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首相の家庭なんて幸せなもんじゃねえ。

/ 麻生太郎



分かり易いパレスチナ問題解説を二つ。

なぜイスラエルはガザ地区を攻撃しているの? 簡単な解説
http://bakusyouten.blog92.fc2.com/blog-entry-3086.html

もしも東京がパレスチナだったら…
http://d.hatena.ne.jp/m_debugger/20090109/1231504735

問題を解決するには、理解する必要がある。
周囲をアラブ系の国に囲まれたイスラエルの必死さは、たぶん僕らには判らない。

ということで、以下は前回のショートストーリーの続き↓



それはニュースの中継だった。
色とりどりの花が燃やされていた。花びらが燃えながら舞っていた。
ニュースキャスターは薄暗い面持ちで語る。

「残念ながら、贈った花が燃やされてしまっているようです」

そこは中東の国境地帯近くの砂漠。
日本から大量に送られた花は、戦争をしている当該国に受け入れを拒否されていた。
行き場の無い花たちはしおれ、枯れ、腐っていた。

「隣国への輸出の許可が出ない。いつまでもここに置いておく訳にはいかないので一定期間を過ぎたものは焼却させてもらっている」

アラブ人の後ろの倉庫には、まだ送られていない大量の生花の箱が一杯に積まれていた。

連日のように、ニュースでは花が燃やされる風景を映していく。
やがて日本国内では「あの花は無駄だった」「結局戦争を止める事なんて出来ないんだ」という意見が再び勢いを増していった。


国会。
総理大臣が「花を贈ろう」で100万円ほどの花を贈っていた事が発覚する。

野党 「総理。『花を贈ろう』に100万円ほどの寄付をしていたそうですね」
総理 「そうですが」
野党 「あの花が燃やされている事はご存じですか?」
総理 「知っております」
野党 「国内の経済や緊急の課題が山積みの中、そういう無駄なお金をですね、
    使うという事に対して総理のご意見を伺いたいのですが?!」

口の端の歪んだ総理は、しばらく考えてゆっくりと答えた。

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私たちの国は、戦争を他の国に対して行う事を禁じられております。憲法にそう書いてあります。
もちろん、他の国同士が戦争を行っていてもそこに武力介入をする事は出来ません。
日本に他国の戦争を止める力は無いのです。

それでも、花を贈って「私たちが悲しんでいる事」を戦争当事国、そして世界に訴える事は可能です。
そうやって悲しみを伝える事で、一歩でも平和に近づけるのであれば、やるべきだと考えております。

確かに国境地帯で花は燃やされている事は知っています。
その風景は世界に伝わっていくでしょう。
そして、日本はなんて無駄な事をしているんだと思われるでしょう。

だからといって、私たちが諦めてしまう事があってはならない。
これは武器を持たない日本という国の戦いなのです。
送った花が燃やされ、撃墜されていても、私たちが平和を願い続ける事でいつかは争いが終わるかもしれない。

日本は武力戦争をする事は出来なくなってしまいましたが、日本人は戦う事以外に関しては大変優れた民族であると私は考えております。日本人が平和に対していかに努力を惜しまないか、いかにあきらめの悪い民族であるか、世界に教えてやろうじゃありませんか!
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広告代理店の男は頭をかかえた。

支持率低迷にあえぐ与党と総理を使い「花を贈ろう」のアピールをさせた。
燃やさせた倉庫の管理人のアラブ人の演技はひどいものだったが、どうせほとんどの日本人はアラブ人が何言ってるかわからないだろう。総理の演説の調子はなかなか良かった。

が、その後になおも野党に「派遣村の事が」と追求された後に「じゃあ派遣の連中にもこの100万円をやるよ。それで満足だろ?」と札束を叩き付けたのは良くない。あんな乱暴な言い方では主婦層や高齢者層の支持は得られない。
だから支持率がこんな低空飛行を続けるんだ……。

男は用意していた企画書をクシャクシャにしてゴミ箱に捨てた。


世界各国で放送される花が燃やされる風景。
CNN、BBC、アルジャジーラ、NHK、そしてインターネット。
様々な国と言語で「花が燃やされる風景」と「日本の総理の演説」が流された。

各国の反応はまちまちで、「無駄だ」という意見もあれば「素晴らしい」という意見もあった。
ドイツの「緑の党」などはさっそく協力を申し出てきたし、韓国では何故かキムチを送る国会決議が可決された。
ただ全体としては「理解に苦しむ」という意見が大半を占め、日本から送られる花は「カミカゼ・フラワー」などと揶揄された。


一方、日本国内では総理の演説以降、右派と左派が入り乱れて盛り上がっていた。
民族主義なのに平和を主張するという前代未聞の行為にあらゆる勢力が困惑していた。
話題になると同時に、反対意見も増えていった。そして、花はひたすら送られ続けていた。


5月4日 みどりの日。

結局、戦争は終わる事は無かった。
当事国に花は届くことは無かった。

「ダメでした。残念です。とても残念です」

そう、司会者は寂しそうに言った。
うつむいた司会者がTVに映される。
司会者が顔を上げて言った。

「ではまた、来年ということで」


(つづく)



次回「エピローグ」
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