今日はちょっとマニアックなテーマ、『紬の訪問着』についてです。
ご存じの通り『訪問着』といえば王道フォーマルなので
結婚式、七五三、入卒式などのおめでたい式事に着るものなんですよ。
なので上質の白い絹糸で織り、色を染め、
そこへ豪華な模様を『絵羽仕立て』という
前から後ろに絵柄をつなげる手法で手書きしていくものなんですね。
で、一方『紬』はカジュアル着物の王道で、
訪問着にはちょっと使えない、、ていうランクのお蚕さんの、
糸から色を染めて織り上げる、その時に模様も
糸を変えて織り上げていく作り方なんです。
コレめちゃめちゃ難しいんですよ!
絶対、後から手書きで書く訪問着の方が楽なんじゃ?と思うのですが、
それでもやはりお蚕さんのランクのせいで
訪問着より格下になっちゃうんですよね。
そしてなぜかこの二つをくっつけたのが『紬の訪問着』。
フツーの訪問着と違って柄に金糸銀糸とか使っていないので、
一見カジュアル着の小紋かな?と
思わせて、よーく見ると柄がつながって絵羽仕立てになってるので
「アラ、訪問着だったのね。」って思わせといてからの、
生地よく見たら紬かいッ!
というお客様の三段オチを期待した、作家さんの遊び心なんでしょうか。
お着物にちょっと詳しい方だと
『紬』イコールカジュアル着と知っているので、
いくらこれは訪問着だと言われても、おめでたい席にはムリ!って思うんですよ。
じゃあカジュアルに普段着ちゃえば?って言いたいけど
じつはこちら、100万円近くするものが多いんです(;´Д`)
やはり訪問着ってことで非常に手の込んだ作りと
負けず劣らずのランクのお蚕さんを使ってるんですね
ちなみにふつうの紬の着物だったら数万円からあります。。。
さすがに100万近いものを普段着にするのは
叶姉妹でもない限りムリじゃないですか!
じゃあ一体いつどこで着ろと????
わたしずっとナゾだったので
紬の訪問着をおオシャレ着物としてメインで作っておられる、
作家先生に聞いてみました。
「そんなん、どこへでも着たったらええやん」
「いや、だって結婚式とかに紬はダメじゃないですか~」
「今の時代な、着物を着るっちゅうだけで手間もかかるし敬意を表しとんのやで。
生地が紬やろうとなんやろうとデザインがおしゃれやったらええねん。
デザインがカジュアルやったらパッと見てもあかんけど
こんなん誰が見ても『あらおしゃれやわ~高そうやわ~、って思うんやから
堂々とどこへでも着たったらええねん。』
「 (゚д゚)!」
「そもそもそんな面倒くさいルール誰が決めたん」
とおっしゃっていました。
そうですよね。
「おめでたい席には古典柄の訪問着に金糸銀糸の袋帯ざます!」
なんて言ってるのは今時たぶんスネ夫のママくらいですよね。
たぶん。
以前お会いした30代くらいの作家先生も「今は着物もデザインが多様化してきて
もう訪問着だの付け下げだのカッチリ分けられない。
そのシーンに着ていくのに『オシャレ』か『オシャレじゃない』か。
で考えれば良い。と言われたのがとても印象的でした。
でもそんな面倒くさいルールを作ったのは、言わずもがな
この着物業界なんじゃないでしょうか、、
とは、さすがの私も言えませんでした。(;'∀')
ホント、呉服屋ってルール作りすぎ!と思った方はインスタもどぞ。
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