を基に
今後色々な研究がなされることを期待しています。
引用文献:
Torres-Rosas R, Yehia G, Peña G, Mishra P, del Rocio Thompson-Bonilla M, Moreno-Eutimio MA, Arriaga-Pizano LA, Isibasi A, Ulloa L. Dopamine mediates vagal modulation of the immune system by electroacupuncture. Nat Med. 2014 Mar;20(3):291-5. doi: 10.1038/nm.3479. Epub 2014 Feb 23. PMID: 24562381; PMCID: PMC3949155.