緩和ケア | ようちゃんのブログ(乳がん闘病生活と日常のあれこれ)

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異時性両側乳がん
(左:ステージ0 右:ステージ1)

2017年12月左乳房皮下乳腺全摘(乳頭乳輪温存)
2018年5月左乳房再建(インプラント)
2023年4月右乳房皮下乳腺全摘(乳頭乳輪温存)
2023年12月両側乳房再建(インプラント)、乳頭再建
2024年4月左インプラント抜去

「がんとはなにか」についてのお勉強、12回目(最終回)です。

前回は、支持療法について書きました。

 

 

 

今回は、緩和ケアについて書きます。

 

がんによる痛みとは

一言で痛みと言っても、いろいろな痛みがあります。人が感じる痛みには、身体的な痛みだけでなく、心の痛み、社会的な痛み、スピリチュアルな痛みがあります。がんによる痛みはそれらすべてを含んだものと考えるべきです。

 

緩和ケアの必要性

緩和ケアというと、がんが進行して治療不能になったら行うものという印象がありますが、そうではありません。緩和ケアは、がんと診断された段階で治療と並行して行い、さまざまな痛みを取り除くことで、患者のQOLを向上させる治療です。

痛いところがあると、思うように身体が動かせず、心までその痛みに支配されてしまいます。痛みさえなければ、やりたいことなどいろいろな希望が出てきます。痛みを緩和することが、QOLを取り戻す第一歩です。

 

がんはなぜ痛い?

がんによる身体的痛みは、体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛の3種類に大きく分けられます。

がん細胞が増殖していくとやがて、がんやがんによって誘導されてきた免疫細胞などが、侵害受容器(末梢感覚神経につながっている痛みをかんじるもの)を刺激する化学物質を放出します。がんが大きくなると、がんそのものが受容器を刺激することもあります。この刺激が脳に伝達されて痛みが生じます。

このメカニズムが、体性痛では骨や筋肉、内臓痛では食道や肝臓などで起こります。

痛みを伝達する神経線維には2種類あり、骨や筋肉と内臓ではその割合や数が異なるため、それぞれに表に示したような痛みの特徴があります。

 

神経障害性疼痛は、がんが大きくなって神経を圧迫したり、浸潤したりして起こります。しびれるような痛み、電気が走るような痛みが特徴です。

 

痛みには、一日中続く持続痛、一過性に増強する突出痛の2パターンがあり、がん患者の痛みはこの2パターンが組み合わさって現れます。

 

オピオイド

がんによる痛みの緩和にオピオイドが使用されることはご存じかと思います。

 

オピオイドの語源

オピウム(アヘン)+オイド(ようなもの)=オピオイド

 

オピオイドとは麻薬性鎮痛薬やその関連薬の総称です。

代表的な薬剤として、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどがあります。

 

脳や脊髄には、オピオイド受容体があります。オピオイドは、オピオイド受容体に作用して、痛みを起こす物質の放出を抑制することにより、鎮痛作用を示します。

 

さて、副作用は?

 

もちろんあります。悪心・嘔吐、便秘の他、呼吸抑制や徐脈が生じることもあります。

制吐剤、下剤などで症状を緩和させることになります。

 

依存性は?

 

痛みのある状態でオピオイドを使用しても依存症になることはありません。

オピオイド受容体には、μ、κ、δの3種類があり、κ受容体にはμ受容体とδ受容体を抑制して依存形成させない働きがあります。痛みがある状態ではκ神経系が強く働いており、ここにオピオイドを投与するとμ神経とδ神経も強く働きますが、結果的にバランスの取れた状態になります。

 

身体的な痛みの緩和

がん性疼痛を取り除くには、オピオイドなどさまざまな鎮痛薬を使う必要があります。

鎮痛薬は大きく分けて、オピオイドと非オピオイドに分けられます。

また、神経障害性疼痛など、オピオイドでも緩和できない痛みには鎮痛補助薬が用いられます。

非オピオイドは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)やアセトアミノフェンなどがあります。

オピオイドには、モルヒネ、フェンタニル、コデインなど、鎮痛補助薬には、抗うつ薬、抗けいれん薬、ステロイドなどがあります。

 

心のケア

がん患者への心のケアには、疾病や治療に関する適切な情報提供や孤立しないための情緒的サポート、治療薬などを用いた医学的サポートがあります。

病院によって違うとは思いますが、がん相談支援室のようなところがあり、そこで、いろいろなサポートが受けられるようになっています。

がんの疑いのために検査を受け、その時点でどうしようと不安になる。そして、がんだと告知されて、さらに大きな衝撃を受けて落ち込む。時が経ち、少し落ち着き、治療を始めるが、薬の副作用に悩む。手術の不安も。こうして、絶えず、ストレスにさらされる。

一人で抱え込まず、誰かに相談する、話を聞いてもらうのは、大事ですね。

 

社会的ケア

がんになると、本人だけでなく、その家族にも問題が生じます。家庭生活や仕事、それに関わる経済的な問題。自分が入院中、家の中のことは誰かする?仕事を休まなきゃ行けない。いろんな悩みが😥

病院には、医療ソーシャルワーカーがいて、そんな悩みに助言してくれます。

 

スピリチュアルケア

スピリチュアルケアとは、個人の人生観や価値観を尊重し、それが保たれるようにするケアです。

スピリチュアルケアがないと、患者は癒されることなく、根源的な悩みであるスピリチュアルペインに苦しみます。

 

スピリチュアルペインの例

何か悪いことしたから、天罰が下ってがんになったのかも…

何のために生きているのか、もう生きていても仕方ない

こんな人生に意味があったのか

なぜ、自分だけこんなに苦しまなければならないのか

 

今は、ネットで情報も得られるし、SNSでの繋がりもあり、私も救われました。

こうして、みなさんとブログを通じて出会えたことは、感謝です。

ありがとうございます😊

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。 

今回で、「がんとはなにか」についてのお勉強として掲載する予定の内容は終了しました。

書籍をもとに、自分なりに理解しながら、図や表を交えてまとめたもので、わかりにくい点もあったかと思いますが、少しでも皆様のお役に立てればうれしいです。治療については、私自身の経験は少なくて、実際と違うこともあるかもしれませんが、ご容赦ください。

医学は日々進歩しており、今後、もっと新しい治療法が出てくるかもしれませんね。