野良猫の見た夢☆ | イラストレーター☆ふさふさしっぽの明日

野良猫の見た夢☆




私は猫でした。


灰色と、黒のまだら模様の野良猫です。


荒れ果てて、人が住まなくなったおうちをねぐらにしていて、


石畳の続く街の中を徘徊しながら、ごはんを探し求める、そんな子でした。



ふさふさしっぽの明日




街は煉瓦のお家がたくさん、連なる場所でした。


晴れていたら美しいだろうに、たくさん突き出した煙突から


絶え間なく、灰色の煙が上がり、それがまるで空に広がったかのように


それの色も灰色。


人間達は誰も自分を見ないし、寒そうに襟元をぐっと握りしめて


急ぎ足で移動していました。


私は、人間の残したものを求めて、ゴミ箱をあさり、


または街中の下水を走るネズミを


捕まえ・・・どうにか生きていました。




ある日、私は生まれたばかりの子猫を


足の長い街灯の下に見つけました。


あたりはもう、暗くなってきていて、人通りも少なく、


みんな足早にお家に帰ろうと急ぐ中、子猫が2匹、


弱々しい声で鳴いていました。




私は一瞬、見なかったことにしようとして、踵を返すのですが、


後を追ってくるような泣き声が、耳にずっとついて離れないので、


仕方なく、子猫たちの元へと戻りました。



痩せていて、小さく、まるでネズミのようにも見えるその子らを


口にくわえると、自分の住処へと帰りました。



住処につくと、ボロボロの毛布の切れ端の上に


子猫を寝かせました。


空腹で鳴く子らに後悔を覚えながらも、夜の街に駆け出しました。



匂いをたどって、どこかに食べるものはないかと


探して回ります。


けれど、夕方のうちに処理されてしまったのか、


ゴミ箱をあさっても、何も出てきませんでした。




ミルクをあげなければならない、ということが頭を掠めて、


どこに行けばあるだろう?


どうやったら手に入れられるだろう?と思いました。



朝方近くに、ミルクが配達される地区があることを思い出して、


私は、自分のテリトリーではないところにある、その


場所まで出かけていきました。




私が塀の上で、夜明けが近づくのを待っていると、


大きくて、真っ黒な猫が、こちらへとゆっくり近づいてきました。


目を合わせないように、間合いをとりながら


私は後ろへと下がりました。


すると、反対側から雉柄の猫が現われました。



痛い目に遭いたくないなら、帰れ。



静かにそう言われて、私はひるみました。


だけど、住処に残してきた子猫の姿が脳裏に浮かび上がり、


どうして、あの子らの為にここまで、と思う自分と、


一度助けたのだから最後まで、と思う自分とが心の中で


激しく葛藤を始めました。




勝ったのは、最後まで、と思った自分の気持ちでした。



私は、瞬時に飛びかかりました。


ふいをつかれた、黒猫は大きく体勢を崩して、塀の上から転げ落ちました。


私はその上に、必死に食らいつきました。


後ろから迫っていた雉猫が、私の右肩を、激しく噛み、


激痛が走りましたが、それでも黒猫の首筋から口を離しませんでした。


噛まれて、引っかかれて、蹴られ、


それでも、噛みつく力を緩めることをありませんでした。




どれくらい経ったのか分かりません。


私は、一人路上にうずくまり、薄明るくなってきた視界の中、


1人の人間の少年が、小さな容器を家の隅に置いているのを


目にしました。


足が思うように動かず、身体からは血が流れ、


それでもわたしは、足をを引きずりながら、少年の去った後、


置かれたその容器に近づきました。



取っ手部分のヒモを、自分の首に引っかけると、


私は、それをずるずると引きずりながら歩き始めました。


片方しか開くことのできない目で、来た道を確かめながら、


街がどんどんと目覚めていくのを、音で感じていました。







部屋の中には、太陽の光が差し込んでいました。


室内に舞うほこりが、光の粒子みたいにキラキラ反射して輝いていました。


その太陽光が、直に当たる場所。


私が寝床としているボロボロの毛布の上で、子猫らは


もう息をしていませんでした。


2匹がくっついて、小さく丸まっている姿は、


穏やかに眠っているようにも見えましたが、


なめてみると、その身体は冷たく、硬くなってしまっていました。



私は呆然としました。


間に合わなかったのでした。



私は、のろのろと自分の首から取っ手を外しました。


ずっと、路地を引きずって歩いてきたため、容器は壊れてしまい、


ミルクは流れ出して、残っていませんでした。




私は、子猫らの隣に腰を下ろしました。


眠ったままのその顔に、そっと自分の顔を寄せて、


その子らを抱くように、毛布の上で身体を丸めました。




ふさふさしっぽの明日











終わり☆










昨日、熱があるときに見た夢ですーーー(´・ω・`)


中学生の時の、あの助けられなかった子にゃんこのこと


思い出してしまったみたいで・・・


変な夢、見ますよね、熱あると(・∀・)


起きたら、泣いてました・・・。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。