前回は“かゆみ”と“痛み”の関係について紹介しました



今回は鍼灸治療の作用についてふれていきます




鍼灸治療が“痛み”を抑えるのに効果があるのは

よく知られたことですが、なぜ“痛み”に効果があるのか?

様々なメカニズムが示されていますが

その中でも“C繊維”の興奮を抑える“Aβ繊維”という神経を興奮させ

“C繊維”の興奮を抑えることがわかっています₍1₎



つまり


鍼灸治療による“鎮痛効果”と同じメカニズムが


アトピー性皮膚炎の“かゆみ”の改善


においても同様に働いていると考えられるのです





では、これまで報告されてきた鍼灸治療は

どのようなものがあるか紹介していきたいと思います




アトピー性皮膚炎の症状や体質、東洋医学による所見からタイプ分けをして

手や足、おなかや背中のツボに鍼治療をおこなう方法₍2₎





皮膚の炎症部や“かゆみ”のあるところに対しお灸をすえ

さらに体質改善を目的としたツボにお灸をすえる方法₍3₎



などがあります


いずれも高頻度に“かゆみ”が改善されることを報告しています




この際、灸治療では38℃以下の熱刺激が有効であると報告しています



38℃以下というとかなり軽い熱刺激と思われるかもしれませんが

43℃以上の熱刺激は“痛み”となるため

“痛み”が“かゆみ”をひきおこすアトピー性皮膚炎の

治療としては適切ではないと思われます


加えて、くり返される炎症で皮膚も過敏になっているため

43℃より低い38℃以下の熱刺激がアトピー性皮膚炎の

治療としてはちょうど良いと考えられます



38℃以下であればヤケドの心配もありません





これらの報告ではアトピー性皮膚炎に加え

頚肩のコリ、便秘、不眠といった不定愁訴に対する

治療も並行しておこなっています






当院においてもこうした研究報告を参考にさせていただいており

鍼と温灸を併用し

不定愁訴も含めて治療をおこないます




治療期間に関しては個人差があるため

一概にはいえないところではありますが

多くは中長期間にわたる治療が必要になると思われます








参考文献



₍1₎Melzack R, Wall PD :Pain mechanisms,A new theory.Sceience,1965;150:971-979.


₍2₎江川雅人. 成人型アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の臨床的研究. 明治鍼灸医学. 2003; 33: 35-49.


₍3₎越石まつ江、越石直巳:お灸によるアトピー性皮膚炎の治療. 疾患別大百科シリーズ6アレルギー疾患,

  医道の日本社,横須賀,2003;pp69-75.