鈴木隆雄著『骨から見た日本人』 | なりあきのYEAR BOOK

鈴木隆雄著『骨から見た日本人』

「ようこそのお運びで。厚く御礼申し上げます。」

ひさびさ、読書日記。

今回は、鈴木隆雄著『骨から見た日本人』、

講談社学術文庫です。


この本を読んで、まず「古病理学」というものがあることを知りました。

出土した人骨から、死因となった病気、生前罹っていた病気、あるいは、怪我、骨折、などさまざまなことを骨の状態から分析する学問のことです。

いろいろなことを分析、客観的に分析しなければならないので、出土したときの保存状態など、いろいろ条件がそろっていないといけないというものこともありますが、日本では、この「古病理学」という学問がまだまだ未発達であるということも知りました。


さて、本の内容ですが、主に縄文時代の人骨から、当時の人々の生活状況、病気、出産、などに関わるさまざまなことが紹介されています。

縄文人は狩猟採集民族であるので、多くは骨折、それは、狩猟採集時に、命がけでしていたことを意味していました。

また、当然ですが、現在のように医療体制が整っていないため、出産は人生の一大事であることもわかります。

母親と胎児の状況からもそういうことがわかり、現在のわれわれが考える世界とはほど遠い、ほんとうに命をかけた出来事であったということが、わかりました。
だから、それだけ、出産というものは神秘的なものであるのかなと、想像も働きました。

そのことと関係しますが、縄文時代の平均年齢は、15歳ではなかったのではないだろうか、という説には少し驚きも。



他には、鎌倉時代、江戸時代における骨に見られる特徴から、結核や梅毒などさまざまなことを解説していました。


すこし、残念なのは、本書の大部分が縄文時代に関する記述が多く、日本史全体を通しての「古病理学」からみた日本人の歴史を知りたかった、ということもあります。

しかし、とても有意義な本であったのは間違いないです。

骨から見た日本人 古病理学が語る歴史 (講談社学術文庫)