鍼灸治療と脳

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鍼灸治療といえば腰痛や肩こりのイメージですが

近年では脳に対する研究も進んでいます

その研究によると


ラットに鍼刺激を加えたところ大脳皮質や

海馬などの脳血流量が増加すること


虚血性神経細胞壊死 (十分な血液が送られずに細胞が

死滅すること) を抑制すること


その機序として前脳基底部コリン作動性神経が

関与している、との報告があります(1


鍼灸治療で血流の増加が認められた“海馬”は

記憶をつかさどる部分で、血流の影響を受けやすい部位です。


“長谷川式簡易知的能力評価スケール”(以下、HDR-S) という

認知症の検査方法を用いて運動療法のみのグループと

運動療法と鍼灸治療を併用したグループに対して

8週間にわたって治療をおこなったところ

HDS-R11-15点(軽度認知症の可能性)の群で

運動療法と鍼灸治療を併用したグループに認知機能の

改善が認められた、という報告があります(2


こうした報告から、認知症の予防に対して鍼灸治療にも

効果が期待できると考えられます。


しかし、運動療法も併用していることから

鍼灸治療のみでなく日常的に体を動かすことも

大切であると思われます。



参考文献


1)内田さえ:ここまで分かった鍼灸医学‐基礎と臨床との交流、脳機能および中枢神経疾患に
対する鍼灸の効果と現状、全日本鍼灸学会、2004;54(1):27-51.

2)澤田 規ら:高齢者の知的機能および日常生活動作に及ぼすTEASD の効果について、全日本
鍼灸学会雑誌、2001;51(1):69-80.