御名易(みなかえ)本居宣長先生他 | 由兵衛

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本居宣長は『古事記伝』の中で、「名易え」は太子(後の応神天皇)の名を気比大神に差し上げるという意味であり、『書紀』の記述は誤っていると述べた。
竹野長次氏は、『古事記』の「名易え」説話について、太子が神の名を得る事、すなわち神の霊威を身につける事により、太子の霊威が高まったと考え、「名易え」の意味を、気比大神の名を太子に差し上げて太子の名にする、と解した。そして、「名易え」が角鹿で行なわれた理由は、敦賀地方の土地神が神名を奉った事で、敦賀地方の豪族が王朝へ帰順した事を表現しているものと考えた。
吉井巖氏は、『古事記』の説話の中に「名易え」の結果を示す記述がなく、最後は魚を賜る話になっている事について、説話中の「ナ」は魚と名のどちらにも読める事から、この話の原型は、太子が魚を賜った話であり、これが名を賜った話に利用されたためであるとした4)。また吉井氏は、太子が角鹿で「名易え」をした理由については、継体天皇が応神天皇の子孫と称して越前から大和へ進出した事実から考えた。『日本書紀』によると、継体天皇の本拠地は、若狭、越前にあった。そこで同氏は、角鹿はその中心に位置しているため、角鹿地方の漁撈民の間で信仰されていた地方神の伝承が、継体天皇の始祖伝説に取り入れられたので、太子は角鹿で「名易え」をしたのだと考えた。
三品彰英氏は、「名易え」に関して、太子の元の名は「ミケツ」あるいは「ケヒ」であり、気比大神「イザサワケ」であると考え、この両者の交換であると解した。また、三品氏は太子の「名易え」の性格について、典型的な成人式の儀礼であり、神との交霊による新しい人格の成立及び新天皇の出現であると考えた。角鹿で「名易え」が行われた理由として、イザサワケノ大神が、太子の母である神功皇后の祖先神である事から、祖先神との関係を指摘した。
塚口義信氏は、民俗の事例から、「名易え」は、成年式における改名儀礼の神話的表現であると見なした。角鹿で「名易え」が行なわれた理由として、応神の母系である近江の豪族、息長氏との関係を指摘した。妻問婚の時代であれば、子は母方で養育され、成年式も母系の神社で行なわれたのは自然であろうと考えたのである。
倉塚曄子氏は、「名易え」の後の太子の名前は不明確であり、『応神紀』の割注の記述も、『日本書紀』の編者にすら意味がよく分からなかった事を示しているので、「名易え」の持つ本来的な意味はよく分からない、と述べている。倉塚氏は、説話中での「名易え」の位置付けについて、太子の再誕であると考えた。同氏は、成年式において、「名易え」は大人として再誕するために必要な儀礼的手続きであるので、『仲哀記』中の応神天皇の物語は、再生復活儀礼に枠どられた新たな王の誕生の物語であると述べている。さらに同氏は、角鹿で「名易え」をした理由について、大陸交通の裏玄関に位置している角鹿を、大陸交通の表玄関・筑紫で誕生した新時代の初代王応神が、第二の誕生をとげた場所にするためであったと考えた。
阪下圭八氏は、『古事記』本文を口誦面でとらえ、ナは「魚」のナと「名」のナのどちらにもとれる事から、夢の中の神のお告げは一つの謎かけであったと考え、「名易え」は、気比大神の魚と太子の名前との交換と見なした。また、角鹿での神託は、成年式の試練であり、後に続く母后の歓喜の歌は、一人立ちした太子を祝うものである事から、「名易え」説話は応神の第二の誕生譚であったと考えた。角鹿での「名易え」の理由に関して、角鹿は、宮廷の食料が献上される場所であり、同時に、大陸交通における重要な場所であったため、そこの守り神である気比大神を、海の彼方の金銀の国を神授された太子に結び付けるためであったと述べている。
尾崎和光氏は、文中のタケノウチノスクネの言葉に注目し、太子の名を易えたのでなければ不自然であるとして、「名易え」は、気比大神が太子に名を与えたという意味であると考えた。そして、この「名易え」説話の部分は、独立した説話的性格を持ち、太子が土地の霊を身につけて支配者の資格を得る話であったと考えた。太子が角鹿で「名易え」を行なった理由として、角鹿は神功・応神にとって古い縁のある重要な場所であり、その土地に関係の深い、古い伝承が伝えられていたからであろうと推察した。
田村克巳氏は、三品氏の説を受け、「名易え」は太子にとっての成人式であると解した。角鹿で「名易え」を行なった理由は、神功・応神説話の構造から推定して、角鹿は王朝にとって新たな王の出現する場所であったからだと考えた

祝日 明日3月8日は御名易祭 お年玉

 

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