「経営に終わりはない」(藤沢武夫著) | 知財業界で仕事スル

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最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…


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「経営に終わりはない」(藤沢武夫著 文春文庫)
この著者は、ホンダを本田宗一郎と共に世界の「ホンダ」にした元・ホンダの経営者。

あらかじめそう思って読みはじめたのではなかったのですが、読み進めるにつれ、ホンダにおける藤沢氏の立場が、特許事務所経営担当者となっている自分の立場といろいろ重複するように思えてきました。“技術者”本田宗一郎氏を「社長」にしてホンダは成長したのですが、それを「経営」的側面から支えたのが藤沢氏だったのです。どちらが欠けても、ホンダは存在しえませんでした。


1986年の作品ですが、今も斬新さを感じられました。

「企業には良いことも悪いこともあるのだから、禍を転じて福とする、その橋を見つけ出すことが経営者の仕事なのだと思っています。」
ほんとにそうだと思います。うちでも当然に悪いことが起こります。そのときに必ず考えるのが、禍を転じて福とするにはどうしたらよいのかということ。



この著書で、なんと言っても心にしみるのは、藤沢氏が引退を決意したときのエピソードでしょう。…私の年齢が、これに共感しているということなのかもしれませんが。

著書では「二十五年目の幸せな別れ」という見出しがついています。

藤沢氏は引退を決意したとき、直接に本田氏には伝えず専務から間接的に伝えられたそうです。それを彼は「本田宗一郎との二十五年間のつきあいのなかで、たった一回の、そして初めで終わりの過ちをおかしてしまいました」と表現されました。

間接的に聞いた本田氏はすぐ「二人いっしょだよ、おれもだよ」といわれたそうです。それを知った藤沢氏は「ほんとに恥ずかしい思いをしました」と書いておられます。

以下は、その後に交わされたとされる両者の会話です。

(本田)「まあまあだな」
(藤沢)「そう、まあまあさ」
(本田)「ここらでいいということにするか」
(藤沢)「そうしましょう」
(本田)「幸せだったな」
(藤沢)「ほんとうに幸福でした。心からお礼をいいます」
(本田)「おれも礼をいうよ、良い人生だったな」

それで引退の話は終ったそうです。
本田氏67歳、藤沢氏63歳。



私の事務所は、2人の弁理士によって約20年前に始められました。最初の頃は、2人して毎日毎日明細書を書く日々でした。そして、10年ほど経った頃に事務所は大きな転機を迎えまして、創業者の2人は弁理士コースと経営コースとの選択を迫られることになったのです。
そのとき、私の共同創業者は弁理士コースをとり、“仕方なく”私が経営コースをとりまして今に至ります。その転機以後のうちの事務所の体制は、ホンダに似た体勢となったのです。

我々はまだまだ本田氏、藤沢氏の年齢に達するには時間がありますけれども、しばしば引退の話をしています。2人とも、「前倒し」が好きな性格なんですね(笑)。周囲からは「縁起でもない」とか「冗談はやめてください」というように言われながらも、本人は半分本気で考えているのです。

このまま順調に進めば、いずれは我々にも引退のときがやってきます。そのときには、本田・藤沢両氏に負けないくらいに「さわやか」にいきたいものだと思います。

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