ブラック企業とホワイト企業、社蓄と野生社員 | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…


テーマ:
“ブラック企業”が流行語になって、とうとうブラック企業大賞なるものまで創られた(http://blackcorpaward.blogspot.com/)。

ブラック企業大賞の栄誉に輝いたワタミの渡邉美樹会長が、「ワタミグループをブラック企業と呼ぶことは、到底、受け入れられるものではありません」と自身のブログで述べて、注目を集めたようだ(http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130606/249274/?rt=nocnt)。私は、この渡邊会長の言葉をウソだとは思わない。たぶん、ご本人からみて、ワタミはブラックではないのだ。

Wikipediaの“ワタミ”のページ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%BF%E3%83%9F)によるとワタミで働いている人は6千人近くいる。定着率が低いということであるが、いくら低くても6千人が同時に働いている状態ができているということは、長年そこで働いている人もたくさんいるはずだ。また、売上高は1千億円を超えている。これだけの売上があるのだから、ワタミが好きな人がたくさんいないはずがない。

長年ワタミで働いてきている人々にとっては、ワタミはブラックではなくホワイトなんだろうと思う。また、1千億円超の売上に貢献している顧客の皆さんの中には、ワタミ大好きな人がたくさんいるに違いない。

一方、私の同業知人の息子さんが、新卒でワタミに就職し、半年も経たないうちに辞めた。もう数年前のことだ。私は、その同業知人から間接的に少し聞いただけだが、なかなか重労働を強いられる職場らしい。この知人の息子さんにとってはワタミはブラック企業に他ならないということになるのだと思う。

かく言う私も、ワタミで働くことは到底できないと思う。体質が違うというか…私は、全体主義的朝礼とかがあったら、もうダメなのである。社長から「365日24時間死ぬまで働け」などと言われたら、それが善意にもとづく叱咤激励であったとしても、私はすぐに辞めると思う。だから弁理士になって、自分で事業(事務所)を始めたようなものだ。



もちろん私も、自分が経営担当をしている事務所をブラックとは呼ばれたくない。ブラックの反対はホワイトだから、いわばホワイト企業でありたい。もし、誰かがうちの事務所をブラックと呼ぶようなことがあったなら、渡邊氏のように私も「到底、受け入れられるものではありません」と言うだろう。

なぜ受け入れられないのか?理由は簡単で、自分ではホワイトのつもりで経営しているからだ。特許実務家の道を捨て、経営担当をしなければならなくなったときに、私が決めたのは、私が従業員ならば気持ちよく働ける職場環境を提供するということ。それを目指してやってきている。そんな職場がブラックなはずがない(笑)。

たとえば、うちの事務所は基本的に、「365日24時間死ぬまで働け」の反対で、「好きなだけ働いてください(儲けていただいた分に応じて支払います)」みたいな環境にある。

それでも、無茶苦茶働く輩が出てくる。私はそれを“守銭奴”と呼んでいる。腹八分目くらいで働いて、残った活力を他に使うべきだ。そうでなければ、将来は開けてこないぞ。しかし、目先のことしか見ない、わからん輩が多い。目いっぱい働いて、目いっぱい稼ごうとする。そして、それを批判する私を「あなたがそのようなシステムで経営しているからだ」というように批判したりする。私は働けと命令したことはないが、実質的にそのように仕向けているじゃないか、みたいなことを言う。また、お金基準の貢献に対してのみお金で評価する、結果をもたらさない単なる“一所懸命”は評価しない、などと私が言うと、カチンとくる輩がいる。

イイカゲンにしてほしい…で、嫌だったら辞めたらよい、というと、それがまたシャクに触るようなのだ。この種の輩にとっては、うちの事務所はブラックなんだろうなと思う。それでも、転職先が見つからないのか働き続ける者もおれば、年功序列型賃金の職場をみつけて去って行く者もいる。




こんなことをつらつら考えていたところに以下の記事が目に付いた。

目指すべきは「賢い社畜」!? 「ダメ社畜」チェックリスト10
R25  2013.06.06

http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20130606-00030215-r25&vos=nr25mn0000001


“社畜”もブラック企業に劣らずの流行語だと思う。ブラックの反対はホワイトで簡単だが、社畜の反意語は何だろうと考えてみたけれども「まさしくこれ」といえるようなものは見つけられなかった。家畜の反意語はたぶん野生動物だろうから、“野生社員”と命名しておく。


さて、上の記事によると、次の10項目のうち、あてはまる項目が4~7個なら「ダメ社畜予備軍」、8個以上は「典型的ダメ社畜」らしい。

□お金のために働いている
□上司の言うことは絶対だ
□休日も仕事の電話がかかってくる
□自分の仕事に社会的意義はない
□会社は自分を必要としていない
□残業はイヤイヤしている
□仕事があれば休日も仕事をする
□仕事を家に持ち帰ることが多い
□自社の商品を積極的に購入する
□有休を取る同僚が信じられない


私の場合は…

「お金のために働いている」要素もあるけれども、概して言えば否と思う。

上司の言うことは絶対とは思わない。今は上司が居ない状態だけれども、昔は絶対とは絶対思っていなかったし、今もお客さんの言うことは絶対とは思っていない。過去に何度か意見の不一致によってお客さんを失ったことがある。

休日に仕事の電話がかかってくることはある。ただ、日本の月曜が始まる時刻にはこっちはまだ日曜だから日曜にかかってくるだけなので、不可避の時差がなせる業にすぎず、答えはNoか。

自分の仕事に社会的意義はあると思っている。人によっては、特許制度なんか不要だ、というような人もおられるだろうけれど、ま、私には社会的意義があると思えている。また、日本の特許事務所業界をよりよいものにしたいと思って今の事務所を作り発展させているつもりだ。

会社は私を必要としているか?実際あまり仕事をしている感じはない。常日頃、所内で最もヒマなのが私です、と公言しているが、ほんとにそうだと思う。しかし、もし私が今いなくなったらけっこう大変なことになると思える。次世代経営担当者の育成を心がけているが、まだまだ道のりは長い。ということで答えはNo。

残業はできるだけやらない方針であるが、今は、仕事をしているのかしていないのかの境目、仕事か遊びかの境目が不明瞭になり、残業していることになっていると言えなくもない。仕事らしい仕事で忙しかった頃には、残業はできるだけしない方針であったし、それでちゃんと生活できていた。

上の残業の項目と同様に、休日の仕事、家に持ち帰っての仕事はできるだけしないように、仕事らしい仕事をしていたときにはやっていた。今は、日米間の時差のこともあるし、仕事と遊びとの境界が不明瞭であるしで、休日も仕事をし、家から日本に連絡して仕事をすることも多い。のだけれど、気持ちとしてはNo。

自社の商品というような概念がないといってよい職場である。仮に、購入できるような商品を作っている会社で働いていても、あえて自社商品を買う、というようなことはしないと思う。むしろ、知らない競合他社製品を使ってみたい。ということで、これについてもNo。

有給をとる同僚が信じられないことはないので、これについてもNo。

結果、私の場合には社畜性は低そうだ。そんな野生性をもっているから自営業をやっている、ということなんだろうと思う。大きな会社の社員や公務員は、私には到底務まりそうにない。


上記10項目に照らすと、お金のために働き、上司の言うことは絶対だと考え、休日も仕事の電話がかかってくるのがあたりまえで、自分の仕事に社会的意義はないと考えており、会社は自分を必要としていないとも考えており、残業をイヤイヤやっているにもかかわらず、仕事があれば休日も仕事をするし、仕事を家に持ち帰る、また自社の商品を積極的に購入し、有休を取る同僚が信じられないとも思っている従業員がダメ社畜ということになる。

そんな社畜に社員がなるから、会社がブラック企業になり得るのではないかと考えた。社畜がブラック企業を支えている構図になっていて、社畜がブラック企業を作る、というようなこと。社畜とブラック企業、この2つは相互補完的に対になっており、一方が欠ければ他方も成立しないのではないかと考えた。


しかし、よくよく考えてみると、そうではないようだ。

人それぞれ、個人個人に異なった個性があり価値観がある。ワタミとそこで長年働いてきている人との関係と、ワタミとそこで働き続ける気には到底ならなかった人との関係との間では、ワタミ自体は同じなのに、評価が白黒逆になる状態となるのだ。同様に、うちの事務所内でも評価が白黒異なる個人個人が存在するのだと思う。同じ企業であっても、働く方の心がけや価値観によってその企業がブラックになったりホワイトになったりするということだ。

ブラック企業とホワイト企業、社蓄と野生社員で4象限のマトリクスがつくれると思う。それを書き出してみると…

ブラック企業で働く社畜
ブラック企業で働く野生社員
ホワイト企業で働く社畜
ホワイト企業で働く野生社員


労働条件が同じでも、そこで社畜感覚で働くのと、その逆で働くのとでは、会社がブラック企業に見える・見えないの違いとなってくる場合も多いのではないか。
また、会社が客観的にブラックなのに、その条件が自分の個性に合っている野生社員にはホワイトになる可能性もある。客観的にホワイトでも、そこで働く社員が自らの個性によって社畜状態になっていることもあるだろう。

そもそも、客観的に決められるブラック・ホワイトの基準はないのかもしれない(労働基準法などの法律はあるけど)。にもかかわらず、ワタミグループをブラック企業ではないと決め付けようと必死になるワタミの渡邉会長は、自ら「ブラック」用の墓穴を掘っていることになっているのかもしれない。


ともあれ、その中で野生型の私が特許事務所経営者として目指すものは、ホワイト企業と野生社員のコンビネーション。社畜は要らない。もちろん、ブラック企業も要らない。社畜感覚が好きな人がもしうちで働いているなら、その人にとってはうちの事務所はブラックになっているかもしれない。そのような人は、職場を間違ったので早く転職した方がよい。

一方、家畜型でなく野生型の諸君、来たれ我が特許事務所へ!あなたにとっては、うちの職場はホワイトのはず。





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