環境問題はなぜウソがまかり通るのか 4/4 | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…


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私を含めた数人の学生は、水質分析作業をしてデータを出すアルバイトをしながら日々を過ごしていた。そのデータからどのようなものが見えてくるのかは、まだ世の中の誰も知らない状態だった。
毎日毎日の分析作業を経て、毎日毎日新しい水質データが積み重なっていった。そして、やがて俯瞰してみることができる程度にまでデータの蓄積は大きくなった。



私が当時調べた範囲では、プランクトンの異常発生を引き起こす最大の元凶は農業だった。特に、田植えがまずい。
田植えの時期には、大量の肥料が田んぼに撒かれ、同時に大量の灌漑水が使用される。日本特有の梅雨もある。その結果、肥料成分が大量に琵琶湖に流れ込むのだ。田植え時期の琵琶湖流入河川の水質の悪化はものすごいものがあった。
プランクトン用の栄養分をたっぷりと琵琶湖に供給する田植えが終わると、続いて、プランクトンに異常増殖を促すかのように湖の水温を上げる夏がやってくる。

化学肥料と農薬を大量にまき、地下水を汲み上げて大量に灌漑水を準備する形で日本の稲作農業の近代化が進んだわけだが、その進化(および衰退)と琵琶湖の水質汚染とはたぶん軌を一にしていると思う(この点は、わたしは調べたことがないので、単なる推測の域を出ないのではあるが)。

当時の私の説は、琵琶湖のプランクトン異常発生を防ぐためには、使用する洗剤の種類を変えるより、田植えをやめる(田植えのやり方を変える)べきだ、というものだった。

この説はこのブログにここで書くまで、今までどこにも公にしたことはない(笑)。学生の当時、先生に相談したが、「農業を悪者にすると滋賀県内で大きな政治問題になるから、それは発表してはダメ」という判断をもらって、今に至ったからだ。
それも今となっては時効だと思うので、この機会に書かせてもらった。



当時、家庭用のリン含有洗剤の使用を禁止する条例ができたことによって、琵琶湖の水質対策が大きく進歩したと世の中の皆さんは考えた(というか、そのように民意が誘導された)。
家庭用のリン含有洗剤と琵琶湖の汚染との因果関係がまったくわかっていない状態のまま、リン含有洗剤の禁止だけが一人歩きした。その結果、「滋賀県はえらい」と世の中は評価し、環境保護団体は喝采を送り、主婦(主夫も)は胸をはって便利な合成洗剤を捨て不便な石鹸を使った。

そして、リン含有洗剤以外の汚染源は、リン含有洗剤をスケープゴートにし、リン含有洗剤の陰に隠れて批判の嵐を逃れたのである。



リンを少しでも自然界に放出しないようにしようとする活動を否定するつもりは毛頭ない。これは、「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(武田邦彦著)が、リサイクル活動自体を否定していないのと同じこと。人間の活動が自然界に与えるインパクトが小さくなることは好ましいことだ。

問題は、そのような万人が正しいとしか言いようのない正論でコーティングされた「ウソ」がまかり通った環境改善活動や政策にある。感情で動く環境保護活動家や金儲けしか頭にない環境利権享受者などが動かす、ウソのまかり通った環境政策・環境保護活動にある。

その意味から、このシリーズの冒頭に挙げた「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(武田邦彦著)に私は拍手喝さいを送り、座布団を5枚ほど差し上げたい。

(終)

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