多忙にかまけて中途半端な状態で放置していた記録、ようやくアップデートします! 実は、ここ2年ほどになりますが、仕事やら勉強やら自分や家族の体調や様々なトラブルやらで凄まじく忙しくなってしまい、ブログ更新が非常に困難な状況が続いています。おそらく当面はこのような状況が続きますが、何か新しい共有できたらいいなという情報があれば、参考になるかは分かりませんが、できるだけ共有させていただきたいと思っています。

 

 一方で、これも月に1度時間がとれるかどうかですが、たまに皆様のブログを見させていただき、元気をいただいたり、すごいなあ~と感動したりしているのです。

 こちらでお礼を申し上げたく、いつも本当にありがとうございます!!!

 

 

【バレエ学校卒業とリハビリ】

 

 去年の初め頃、娘は、積み重なった古い捻挫の後遺症で、場合によっては、足首靭帯の修復術か再生手術を受けた方がいいかもしれない、というアドバイスを受けました。ここまでは、以前に書いていたところです。

 

 その後、イギリスのクリニックで2月にステロイド注射を打っていただきました。そこから2週間はレッスン不可、2週間後から1か月くらいかけてゆっくり戻していき、5月~7月頃には学校の最終学年の公演ツアーに間に合いました。

 公演ツアーは12~16公演?ほどあったでしょうか。出演がない日もあったようですが、1日に複数の演目に出る日もあり。早朝からバスで公演先に向かい、公演準備のお手伝いをさせていただく経験も少しは出来たようです。そして公演を行い、バスで帰ると深夜。泊りがけの公演も1度はあったはず、この経験を通して、同級生たちとの絆がとても強まったようです。

 

 そしておかげさまで、昨年7月の卒業公演をもって3年間在籍したバレエ学校を卒業しました。

 

 卒業時点で、足については、注射後は、テーピングをしながら全公演をこなせるまでに復活していました。ポワントもコンテも問題はなく踊れていて、傍目には分からず、足の話をすると驚かれるくらいでした。ただ、実際のところは、痛みがあったり、腫れたりすることがあるという状況で、色々考えると、夏休み中にPRP注射を受けるのがいいのでは?と考えて、色々調べ始めていたのです。

PRP療法とは?整形外科におけるPRP療法の目的や効果について | メディカルノート (medicalnote.jp)

 

 そして7月、卒業公演を終えて帰国した娘を連れて、足首関節の専門医がいるクリニックへ。

 そちらでの診断は、基本的には関節鏡での修復手術を勧める、それでもPRPを受けたいなら医師を紹介しますよ、ということで、PRPの出来るクリニックにつないでいただきました。という状況で、PRPを受けようとしつつも、長く続けるために手術を受けようかな、という考えに本人は傾きつつあったのですが・・・。

 

 その直後でした・・・たまたま、この状況について娘が恩師にお話ししたところ、バレエダンサーのコホート研究などを行ってきたバレエダンサー特有の怪我に詳しい整形外科の先生がいらっしゃることをご紹介いただき、その先生の所属されている大学病院で診ていただく流れに。

 こちらの先生の診立てでは、必ずしも手術が必要な状況とは言えず、またPRPは足首への効果は膝より確定的ではないので勧められない、と。

 まずリハビリをしっかり行い、足首関節の周囲を支える筋肉や組織を強化する必要がある(テーピングのし過ぎで、十分使われず、強度に左右差が出ていたのは確か)、そして手術が必要かどうかどうかの判断は、リハビリ後の状態を見てから。緊急に必要な手術ではないので、プロの場合であれば、公演などのスケジュールによって決めていけばいいでしょう、との結論に・・・。

 

 とにかく、いつか手術するとしても、術前リハビリがしっかりできていて土台がしっかりしていればより効果的、スムーズな回復につながるということもあり、まずはリハビリだ、と、本人も私も十分納得できました。ということで、当面は手術も注射もなし。

 リハビリ期間のレッスンは、「1か月程度レッスンを休止し、リハビリに専念して正しい動きを筋肉に覚え込ませる→段階的にバーを再開→段階的にセンターも再開→段階的にポワントを再開」ということでゆっくりゆっくり再開していく感じ。

 ポワントで踊って激しく負荷を掛けたりしなければ別に痛みもあるわけではなく、もともと日常生活には支障なく。

 院内のスポーツ医学診療センターに週1回~2回、数週間空く時期もありましたが、トータルでは5か月ほど通いました。リハビリを終えた段階で、心配される類の痛みはなかったので、現段階では、手術は行わない、ということになりました。

 

 最初のクリニックで聞いた手術の場合も、リハビリ開始が術後3か月後、復帰までは半年かかる目算だったので、結果的に復帰までにかかっている時間は大差ないかもしれなくて、だったら手術をした方がよかったのか?

 

 先生によって診立ては分かれましたが、どちらが間違いということでもないのだと思われます。

 いつか手術が必要になる時は来るかもしれないけれど、そのタイミングがいつなのか・・・。

 手術をすれば、強靭な靭帯を得られるはず。もちろん手術自体の一般的なリスクはある、麻酔やら、他の組織への影響、傷口の回復など。

 手術を先延ばしにすると周辺に負荷がかかり悪化させるので早く手術した方がいいとの見方がある。一方で、土台となる組織が弱い場合、術後のリハビリの効果が出にくく、別の怪我につながるかもしれないので、一概に早い方がいいとも言えない。

 どの治療方針をとるかは、その人の考え方や、パフォーマンスの状況、将来設計によって、様々で、そのどれもが正解なのだと思います。

 治療方針の選択は迷うものですが、自分の選択を確信して、よりよい効果が上がるように、前向きに、存分に治療に勤しむことが、より大切なのではないかな?と思っています。

 

 さて、リハビリ期間中、娘はたくさんバイトをして、なぜかバイトなのに社員旅行にも参加させていただいたり、自動車学校に通い、運転免許を取得しました。3年ぶりに長期間を日本で過ごし、毎日忙しそうに、そして楽しそうに過ごしていたので、それなりに充実した時間だったかと思います。

 

 そしてバレエ学校卒業後の進路の難しさは皆様ご承知の通り。

 同級生たちも、それぞれ色々な選択をしています。日本の高校でクラシックバレエ専攻にいた同級生たちの中には、大学に進学し華やかな大学生活を送っている人もいるし、別の道の専門学校に通ったり、海外バレエ団所属後にバレエを離れて就職した人もいる。バレエ学校での同級生たちや先輩も、本当に選択はそれぞれですねえ。グラデュエートプログラム的なコースに所属している人、テーマパークやミュージカルなどのダンサー職に就いた人、各国のカンパニーやジュニアカンパニーに所属した人、日本に帰国した人、卒業後すぐカンパニーに入団、その後、別の道に進んだ先輩も。

 

 5か月のリハビリ期間中にも、周囲には色々動きがあり、皆さんがそれぞれの道を見出していく中で、娘自身は、自分がどう進むのかを改めて考える時間になったのか、どうなのか・・・。

 

 5か月のリハビリを経て、娘は、当初から卒業後の進路として決めていた、とあるプログラムの1年コースを半年コースに変更し、再び渡航しました。今期は故障なく、オーディション活動ができたら、というのが目標で・・・。学校の理学療法士の先生がリハビリ後の活動には慎重で、フルポワントで踊り始めたのは2か月目以降。

 そういう状況なので、当初目標としていたオーディション活動の本格的なスタートは、随分遅れて4月以降にずれ込みました。またスクールの母体のカンパニーの公演への参加もなく、今に至ります。一方で、存在を知らなかったカンパニーから、ごくごく短期のお仕事のお誘いを頂き、ツアーに参加させていただく機会がありました。

 

 オーディションは、シーズン終盤だというのに、まだまだ募集を送り続けている段階。

 いくつかインビテーション頂いて参加できる機会が数回ありましたが、まだまだ序の口、宵の口、9月以降の臨時募集や次のシーズンの活動にシームレスにつながっていきそう・・・。

 オーディション活動〇年越しみたいになりそうな感じで、親としては気がかりでもあり、色々不安だらけではあります。

 

 先輩の方々でも、バレエにこだわって5年越しで正規入団に辿り着いた方もいれば、早い段階でバレエからは離れて新たな選択肢に辿り着いた方もいます。この先、どんな未来が待っているか分からないからこそ、娘の選択を楽しみに、気長~に見守っていけるようになりたい、と思っています。

 

 

 

補足:トレーニープログラムやジュニアカンパニーについて

 

 トレーニープログラム、グラデュエートコース、アスピレントコースなど、開催主体によって名称はそれぞれですが、今、様々なバレエ学校やカンパニーで授業料ありの形式で行われているコースがあります。また、一部のプライベートのジュニアカンパニーは、授業料ありのところが多く、似たような位置づけなのではないか?と考えています。授業料は、年間で4000ユーロくらいのものから、イギリスでは高いところで15000ポンドくらいまで様々。

 

 就職予備校的な位置づけという感じで、仮に「総仕上げコース」と呼ばせてもらいますが、ほとんどの場合、学位は取得できず、そうなると就学ビザが発行できないことが多いため、観光ビザで短期留学する語学学校のような形で、6か月単位で参加とか途中で国外に出るとか、何かしら制約が発生します。

 

 もちろん、在籍することでレッスン場所を確保でき、指導を受けられるので、オーディション活動が長引く場合、海外で無所属になるより安心といえます。一部では、バレエ学校で伸び悩んでいて、卒業後に「総仕上げコース」でカリスマ的な教師や振付家に出会えて、飛躍的に成長し、カンパニー就職につながっているケースもあります。

 

 海外での就職を目指す場合には、「バレエや舞踊を学んだ学位の取得」を受験資格としているカンパニーもあるため、こういったプログラムは、学校側の面倒見がいいとか、母体のカンパニー公演に出させてもらえるとか、何かしらの特徴がないと、メリットが感じられないと思うのです。

 

 ではありますが、初めて海外留学としてこういったコースに留学する場合もあるんですね。こういったコースの参加条件は、多くの場合17,8歳から在籍可能、バレエ学校での高等課程3年間を修了している、または同等のレベルなどとなっていて、バレエ学校を卒業せず、例えばコンクールの実績などを条件に参加する方もいます。

 たとえば日本で高校を卒業してカンパニー入りを目指し、その前に留学を経験したいとか、学位取得が必須ではないカンパニーに応募するのであれば、選択肢として十分ありだといえそうですね。単位資格を目指す留学ではなく、実践的な語学留学といった感じで。

 

 そして、ジュニアカンパニーについて・・・。国立や大きなカンパニーのジュニアカンパニーは、本団よりは低めの報酬が支払われるプロスポーツ2軍のような位置づけのようですが、バレエでは、授業料を求められるジュニアカンパニーや、ジュニアという名はついていないけれど実質的にはジュニアカンパニーの後者というところもヨーロッパ各国にたくさん存在しています。クラシック、コンテンポラリー、いずれのジャンルでもこのようなカンパニーが多数あり、新進振付家の活動の場となっていて、多くのダンサーたちがトレイニー的なポジションで踊っています。

 各国によりシステムが間違いますが、カンパニー側に正規雇用のビザスポンサーとしての資格がなく、アプレンティスが「職業訓練学校生」といった名目で就学ビザを取得し、生徒として授業料を支払いながら公演に出ているようなケースも多いです。

 もちろんそれらのカンパニーは授業料収入だけで運営されているわけではなく、公演収入がある程度あったり、助成金を得たりスポンサーがついたりして、財政状況によっては留学生に許されるアルバイトとしての時給や出演料を一部の出演者には支払っているでしょう、、と想像しています。

 

 実際問題、こういったカンパニーがたくさんなければ、多くの大カンパニーが、応募条件に「2年のプロ経験必須」などとしているギャップを埋めるのは難しいですし、芸術としての踊りの裾野も広がっていかないことでしょう。

 演劇や音楽でも、同じような状況で経験を積み、それこそ苦しい生活をしながら続けた一部の人が、実力をつけて末永く活動していくというのも現実。

 

 だから、ある程度そういったカンパニーが必要だと言うのは分かるのです。

 ただ、一部の方が指摘されているように、ダンスがビジネス化してしまい、ダンサー志望者の側から見たら、やりがい搾取というか・・・その夢から搾り取ろうとしているカンパニーも存在しているのは事実。

 難しい問題ですね・・・。