こんにちは、岐阜県各務原市で社会保険労務士をやっております横山 勝です。
社労士として仕事をしていると、ときどき、こんな感覚になることがあります。
・話はちゃんと聞いている。
・困りごとも理解できる。
・「ぜひお願いしたい」と言っていただいている。
それでも、心のどこかで、「今はお引き受けできないかもしれないな」と感じてしまう。
今回は、その感覚がどこから来るのか。
僕が社労士としての判断の裏側を書いてみます。
🔷「難しそうだから」ではない
最初に、これははっきりさせておきたいのですが、僕が「お引き受けできないかもしれないな」と思う理由は、
・会社が小さいから
・制度が整っていないから
・社長が制度に詳しくないから
こういうことではありません。
むしろ、整理されていない会社や、「何が問題なのか分からない」状態のほうが、社労士が関われる余地は大きいと思っています。
それでも「今はお引き受けできない」と感じるとき。
そこにあるのは、制度的な話ではなく、向き合い方の話です。
🔷「相談」に見えて、少し違うと感じるとき
話を聞いているうちに、少しずつ違和感がはっきりしてくることがあります。
それは、「どう考えればいいか」を一緒に探したい、というより、すでに決めた答えを確認したい、という空気。
・「これ、法律的に問題ないですよね?」
・「グレーでも、やってる会社ありますよね?」
・「大丈夫って言ってもらえれば進めたいんですが」
こうした言葉が重なると、相談はだんだん“確認作業”に近づいていきます。
社労士としての僕の役割は、安心できる言葉を差し出すことではありません。
リスクも含めて整理し、「それでも選びますか?」を一緒に考えること。
そこが噛み合わないとき、どれだけ制度を説明しても、同じ方向は向けないと感じます。
🔷制度は「作る」より「使い続ける」もの
もう一つ、判断の大きな軸があります。
それは、作った制度を、使い続けるつもりがあるか。
就業規則も、労働条件通知書も、評価制度や社内ルールも、作ること自体はゴールではありません。
本当に大変なのは、
・現場でどう運用するか
・従業員にどう伝えるか
・ズレが出たとき、どう直すか
この部分です。
それなのに、
・「従業員に説明まではしなくていいですよね」
・「実際の運用は、今まで通りで」
そうした言葉が出てくると、僕の中で、やはり違和感が生じてきます。
使われない制度は、会社を守らないどころか、あとで負担になることが多い。
それを分かった上で、「それでもいい」と言われたとき、今の僕の関わり方では、うまく支えられないかもしれない、と感じてしまいます。
🔷「専門家に任せているから」という前提
もう一つ、大切にしている視点があります。
「社労士が言ったから」
「専門家に任せているから」
この考え方が前提になると、どこかで無理が出ることが多いです。
制度の最終的な責任を負うのは、社労士ではなく、会社です。
僕は、
・選択肢を整理する
・リスクを言葉にする
・判断の材料をそろえる
そこまでしかできません。
判断そのものを丸ごと預けたい、背負ってほしい、という関係性だと、長く健全な関わりは続かないと思っています。
だから、「今の形では、お役に立てないかもしれない」そう判断することがあります。
🔷お引き受けしない、という判断について
こういう話を書くと、少し冷たく感じるかもしれません。
でも僕は、無理に引き受けて
・形だけの制度を作り
・違和感を残したまま
・数年後にトラブルになる
そのほうが、ずっと不誠実だと思っています。
社労士の仕事は、その場を整えることではなく、あとで困らない状態を一緒に作ること。
その前提が共有できないとき、無理に踏み込まない。
それも、専門家としての大切な判断だと思います。
🔷最後に
今回のブログは、お引き受けする・しないの話をしたかったわけではありません。
僕がどんな前提で仕事をしているのか、その基準を書いてみたかっただけです。
社労士は、どんな相談にも「できます」と言う仕事ではないと、僕は思っています。
関わる以上、形だけ整えるのではなく、きちんと意味のある状態まで持っていきたい。
その前提が共有できると感じられるとき、僕は迷わず引き受けます。
逆に、それが難しいと感じるときは、無理に踏み込みません。
それは能力の問題ではなく、役割の選び方の問題です。
僕は、ちゃんと向き合う前提のある仕事を、丁寧に積み重ねていきたい。
そういう関わり方を、これからも続けていきたいと思っています。
