最近、お客さまとの会話の中で、「とにかくみんな考えない」「自分で考えることができない」といった声をよく耳にします。企業側は“考えることができる人材”を求めているのに、実際にはそのような人材はごくわずかしかいません^^;。では、なぜ多くの人が「考えない」のでしょうか?
私の主観ではありますが、「考えない」のは、決して能力や適性がないからではないと思います。
考える力を持っている人はたくさんいるはずです!ただ、考えることは、実はとても疲れることです。また、正解がない問いに答えを出すことは簡単ではありません・・・だからこそ、無意識のうちに「できればやりたくない」「できれば避けたい」と思ってしまうのではないでしょうか。
人間はどうしても、無自覚に楽な方へ流れてしまうものですので、思考力を必要とする場面ではこのパターンがハードルになるのです。
では、どうすれば考える人材を育てることができるのでしょうか?
その答えのひとつは、「考える場をつくること」だと考えます。
考えるというのは、才能ではなくスキルのひとつだと考えます。つまり、トレーニングによって身につけることができるのです。ところが、職場では目の前の業務に追われて、じっくり考える時間がなかなか取れないのが現実です。
最近では、企業内で1on1ミーティングを導入するところが増えてきています。1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に対話をする場となりますが、コミュニケーションのためだけでなく、「考える場」としても非常に有効な場となります。
人は、誰かと話すことで自分の考えを言語化し、整理し、深めていきます。つまり、アウトプットのプロセスそのものが、思考を促すトレーニングになるのです。
私自身、コーチングを受けるようになって20年が経ちますが、コーチとのやりとりを通じて、圧倒的に「考える力」がついたと実感しています。
コーチングを受ける前までは、考える場もなく、考えたことを誰かに話す機会もなかったので、自分の中でぐるぐると主観的な思いに支配されていました。ですが、コーチとの対話を通じて、自分の思考をいったん外に出し、客観的に見つめることができるようになり、そこからさらに深く考えることができるようになったと感じます。
考える場があることで、考えることが習慣化され、まるで筋トレのように少しずつ思考力が鍛えられていったように思います^^
実は、まだまだ組織の中には「考える力がない」のではなく、「考える習慣がない」「考える場がない」だけの人がたくさんいるのではないかと思います。
だからこそ、企業としては、考えることを習慣化できるような場づくりや環境づくりを意識的に行っていくことが重要です。
このような取り組みが、結果として「考える人材」を育てることにつながっていくのだと思います。
考えることは、トレーニングで身に着けることが可能です。そのためには、「場」と「習慣」が必要です。まずは、このような環境つくりから、実践してみることをお勧めします!
