彼の優しさ | 生存率5%にかけた夫婦の闘病記(二人三脚で病に打ち勝つぞ!)

生存率5%にかけた夫婦の闘病記(二人三脚で病に打ち勝つぞ!)

32歳で自分の腎臓癌が見つかり、手術も成功してホッとする間もなく
今度は最愛のダンナさんにスキルス胃癌が!!
2年1ヶ月の闘病を終え、ダンナさんは旅立ちました。
ダンナさんとの想い出と1人娘との生活について書いてます。

ダンナっちが闘病していた時は、
私も必死すぎてわからなかったのですが。

ダンナさんの死因であるガン、
「スキルス性胃癌」という胃癌です。

このタイプの癌はほぼ治らない、
初期中の初期の方で治る場合があるけど、
ステージが進んでしまった方は
ほぼ助からない、という癌です。

そしてとても悪性度が高い。

私は自分が癌に罹患するまで知らなかったのですが、
生活習慣など自分で防げる可能性がある癌と
そうでない癌があるようで。

ダンナっちの場合は、自分では防ぎようがないタイプの癌。

検査をしても見つけにくいタイプの細胞、
進行の仕方の癌でした。

その分「何でダンナさんがこんな目にあうの?」
と思ったこともあったのですが。

今こうなってみて、このタイプの癌になった事が
彼の優しさであるようにさえ感じます。

彼の父親は早くに亡くなっているので、
そのDNAを引き継いでいるダンナさんも
何かしらの病気になりやすいのだと思っていました。

なので、できる限りの事は、病気する前からしていました。

食事にもすごく気をつけ、
お酒もお付き合い以外ではほとんど飲まず。
(タバコだけはやめてくれなかったけど)

これだけやってきていたのに
生活習慣が原因だったら、
私はすごく後悔していたと思うんです。

なんで防げなかった?って。

でも生活習慣が原因ではないタイプの癌だったことで
私は自分を責めないですみました。

そして最期の4週間、病院に泊り込んで看護ができ、
それこそ食事から入浴からシモのお世話までしてきたし、
彼の希望であった緩和ケアの病院にも行けたことで
私自身はできる事は全てやりきった、
というある種の満足感ももてました。

そして何より、彼の最後の顔。

一切苦しまなかったことで、
すごくきれいな顔をしていたし、
参列してくださった皆様一様に
「笑っているじゃん」
「満足そうな顔しているね」
とおっしゃってくださるほど、
微笑んだ顔で旅立っていきました。

生前、彼とはよく夫婦ケンカもしました。

私が家出をすることもありました。

若かりし頃はケンカで暴力もあったし。

火遊びをしやがった事もありました。

でもね、最期を悟った彼から言われました。

「本当に●●ちゃんと結婚してよかった」
「●●ちゃんと一緒だったから、病気と闘えた」
「ありがとう、俺は最高に幸せだ」
「●●ちゃんが大好きだよ、その笑顔が大好きだよ」
(●●は私の名前)


一体どれだけの夫婦が、
これだけの深くて強い絆で結ばれているでしょうか。

一緒にいられた期間は11年と短かったけど、
普通の夫婦の一生分を、この短い期間で過ごせたと思ってます。

だから胸を張って言えます。

ダンナっちも私も、お互いを大切に思い、
魂から結ばれていると・・・。

そしてお互いにお互いを、
最高の人生のパートナーだったと・・・。

ダンナっち、ありがとう。

私も本当に幸せです。