中国人は本当に投資が好きです。インフレで預金していてもお金の価値が下がるから。という理由が言い訳にしか聞こえないほど、投資が好きです。ただ、一部のスーパーエリート以外はギャンブル性の高い、運任せの投資をしているようです。猫も杓子も投資をしています。

骨董屋も例外ではありません。骨董屋はお客さんが来るまでは店番は暇なので、中国人の二流業者達は、仲間を集めて賭け麻雀、賭けポーカーなどをしたり、株や為替のチャート画面と睨めっこしています。三流は投資に回すお金がないので、ケータイやパソコンでゲームしたり、日本製の家電や化粧品をネットで転売して小遣いを稼いでいます(笑)

中国人古美術商の一流は暇な時間何をしているか。二パターンあります。一つはとてつもない規模の投資をする。私の親しい一流の古美術商は投資というか、小さなビール会社を買収し、経営権を握り、親戚を取締役に送り込み、しばらくしてから破綻して数億円損していました(笑)しかし、彼は懲りずに中国の政府発行の限定記念銀貨を数万枚買い入れ、上がるまで寝かせています。これも数億円分が山積みになっていました(笑)

違う親しいグルメな業者は、日本のウイスキーと和牛が大好きで、サントリー山崎の蒸留場まで行って、十万本輸入したいと交渉したがダメだった。ライセンスを取得して仲卸をやりたい。あと、神戸牛を百頭単位で輸入したいから、手伝ってくれ。と真剣に言われて断りました(笑)彼は目利きもないし、知識もないので、パパの金で遊ぶ前に勉強した方がいい。と内心すごく思います。野心と能力がありすぎる人にとっては、店の中は狭く退屈に感じるのでしょうね。

一流のもう一つのパターンは「自己研鑽」です。勉強したり、座禅を組んで精神を鍛えたり、在庫を見直して管理したり、店に居ながらにしてできること、やるべきこと、やったほうがいいこと。沢山あります。それをコツコツやる人はやはり、地力があるし、人間的にも成熟していて魅力があります。私も後者でありたいです。広田先生も著書の中で、株や相場に手を出した先輩達はみんなダメになった。やらぬが一番。と、本業に専念する重要性を説いておられました。私も全く同感です。MITやハーバード、スタンフォード、東大あたりを出た世界中の天才専門家達が優秀な一流チームを組み、数百、数千億円規模の資本で真剣にやっている世界に、個人の素人が遊びで片足つっこんで勝てる道理がありません。メジャーリーグオールスターと我々骨董屋の寄せ集めチームが野球をするようなもんです。一万回試合をやったって絶対一回も勝てないでしょう。

本業だけを真面目にコツコツと。それに勝る成功への近道はありません。身分本分をわきまえて、自分の仕事を一生懸命に頑張っていくことが何よりも大切であります。