カレンダーに書き込んだ“余白”の大切さ


スケジュール帳を開いて、びっしりと埋まった予定を眺める。
数年前の私は、それを「頑張っている証拠」だと思っていました。
予定が多いのは信頼されているから、頼られているから、必要とされているから——。

そう信じていたし、そういう自分にどこか安心もしていたんだと思います。

でも、あるときふと気づいたんです。
手帳のどのページにも「自分のための時間」が書いてない。
空いているところを見つけては、「ここにも予定を入れられるな」と考えていた私は、気がつけば“埋まっている”ことに酔って、心の余裕を削っていました。

そんな日々の中、ある経営者さんに言われた言葉がきっかけでした。

「空白って、ただの“何もない”じゃなくて、“何かが育つ”ための場所なんだよ」

その一言に、はっとしました。

それ以来、私はカレンダーに意識的に“余白”をつくるようにしています。
「この午後はあえて予定を入れない」「この日は早く仕事を終らせてのんびりする」といった、何も決めていない時間を、あえて“書き込む”んです。

不思議なことに、その余白がある日だけ、心がゆったりと動き出すような感覚があります。
本屋でふと手に取った一冊に、今の自分にぴったりの言葉が見つかったり、散歩中に沈む夕陽を見て、「こういう時間が大事だったんだ」と思えたり。

詰め込んだ予定の中では気づけなかったものが、余白の中にこそ、ちゃんと存在していたんです。

“がんばる”ことは大事。
でも“休む”ことも、同じくらい大事。
むしろ、前に進むためにこそ、休みが必要なんだと思います。

もし最近、「なんだか毎日が慌ただしい」と感じているなら、
ぜひ、手帳やカレンダーに“小さな余白”を入れてみてください。
そこに何をするでもなく、ただ「自分の時間」と書いておくだけでも、心の風通しはずいぶん違います。

空白は、心の栄養補給の時間。
スケジュールに追われるのではなく、スケジュールとともに生きていくために——
“余白”という名の予定、そっと入れてみませんか。