勉強の集中力が最大化する部屋の温度とは?【受験の脳科学】 | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし

勉強の集中力が最大化する部屋の温度とは?【受験の脳科学】

 

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受験の心療内科

 

勉強の集中力が高まる部屋のベストの温度とは?

 

 

 

 

今日のテーマは、勉強の集中力を最も高めることができる室内の温度の設定についてです。

読売新聞に私のインタビュー記事を掲載していただいた影響で、それをご覧になった方から私のクリニックにお問い合わせを多くいただきました。

 

新聞に掲載していただいた記事は受験にとっても役立つ内容だったので、それをさらに深掘りして、詳しくご紹介します。

 

 

人間の脳は、認知機能の働きが室温の影響を敏感に受けるということが、科学的なデータとして実証されています。

 

つまり、エアコンを最適な温度に設定することによって、勉強の集中力を高めることができるわけです。

 

特に、成績を今すぐあげたい受験生の方は、ぜひ、取り入れていただきたいです。

 

 

では、脳にとっての最適温度とは、いったい摂氏何度なのか?

 

また、性別や人体の個人差による影響はどうなのか?

 

受験生を専門に診療している心療内科医としての経験と専門知識をもとに、わかりやすく解説します。
 

 

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ストレスが増える受験期に、突然うつ症状を発症する人が急増している。うつで人生を狂わさないために、受験生本人や家族ができることは何か。受験生専門外来のがストレス管理や効率の良い勉強法を解説する。

 

 

脳の認知機能は室温によって働きを変える!

 

真冬のこの時期、勉強している方だったらどなたも感じることだと思いますが、エアコンの温度の設定次第で集中力が高まったり、逆にガクンと集中力が落ちたりするというのは、よく経験することですね。

 

これは、単なる気の持ちようや錯覚などではありません。

 

脳の認知機能が、室温によって働きを大きく変えるということは、科学的なデータに裏打ちされています。

 

つまり、エアコンを上手に使うということが、勉強の集中力を高める上で、とても大事なことだということです。

 

 

そこで、エアコンの製造販売も行っている三菱電機が受験勉強とエアコンとの関係についての調査を行うことになり、私がその医学監修を務めました。

 

以前、東大の保坂教授など人間情報学会の理事が中心になって行っていた体温と脳機能に関係についての研究プロジェクトがあり、その中で勉強への影響についての研究部門で私がリーダーを務めていた経験があり、ご指名を受けることになったのです。

 

その調査レポートを読売新聞の記者さんが読んで関心を持ってくださり、記事になったわけです。

 

 

集中力が最大化するのは摂氏22度?

 

まず、部屋の温度を何度にしたら人間の集中力が最も高まるかについては、複数の研究が発表されていますが、読売新聞の記事に書いていただいたように、概ね摂氏22度がベストです。

 

「え!そんなに低い温度なの?」と、驚かれた方も多いと思います。

 

でも、早合点はしないでください。

 

 

短い時間、脳の認知機能を最も高める温度が22°cだという実験結果だったと言う意味です。

 

勉強部屋の温度を22°cにすべきだという意味ではありません。

 

ただ、勉強の最適温度を知る上で、この実験データはとても参考になるのです。

 

 

スマホも脳も情報処理で熱が生じる!

 

なぜ、こういう実験データとなったのか、脳医学的なメカニズムについては、取材を受けた時に詳しくご説明しましたが、さすがに新聞の紙面では字数に限りがあるので、結論だけが新聞記事になっていました。

 

そこで、ここでは簡単にメカニズムもご紹介ておきましょう。

 

 

まず、どうして22°Cという低い温度で集中力が最大化するかと言うと、人間の脳は情報処理を行うと膨大な熱を生み出すことに理由があります。

 

パソコンもスマホも、使っていると熱くなりますよね。

 

そもそも情報処理というのは、熱を生み出すことが避けられない作業なのです。

 

人間の脳も情報処理をしたら熱くなるのは、医学という以前に、物理学的に当然のことなのです。

 

 

だから、脳をしっかりと働かせるためには、体内から熱が逃げていきやすい環境が必要です。

 

これが、22°という低い温度が脳の認知機能にとって最も効率が上がる実験結果になった理由です。

 

 

肌寒いと交感神経が刺激!

 

ただし、常識的に考えればわかることだと思いますが、室内を22°に設定していると、肌寒くて不快な感じになってくることは、どなたも想像がつくと思います。

 

この不快だという感覚は、熱が奪われすぎていると脳の視床下部が判断していることを示しています。

 

これによって、体内では、無理をして熱を生み出そうとするために、交感神経が刺激を受けているのです。

 

人体が無理をして頑張ろうとしている状態なので、確かに短い期間で考えれば、勉強の集中力は少し寒いくらいの方が高まるのは事実です。

 

しかし、そのような状態が続けば、やがて脳は疲弊してしまって、勉強のやる気そのものが低下したり、イライラしたりしてしまうので、長い目で見ると、低い温度の中で無理して勉強することが効率が良いとは言えません。

 

 

快適温度帯の最低温度で集中力が最大に!

 

では、室内の温度を何度にしたら、最も集中力が高まるのか?

 

この点が、皆さん、最も関心が高いところだと思います。

 

 

この答えは、ズバリ、「快適温度帯の最低温度」です。

 

快適温度帯とは、本人が暑くも寒くも感じない温度の範囲です。

 

つまり、「快適温度帯の最低温度」とは、自分が寒くないと感じる温度の中で最も低い温度ということです。

 

室温をこの温度に設定すると、集中力は最も高まるわけでます。

 

 

実は、人間の脳内の視床下部という部分が、暑いとか寒いとかを感じる不快な感覚を作り出し、人体に現状の変更を促します。

 

それによりストレスが生じるため、集中力も低下するわけです。

 

 

一方、快適温度帯の中にあれば、脳は無理をして温度調整をしなくていいと判断するためストレスが生じにくいのです。

 

だから、この温度帯の中で最も低い温度、つまり寒いと感じることがない中で最も低い温度が勉強にとってベストだということです。

 

 

性別と甲状腺ホルモンで最適温度が変わる!

 

では、「快適温度帯の最低温度」とは、摂氏何度なのか。

 

これは、受験生の性別によって、あるいは体調によって大きく異なります。

 

 

男性は筋肉が多いので、体を動かさなくても筋肉が熱を発するから、低い温度でも快適に感じます。

 

一方、女性は筋肉が少ないので、男性よりも寒く感じやすい性質があるわけです。

 

だから、男性中心で温度設定がなされている職場では、女性が冷え性で苦しむことになるわけです。

 

 

また、甲状腺ホルモンの量によっても、快適に感じる温度不快に感じる温度が異なります。

 

この他にも、体内の状態によって温度の感覚は異なりますので、何度が良いと言った唯一絶対の最適温度はないということです。

 

だから、金科玉条のごとく常に何度に設定するという考え方は捨てて、自分の感覚で不快に感じない寒く感じない温度の中で一番低い温度を設定すれば良いということです。

 

 

快適温度帯が狭いと「受験うつ」に注意!

 

ただし、注意していただきたいのは、本来、これはとっても簡単なことなのに、受験生の中にはこの温度がなかなか見つからないという人がいます。

 

どういうことかと言うと、エアコンの設定温度をちょっと上げただけで暑くて、逆にエアコンの温度を少し下げただけで寒いと感じる・・・。

 

これは、温度に対して脳が不快な感覚を生じやすくなっているため、快適温度帯が狭くなっているのです。

 

実際、共通テストを受験したときに、室温が不快だったという受験生も多かったはずです。

 

 

どうしてか?

 

それは、脳内でストレスが高まっていて、視床下部が判断するす暑くもなく寒くもなく快適な状態であるという感覚が生じにくくなっているためです。

 

中には、快適に感じる温度帯がなくなっているという受験生もいます。

 

 

この場合は、エアコンのわずかな音であったり、家族の生活音であったり、温度だけでなく他の感覚についても不快に感じやすくなっていることもあります。

 

実は、これは「受験うつ」の典型的な症状なのです。

 

その場合、間違いなく、問題を解く能力も脳内で連動して低下しているため、脳医学的に適切な対策をしないと、入試に落ちてしまいます。

 

少しでも心当たりがある方は、以下の「受験うつ」の解説もお読みください。

 

 

 
 

 「受験うつ(Exam Depressive Disorder)」とは、受験生が勉強のストレスなどで生じるうつ症状の総称です。2005年に当院院長の吉田たかよし医師が日本で初めて提唱し、「受験うつ どう克服し、合格をつかむか」(光文社新書)がベストセラーになったことなどで広く社会に浸透しました。

 

 受験生の自覚症状として最も多いのは、集中力の低下です。勉強のストレスや不合格になるのではないかという不安によって、脳内で集中力を生み出す中枢が機能低下を起こすために生じます。

 

 英語や国語の課題文が読み取れなくなるということも、「受験うつ」で頻発している症状です。脳内の扁桃体(Amygdala)が暴走すると、ワーキングメモリー(Working memory)の機能が悪化するため起こります。

 

 「受験無気力症候群(Exam Apathy Syndrome)」を併発する方も多く、受験勉強を持続する能力が低下し、志望校への合格を阻む重大な原因になっています

 

 最新の脳科学とメンタル医学を総動員し、受験生のお一人お一人の脳の状態に最適な治療を行うことで、「受験うつ」が早期に軽快するだけでなく、脳機能がパワーアップするため、発病前より2ランク高い志望校に合格されるケースも少なくありません。

  



「受験うつ(Exam Depressive Disorder)」とは、受験生が、勉強のストレスや入試に落ちるのではないかという不安などにより生じる「うつ症状」です。

受験生に現れる症状は、とても多様で、受験生お一人お一人、苦しまれる症状は異なります。

 

以下が、「受験うつ」の症状として、よく見られるものです。

 

・集中力がでない!

 

・受験勉強のヤル気がでない!

 

・イライラして勉強を続けられない!

 

・気分が落ち込んで苦しい!

 

・文章を読み取る力が低下した!

 

・暗記しても記憶に残らない!

 

・夜は眠れない! 朝は起きられない!

 

 

上記の受験うつの様々な症状の中で、受験生ご本人が感じるのが最も多いのは、集中力の低下です。

 

うつ病になると、記憶力や思考力など、脳内の様々な認知機能が低下しますが、集中力の低下も、かなりの高い割合で生じます。

 

さらに、受験勉強が高度な集中力を要求するため、脳内で集中力を生み出す中枢が、とりわけダメージを受けやすいのです。

こうした症状が出ている方は、「受験うつ」の可能性があります。・・・・・

 

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