鍼灸治療と片頭痛

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日本頭痛学会によると、片頭痛の有病率は人口の5~10%と報告されています



その症状として(1

1.ズッキンズッキンと脈打つような痛み(締めつけられる痛みもある)

  片側で(両側のこともある)身体を動かすと痛みが増し、ひどくなると

  寝込むほどの痛み(じっとしている方が楽)で、日常生活に支障を来す

2.悪心や嘔吐を伴うことが多い

3.光過敏・音過敏・嗅過敏

4.痛みは発作として現れ4~72時間持続し、一度治ってまた起こる

5.閃輝暗点(せんきあんてん:稲妻のような光が走ったり、物がゆがんでみえたりする)などの

  視覚異常などの前兆、肩こりなどの予兆を伴うこともある、といわれています  



片頭痛のおこる原因の考察と、その原因対する鍼灸治療を紹介した文献があります(2


まず、片頭痛の原因として

三叉神経への“慢性的な侵害刺激”が閃輝暗点のような

前兆をひきおこす可能性が示唆されるとしています(3


しかし、三叉神経の“慢性的な侵害刺激”による

脳の興奮をおさえる、抗てんかん薬のような薬では

前兆をおさえることはできるが、痛みはおさえられないことから(4(5

こうした理由に対し、否定的な見解もあります


一方で、三叉神経繊維が視床ニューロンを介し

大脳の広範に投射していることを明らかにしている(6

という研究報告もあることから


三叉神経の“慢性的な侵害刺激”が閃輝暗点のような前兆もひきおこすが

片頭痛のような痛みもひきおこす、と文献の著者は考えていると思われます


さらにこの文献のなかで鍼治療にも言及しています


先ほどから出てきている 三叉神経への“慢性的な侵害刺激” というのは

なにかというと “局所的な筋繊維収縮” つまり “コリ” が慢性的に

三叉神経を刺激しつづけことを言っているのです


論文の著者は三叉神経領域のコリをほぐすことで

片頭痛発作の頻度が低下することをよく経験すると述べています


“鍼灸治療とコリ”で述べたとおり、筋肉の緊張をとるには

鍼灸治療はとても効果的な治療法です

加えて交感神経を興奮をおさえる働きもあることから

ストレスや疲労で悪化する片頭痛には、より効果的と考えられます。



参考文献

1)2)頭痛に対する鍼灸治療の効果と現状:橋本 洋一郎, 鳥海 春樹, 菊池 友和, 篠原 昭二、 粕谷 大智

全日本鍼灸学会雑誌Vol. 64 (2014) No. 1 全日本鍼灸学会雑誌 p. 18-36

3)TRV1受容体を介した三叉神経の侵害刺激がCSD発生に及ぼす影響:
鳥海春樹・黒井 俊哉・佐藤 仁 柴田 護・清水 利彦・鈴木 則宏:日本頭痛学会誌;2013;39;303-5

4)Hauge AW, Asghar MS, Schytz HW, Christensen K, Olesen J.:Effects of tonabersat on migraine with aura: a randomised, double-blind, placebo-controlled study.Lancet Neurol. 2009 Aug;8(8):718-23.

5)Steiner TJ, Findley LJ, Yuen AW.:Lamotrigine versus placebo in the prophylaxis of migraine with and without aura.Cephalalgia. 1997 Apr;17(2):109-12.

6) Noseda R1, Kainz V, Jakubowski MGooley JJ, Saper CB, Digre K, Burstein R:A neural mechanism for exacerbation of headache by light.Nat Neurosci. 2010 Feb;13(2):239-45.