I have a dreamしか知らなかったけど…キング牧師演説から50年 | 知財業界で仕事スル

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最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…


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先ごろ、通勤途中の車の中で聞いていたラジオから、今年はキング牧師の「I have a dream」演説から50年だという話しが流れてきて、それ以来この演説が気になっていた。

日本でも結構話題になったようで、調べてみるといろんな記事が書かれていた。たとえば…

「行進」が国を変えた、オバマ氏 キング牧師演説から50年
CNN.co.jp 2013.08.29

http://www.cnn.co.jp/usa/35036532.html

>米公民権運動指導者のマーチン・ルーサー・キング牧師が「私には夢がある」と差別撤廃を訴えた演説から50年目を迎えた28日、オバマ米大統領はワシントンのリンカーン記念堂で演説を行い、牧師の業績をたたえた。

>オバマ大統領は「キング牧師の言葉は時代を超え、現代において比類するもののない力と先見性を備えている。キング牧師は多くの人々の声にならない希望に大いなる力を与えた」と述べた。

>1963年のこの日、キング牧師らは人種差別撤廃を求めて「ワシントン大行進」と呼ばれる大規模なデモを行った。

>オバマ大統領は「人々が行進を続けたからアメリカは変わった。市議会も州議会も連邦議会も、そしてついにはホワイトハウスも変わった」と語った。




はずかしながら、この機会に生まれて初めてキング牧師の演説を聴いた。

Martin Luther King - I Have a Dream on August 28, 1963
http://www.youtube.com/watch?v=HRIF4_WzU1w


日本語訳はたとえばここ。
http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/25/martin_luther_king_n_3811698.html


確かにすばらしい。


この演説のはるか昔、1862年にリンカーン大統領が奴隷解放宣言に署名した。それからこのキング牧師のスピーチまでの約100年間で人種差別問題がどのように変化したのかよく知らない。せいぜい、昔観たテレビドラマRootsから得た間接的な印象くらいのものだ。けれども、このスピーチの後の50年の変化については、そのうちの現在までの18年を私はアメリカのワシントンDCに住人として暮らしたので、実感を伴ってなんとなくわかる。

人種差別はこの50年間で、無くなったとは言わないけれども、かなりな程度に少なくなったことは間違いない。そうなる道をキング牧師は作ったと言ってよいのだと思う。


米大統領「経済的平等は未完」 キング牧師演説50年
日本経済新聞 2013/8/29

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2900Y_Z20C13A8EB1000/

これにあるように、50周年記念行事で演壇に立ったオバマ大統領は「米国は黒人だけでなく女性やラティーノ(中南米系)、アジア系、障害者などにとってより自由で公平になった」と半世紀の進歩を指摘した。

ここからも分かるように、米国での差別問題は、キング牧師華やかかりし時代のように白人と黒人との間のものととらえるとイシューとして弱いものに今やなってしまっていて、その他の差別カテゴリーまで含めた話にしないと「よーしやるぞ」「まだまだやらなきゃ」みたいな力がわいてこない状況であると言ってよいのではないだろうか。人種差別の撤廃ではなく、差別の概念を人種を超えたところまで広げて、ようやく万人に訴えかけられる内容となる「大きな未完の仕事」に変わったのである。



キング牧師の演説の中に次のようにある。たぶんこれが、この演説の中で最も多く人々に引用された部分だと思う。

>私には夢がある。いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色ではなく、人格の中身によって評価される国で暮らすという夢が。

これって、米国社会ではほとんど現実のものになっているのではなかろうか。人種差別廃絶に関しては、米国は最も進んだ国だろうと私は思っている。たぶん今では、日本国内での人種差別(白人優位な自虐差別とか、あからさまな黒人差別とか)の方が圧倒的に強いと思う。

そうは言っても、ベルカーブ(統計的な観点)で考えると、白人と黒人との間に雇用や富の格差は厳然として残っているようだ。その意味では、白人より黒人の方が貧しい、と今でも言える状態だろう。

ただしこれは、今ある人種差別の結果というより、かつてあった人種差別によって作り出された格差の連鎖(貧困の連鎖)の結果生まれているものであると言ってよいように思う。
格差の連鎖(貧困の連鎖)はまだまだ続いている。人種差別によって貧困に貶められた黒人の祖父・祖母が、その子(父・母)に十分な教育を与えるだけの経済力が無かった。そして、十分な教育を受けるチャンスが無かったが故に経済力に乏しい父・母によって育てられた子はやはり十分な教育を受けるチャンスに乏しく、貧困に取り込まれてしまう。・・・みたいなことが今でも連綿と続いていると思う。

この格差は、直接、肌の色を基準に作られた差別によるものではなくて、昔、肌の色を基準に作られた格差が後の世を共鳴させるように現代の格差につながっている、そんな格差だ。

この格差の連鎖は、波が次第に減衰するように、幾世代にもわたる長時間をかければやがて無くなっていくものであろうことは間違いないと思う。それを待てばよいのか、その減衰スピードを上げるために何かしらの新しい政策が必要なのか?これは米国民が民主的に決める事項だが、今作られる新しい政策はもはや“白人対黒人”を前提としたものではなくなっているのは間違いない。

この人種差別問題とは別に、富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる、という格差の拡大の問題はますます大きな問題となってきている。カールマルクスが「資本論」で喝破した資本主義が持つ根本的な問題が拡大基調で表面化して来ているようにみえる。それも、米国に留まらず、これは世界規模で拡大してきている。

まったくの異論の余地無くキング牧師の功績は今でも輝いているのではあるが、彼が命を賭けて戦った米国内のイシューを超えて、それとは異質の差別問題に人類は直面しているということなんだろうと思う。






話はそれて、「重箱の隅」のような話だが、上の日経の記事では、50年前の演説時に大統領だった故ケネディ元大統領の娘で、次期駐日米大使に指名されたキャロライン・ケネディ氏のスピーチも少し紹介されている。

>ケネディ氏は「古い日本のことわざに、水は流れても、川は残るという言葉がある」と述べ「今度は我々が親たちの夢をかなえ、よりよい世界のために力を合わせる番だ」と呼び掛けた。

駐日大使になるので日本のことを勉強されているのだろう。日本人としては大変うれしい引用である。
たぶんこれは、方丈記の冒頭の表現…なのだろう、と思うけど…

 行く川の流れは絶えずして、しかも もとの水にあらず。淀みに浮ぶ うたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく止まる事なし。世の中にある人と住家と、またかくの如し。


キング牧師は、「I have a dream」演説から6年後、1968年4月4日に遊説活動中のテネシー州メンフィスにあるモーテルのバルコニーで凶弾に倒れ、死亡(享年39歳)。…もとの水は流れて行ってしまったが、それでも行く川の流れは絶えない…




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